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詩集 詩箱  作者: TiLA
16/166

深夜1時の偽善者

眠らない街、東京


でも深夜1時は静まりかえっていて


誰も歩かない歩道を歩き


何も通らない車道を横切る



街灯は煌々と明かりを照らし


信号は自らの仕事を粛々とこなす


誰が居るわけでもなく


誰に認められるわけでもない



道すがら立ち並ぶ自動販売機たち


薄暗さに慣れた目に


鎮座した商品のバックライトが眩しい



まったくご苦労なことだ


いったい誰に対してアピールしているのか


誰もお前たちなど見てやしないのに



深夜1時のヒカリたち


街灯も、信号も、自動販売機も



「止めろ」



人感センサーを付けるより


点けっぱなしのほうが合理的だったのか


だけど、もう無駄なことは止めろ


自己満足ですらないだろうに



せめてもの救いにと


スポーツドリンクを一本買う


ガラガラ、ゴットン


水滴をつけて飛び出したペットボトル


何だか喜んでいるようだった



蓋を空けながら


そうだ、俺が居たよな


お前たち無駄なんかじゃなかったよ


そう心で呟く



自販機の奥には


そして今度こそ本当に客が居なくなった飲み物が


山ほど冷やされていて



ふと見れば


点々とこの先の道にも何台も自販機が並んでいた



ゴクリと喉を鳴らし


所詮は自己満足の偽善を飲み干した




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― 新着の感想 ―
[良い点] 残業した帰り道か、それともお酒を飲んだ後か。 静まり返った街、何気ない日常にあるドラマが面白いです。 (タイトルにもわくわくします!) >水滴をつけて飛び出したペットボトル 何だか喜んで…
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