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第三十七話~終焉~

「くっ、そういう事か、マナサーチ(魔力探知)。」


俺は慌てて相手のマナの総量を確認する。すると、ラモーナのマナはまるで減っていなかった。それどころか一旦消費しても回復し、また消費しても回復するのを繰り返している。


「やはりそういう事だったか。カーミラ、まだ耐えられそうか?」


「は、はい、マナはそろそろ底を尽きそうですが、後は気合で何とかします。。。」


「くそっ、私とした事が、気付くのが遅かった。」


「ふふっ、やっと気が付いたようだな。でもお前の相方はもう虫の息、お前も相当マナを消費したはず。もう手遅れだ、諦めろ。」


ラモーナの言う通り、俺は状況を理解したものの、既にマナを大量に消費してしまい、もう手遅れかもしれない。


ラモーナはホーリースフィアの効果で相手のマナを削っていたが、そのマナは何処へいっていたかと言うと、ラモーナに吸収される仕組みになっていた。


俺は耐性のお陰もあり、吸収されるマナは少量で済んだが、カーミラのマナはありったけ持っていかれていた。


こちらが天使を倒しても、倒しても、ラモーナは二人から奪ったマナを利用して何度も何度も召喚し、耐性を持つ俺には攻撃魔法を使用させて消耗させていたという訳だ。


そんな状況が続いた事もあり、ラモーナのマナの量は俺をも上回っている状態になっていた。このままだと、ラモーナが一気に畳みかけて来た時にマナが枯渇してしまうかもしれない。


マナを失えば己の肉体で戦う事になるが、ボアードなら未だしも、魔法戦闘に特化した俺ではこの軍勢を前に魔法なしでは分が悪いだろう。


だが、俺には勝ち筋が見えていた。


「そうだな、ではお前の望み通り、諦めて別の方法で片を付けさせてもらうとするか。」


「ふん、何を今更、マナの大半を失ったお前に何が出来る?」


「マナドレイン(魔力吸収)。」


俺は全てのからくりを理解し、ラモーナのマナを奪い返し始める。


「や、やめろ、何をする!?」


俺は魔法で潤沢にあったラモーナのマナはみるみるうちに吸収する。

俺は今もなお空間の影響でマナを削られている状態だが、そんな事は問題にならない程のスピードでマナを回復させる。


「やめろと言っているだろうが!」


ラモーナは俺の突然の行動に一瞬身動きが止まってしまったが、我に返り、天使を突撃させる。


「ふう、こんなものか。」


俺はラモーナのマナを吸収する事に集中していたが、天使が攻撃してくるとすぐに切り替え、マナドレインを解除し、攻撃魔法で天使を屠る。


流石にマナドレインを発動させながら天使達を相手にするのは難しい。


「まあこれくらいあれば何とかなるだろう。カーミラだけに辛い思いをさせるわけにはいかない。私も少し身を削って戦う姿を見せなくてはな。エナジーコンバージョン(体力変換)。」


ラモーナからマナを奪い返してある程度回復した俺は、更にマナを回復させるべく、自身の体力をマナに変換した。


「そ、そんな事が、、、お前は何者なのだ!?」


体力をマナに変換させるという発想は誰でも思いつきそうな事ではあるが、ラモーナは、それを俺がいとも簡単にやってのけた事に驚いていた。


体力をマナに変換する事はすなわち、エネルギーを変換したという事になる。

これはこの世界では誰もが成せる事ではなく、体現するには相当の魔法技術が必要とされている。


その代わり、これが体現出来てしまうという事は、応用すればエネルギーを自由自在に変換できてしまう事になる。


聖属性の魔法が使えなくても、闇属性の魔法を聖属性のエネルギーに変換したり、火を電気に変えたりと、無限の可能性を秘めている。


そんな事が出来てしまうが故に、俺は聖属性の耐性を持っていたり、聖属性の魔法が使用できたりするのかもしれない。


この魔法技術が俺の特異体質に関係しているとすれば、ラモーナが驚くのも無理がないだろう。

あの驚きから察するに恐らく奴の周りにはエネルギーを変換できる者は存在しないか、いたとしても神のような存在なのであろう。


「カイト様、あなた様がこれ程までとは・・・もはやあなた様はゴッドカイトです。」


死にかけのカーミラも何を言っているか分からないが驚いているようだ。カーミラさえも驚くべき事であるならばこの力は特別なものである事に間違いないだろう。


地球にいた頃は水や火、風などのあらゆるエネルギーを電力に変換したりしていたので魔法の世界でそれが出来ない筈がないと思っていたが、いざやってみるとこれ程の反応をされるとは思ってもみなかった。


寧ろこちらとしては魔法が存在する事自体驚きなのだが、個々の反応は住む世界によって様々という事である。


「さて、マナもある程度回復した事だし、そろそろ終わらせるか。テレポーテーション(瞬間移動)。」


俺はテレポーテーションでカーミラの所まで移動する。今回は空間内の転移のため、阻害される事は無い。


「カーミラ、待たせてすまなかった。そろそろ奴を倒そうと思う。少し私の後ろに隠れていてくれ。」


「は、はい、このカーミラ、カイト様のお背中に一生付いて参ります。」


ただ後ろに身を隠してくれれば良いのだが、カーミラは死の淵さまよい頭がおかしくなってしまったのだろうか?訳の分からない事を言っている。まぁ今はそんな事を考えている時間はない。


早く片を付けなくては。


「行くぞ、ラモーナ、覚悟しろ!マジックシールド(魔法障壁)!」


俺は自分とカーミラを強力な結界に包む。


「ラモーナよ、お前は空間の展開が得意のようだが、私も得意な空間魔法があってね。これはどうかな?スペースコンプレッション(空間圧縮)。」


俺は片手の手の平を広げ、魔法を唱える。そして少しずつ広げていた手を握り始めた。すると目の前に広がっている景色が次々と縮んでいく。


カーミラが召喚した天使や巨大な門は成す術無く、みるみるうちに圧縮され、俺の開いた手が塞がっていくにつれ小さくなり、手元に圧縮されている空間が集まる。


唯一この魔法の影響を受けていないのが、マジックシールドで覆われている俺とカーミラであった。

ラモーナも例外ではなく、この状況を何とかしようともがき苦しんでいるが、空間が圧縮される強力な重力を前に魔法を唱える事すら出来ずにいる。


「く、くそっ、ふざけるな!私はこんな所で・・・。」


結局ラモーナの言葉は最後まで聞き取る事が出来ず、無情にもラモーナの展開したホーリースフィアは俺の手の平に乗っかる位の大きさまでになってしまった。


最後は手をギュッと握るとラモーナの空間は消えてなくなり、元の世界に戻る事が出来た。当然ラモーナと天使達も消え去った、まさに一瞬の出来事であった。


「ふう、終わったな。今回はかなり体力もマナも削られてしまう展開になってしまった。カーミラ、お前は大丈夫か?相当マナを削られて体力も奪われていたみたいだったが。」


カーミラは何とか立ち上がり、俺の問いに答える。


「はい、私とした事が不覚を取ってしまいましたが命に別状はありません。私の身を案じていただきありがとうございます。そんな事よりこの戦いでお役に立つことが出来ずに申し訳ございませんでした。」


「いや、今回の相手はかなり手強かった。私でも勝てるか分からなかった。それにカーミラとの相性も悪かった。今後も強敵が現れる事があるだろうが、またその時は期待しているぞ。」


「は、はい!このカーミラ、カイト様のために一生この身を捧げる事をお誓いいたします!」


「あ、ああ、その意気込みは素晴らしい。期待しているぞ。そ、それよりボアードの方がどうなったか気になる。早く合流するとしよう。」


(カーミラの忠誠心は嬉しいんだけど、なんか重いんだよなあ。もっと、ボアードの時みたいにとは言

わないけど、もう少しフランクにと言うか気軽に接して欲しい時もあるんだけど、まぁこれはこれで良しとするか。忠誠心が無くなって、後々裏切られたりするよりはましだし。)


無事にラモーナを倒した俺とカーミラは、ボアードのいる所へ戻っていった

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