第47話 ジョーヌの『凄い』ところ②
そして俺たちはボスと対峙した。
死神のような鎌を持っている骸骨で、凄くブラックだった。
「クッ、こんなおしゃれでかっこいい奴、攻撃したくないブラック」
”何言うとんねんwww”
”さぼりブラック!”
”同族は殺せない心優しい男、それがブラック”
”ちゃんとしてwww”
「視えました。――骸骨でスカスカに視えますが、魔核をうまく隠しています。胸骨の裏に小さな黒い塊、それです!」
そこでジョーヌが言い放つ。
俺は深呼吸し、涙ながらに剣を構えた。
美琴が動きを止め、風華が腕ごとデスサイズを切り落とし、ローザは俺と同じように涙を流していた。
”お前らちゃんとせいww”
”中二たちにはつらい敵のようだ”
”ワロタ”
「ありがとう骸骨デスサイズ、お前は俺の――分身のようだった」
「ギギギギガアガガガガアアアアアアアアアアア」
そして俺たちは、初めてのB級ダンジョンをクリアした。
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「本当にすみません。新しく入ってきたのに差し出がましい真似をして申し訳ないですわ」
ダンジョンが終わってすぐにジョーヌは頭を下げた。
美琴が慌てて顔を上げさせる。
「え、ええなんで!? 凄い助かったよ!?」
「必死すぎるとつい口調が強くなってしまうので……」
ジョーヌは昔から真面目な子で、どんなことにも一生懸命だ。
とはいえ、そこが良い所だが。
「ありがとジョーヌ。みんな喜んでるよ。だから、これからも良かったら一緒に行ってくれないかな?」
「良いのですか!?」
「ジョーヌなら我も許そうではないか」
今回はブラックシュヴァルツギルドのテストも兼ねていた。
俺とローザの友人なので美琴と風華さんはいいと言ってくれたが、ジョーヌ自身がちゃんと見極めてほしいとのことだった。
風華さんが天使のように微笑む。
「これからもよろしくお願いします。クロエさん」
「あ、ありがとうございますわ! 私、がんばりますわ!」
たゆんたゆんと揺れる姿を見て、女性陣が少し羨ましい顔をしている――ような気がした。
「そういえば黒斗、最終的に施設ってどうなったの? 完全に破壊したの? そのなんていうか……」
「破壊したよ。でも、誰も殺してない。父とはもう会うこともないだろうけど。そのあたりは……また話すよ」
「わかった。――お疲れ様」
「ありがとう、美琴」
◇
翌日、俺は何気なく動画を見ていたらダンジョン配信の切り抜きがあった。
昨日のダンジョンだ。
ローザの活躍凄かったもんなあと思っていたら、動画のタイトルもローザが『凄い』と書かれていた。
「わかってくれるもんだな」
そう思い開いてみると、視界に飛び込んできたのは、たゆんだった。
「いきますわっ!」「そこですっ!」「倒しますわっ!」
タイトルは全て『凄い』『凄すぎる』『マジで凄い』と書かれており、コメントも凄いの連続だった。
昨今はコンプライアンスが激しく、少しの事で動画が消されてしまう。
こういう時の一致団結は凄い。
俺もいくつか動画を見てみたが、確かに凄かった。
ちなみにアーカイブの再生回数が過去最高だったことは言うまでもない。




