第33話 第一回、下等部学園テスト
「黒ブラくん、配信見たよ。説得お疲れ様」
「風華さんありがとう。でも今ここ学校だからね」
説得ブラックのアーカイブは100万再生を超えていた。
想像以上に鬼畜だったらしく、反響が凄まじい。
俺としては暴力じゃない解決方法を探っていただけなのに。
だが言葉は時として刃をも超える。
次から気を付けよう。
後、人という字は支え合って生きてるのではなく、自立している人の姿を横から見たものだったと金七先生が訂正していた。
つまりまったく無意味だった。
反省ブラック。
「テスト、何するんだろうな」
「何でもいいぜ。俺の能力なら満点確実だ!」
「ほんとかよ、お前の能力、風を巻き起こすだけじゃないか」
教室では、初めての能力テストだということでみんなソワソワしていた。
俺はといえば、前回の討伐速度が凄すぎたので少し同級生に引かれている。
偶然だろう、と思われていたりもするので、次で見せつける予定だ。
そして一つ、決めたことがある。
それは呪術を使わないことだ。
配信者ブラックだとバレてしまっては視聴者の夢を壊すことになる。
まあそれでも手を抜くわけじゃないが。
「美琴、大丈夫か?」
「ふぁああっ、ありがと。ちょっとだけ眠いけど」
「ごめんな」
「ふふふ、気にしないで。ああいう真面目な黒斗、私は好きだよ」
一晩中付き合ってくれたのでまだ疲れが溜まっているのだろう。
さらに能力を使うと精神力がすり減る。
それは、俺もよく知っている。
「我の剣がついに火を噴く時が来た」
「ローザ、それ使うの?」
「当たり前じゃ。そのために武器屋から購入したのだ」
「お土産屋さんね」
ローザは右手に竜の剣をジャラジャラと持っていた。
まさか実戦投入する予定だったとは。
それ、耐久力低いんだけどなあ……。
そのとき、非常事態のベルが鳴り響く。
火事かと思ったが、アナウンスが突然流れはじめた。
朱音りん先生の声だ。
「――これはテストだ。校内に疑似魔物が発生――駆逐しろ。それぞれに点数がついている。スタートだ」
次の瞬間、学校中が魔力で覆われた。
今日は特別日、一年生、下等部の俺たちしか登校していない。
ダンジョンは確かに学校みたいなものだ。
どこにいるかわからないし、階層で分かれている。
怪我をしないように耐久力の高い体育ジャージに着替えておけと言われていたが、まさか突発的に始まるとは。
同級生が困惑する中、俺は廊下に出ていた。
いつ何時動けるように訓練はしている。
たとえこれがテストだとしても関係ない。
目の前の疑似魔物、ゴブリンに似ている敵を見つける。
「ギギギギ!」
俺がよく使う呪術は能力の一つでしかない。
身体にはチャクラというものが流れている。
それを解放すれば、身体能力が強化される。
普段は第一チャクラしか解放していない。
だが呪術を封印した場合、第七まで解放することができる。
俺は、一気に第二まで解放した。
身体から気が溢れてくる。
手には訓練用の木刀を持っている。
それを片手に持ちながら、そのまま駆ける。
以前、動画でもチャクラ解放したが、あまりの速さにFPSが追いつかなかった。
だが学校配信用のドローンカメラは最新型だ。とても個人が手を出せる値段ではないが。
その分、性能がいい。
「――一体目」
そのまま一撃で落す。
次の瞬間、壁に写された討伐ポイントが変化して、俺の名前が一位になった。
「よし」
”配信待ってました”
”いきなりクライマックスww”
”この子、前の子じゃん!”
第一回、下等部学園テスト。
黒羽黒斗 1PT
なるほど、こうやって順位がわかるのか。
だがすぐに表記が増えていく。
御船美琴 1PT
君内風華 1PT
水面川ローザ 1PT
後ろを振り返ると、彼女たちが疑似魔物を倒していた。
さすがだ。
さて、今回も一位を目指すぞ。
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