第一話~魔王城~
急に正面から重々しい声が部屋に響き渡り、俺は思わず顔を上げた。
すると正面にはさっき本屋で見たラノベの表紙の魔王が玉座に座っていた。
魔王の外見はゲームなどで見るラスボスのような外見をしている。
悪魔の王って感じだ。
とてつもなく禍々しいオーラをとんでもない質量で放出しているのが見える。
うっかり機嫌を損ねたり、逆らったりしたらとんでもないことになりそうだ。
魔王の左右には側近と思われる人物が二人。向かって左には筋肉隆々のオーガか。
赤い髪に赤い皮膚、装備は軽装だが、手には巨大なハンマーを握っている。
魔王もかなり強そうだがこいつも十分強そうだ。とても勝てる気がしない。
向かって右には黒髪のサキュバス。
オーガほどの目に見える強さは滲み出ていないが魔王の隣に仕える程の存在だ、弱い筈がない。
どちらかと言えば知的な印象が強い。
サキュバスと言っても露出度が高いわけではなく漆黒のドレスに身を包んでいる。
見た目は絶世の美女、ドレスの上からでもわかるほど美しいスタイルの持ち主である。
そして、自分はというと、どうやら四天王の一人になってしまったようである。地面に目を向けると大理石に反射した自分の顔が見える。見た感じは人間に近い外見の悪魔のようだ。表紙に描かれていた人物と似ている。
自分の置かれている状況を整理していると、魔王がドラゴンのような外見をした者に向かって話しかけた。
「ゴドラン、魔王国周囲の状況を報告せよ。」
ゴドラン?恐らくこいつも四天王の一人か。
背格好は人間と左程変わらない漆黒の竜人だ。白銀に輝く立派な鎧、兜、盾、剣を装備している。
安直なネーミングだが覚えやすい。声を出して笑いたいところだが、今は到底そんな空気ではない。
魔王達程ではないだろうが、こいつも強者の風格が漂っている。
「はっ、現在魔王国周辺において新たな敵の出現は確認されておりません。一度魔王国への奇襲があり、多大な死傷者を出しましたが撃退に成功しております。
すでに占領されている国々もありますが、そこから魔王城に侵攻する兆候はなく、現在は落ち着いております。」
「そうか、引き続き魔王国周囲の警戒と防衛に当たれ。」
「はっ、かしこまりました、ゼクス様の仰せのままに。」
魔王はゼクスって名前か。
どうやらゴドランは魔王軍の防衛の役割を担っているようだ。
あとはあの少女のような魔法少女と弱そうなスライムがいるが、こいつらもそれぞれ役割があるのだろうか。
「グリーテン、そちらの状況はどうだ?」
魔王は紫色のとんがり帽子と法衣を纏った少女に問いただす。見た目は十二~十三歳くらいだろうか。
黒くて分厚い魔導書を右手で抱えている。髪型は金髪の三つ編みで、幼げながらも可愛らしい見た目である。
「はい!我が医療部隊は負傷者の治療が終わり次第、ゴドランの部隊に強制送還しています!」
強制送還か、なかなか社畜のような扱いをされているようだな。
「うむ、そうかそうか、グリーテンはよく頑張ってくれているな、ちなみに戦線復帰が出来ない死者はどうしているのだ?」
「はい!死んでしまった者はアンデット生成の素材として利用しています!」
死んでも戦わされているとはな。はい、ブラック確定。
いや、ブラック企業は死ぬまで働くから、死んでも働かされているこっちはブラックを通り越しているな。
新しい働き方だ。
「うむ、そうかそうか、グリーテンはよく頑張ってくれているな、偉いぞ!引き続き頑張るのだぞ!」
魔王はこいつの話になった途端、急にあまあまになったな。そういえばいたなぁ、人によって態度が変わる上司。
魔王も例外ではないのか。
まぁ可愛いは正義だからな、可愛いは万国共通、国境はないってことだな。
「はい!ありがとうございます!頑張ります!」
側近のサキュバスがゴミを見るような目で魔王に視線を送っているが、魔王は気付いているのだろうか。まあいいや。
グリーテンはどうやら魔法での治療が得意らしい。
魔王には気に入られているようなので仲良くしたいところだ。
「ウーズよ、そちらの偵察状況を聞かせろ。」
魔王がスライムに向かって問いただす。
よくゲームに出てきそうな典型的なスライムである。
冒険の序盤に出てくる雑魚敵にしか見えない。
「はっ、はいっ!聖大陸軍は依然として聖大陸各地から兵力を召集しており、今後聖大陸全土から兵力集め、総力を結集し魔王国へ侵攻するものとみられます。」
「そうか、このままでは我が国が侵略されるのも時間の問題だな。引き続き偵察を続けろ。隙あらば敵地内部から奇襲をかけるのだ、よいな?」
「はっ、はい、頑張ります!」
すごい臆病な奴だな。こんなのが偵察を任されているのか。まあ擬態は得意そうだし適任なのかもな。
ウーズは聖大陸で偵察を任されており、擬態能力を駆使して様々な方面と接触をし、有益な情報を持ち帰っている。
ウーズのお陰で魔王国の侵攻を遅らせることができているといっても過言ではない。
魔王は海斗の方を向き問いかける。
「カイトよ。奪還部隊の状況を聞かせろ。」
「はい~~~!?」
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