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感情のヒーロー  作者: 女帝
守るべきは仲間。感情はときに武器になり害ともなる。
4/5

ある時の戦争は

最初のやつはのちのちぃ

 やめて!もう、もうこれ以上、たのむか、ら


 僕たちは出会いとはじまりの街を出発していた。

「じゃあまた!無事帰ってくるからな!」

「おう!死ぬんじゃねえよ!」

そうして男の別れを交わした。

「皆さま、またどこかで」

そうして手を振った。そしてずんずんとハイヤに向かってくる女性がいる

「まちがっても変な関係になるんじゃないよ」

僕には受付の人に見えたような。気のせいかな。なんかすっげー怖い顔してたような……

「ハイヤー行くぞー」

「はい、ではこれからも受付頑張ってください。」

「ええ、こっちまで名を轟かせるのよ、あ!でも犯罪者紛いで名を轟かせてって言ってるんじゃないからね」

あれが素なのか〜、なんかワイルド

「はるぅー、ばぁいばぁ〜い」

ん?どっちが素なんだ?

「ああ、さようならー!」

こうして完全にこの街をあとにした。



 それから体感2時間が経った。馬車にゆらゆら揺られながらあの街でのことや出会ったことを話していた。なんか恋人みたいと思ったがあくまでパーティーメンバーだ。そんな関係になったらいかんよぉ。

「ハイヤ、眠いなら寝てていいぞー、馬車に乗っててなんかいいゆりかごだよなー」

ハイヤはさっきから目をしゅぱしゅぱしている。

「いえ、大丈夫です。」

「だーめだ、一応警戒しながら行くって決めたんだ。まずはそっちが休め。ちょっと経ったら起こすよ、そして交代ってことだ。」

「じゃあお言葉に甘えるわ」

そう言って眠っていった。

「寝た、か」

そう、警戒しながら行くのはこれまでの経験を活かして同じ過ちを繰り返さないための事なんだ。守るためには経験から学ぶのは大事なんだ。

「ふー、おっちゃんここはまだあの街の領土か?」

「いや、もう炎の国に入ってるよ。」

「もう入ったのか!」

実感がわかねぇ、なんせずっと木だらけだからなー

「てか、ハイヤ休んでる間に着いちゃうかなー」

もうちょい寝かせてやるか

「しかしねぇ、このあたりでは魔物が活発化する時期に入るんですよ、しかし最近は魔物がピタッっていなくなったんですよ」

急にってことか、それはなぜだ?

「噂では魔物を操ることができる人がいたとかなんとか。」

心当たり、ちょーある。

「そ、そうなんですねー一体誰だろうー。」

まあ明かすものではないだろう。ヒーローは見返りを求めないんですよー。

「ところでお客さんはなぜ炎の国に?」

「そうですね、まあ冒険っていうかそんな感じです。」

用心するべきが冒険者稼業の情報収集。でも……

「その、おっちゃん?あのライラ協会って聞いたことある?」

この手の仕事をする人は様々な人と出会ってるはずだ。用心するべきだがここは出るべきだ。機を逃しては前進できないもんなんでね。

「そうですねー、あ!少し前に協会がうんたらかんたらって言ってた人はいましたね。それこそライ…っとなんだっけ?」

「ライラ協会か!!」

ライなんとかは可能性が高い

「ええ、そんな感じの名前でした。3人だったかね、フードを被っていて絵に書いたような怪しい人たちでしたよ。」

「3人……ありがとうございます。あ、このことはあまり口外しないでくれたら嬉しいです。」

「任せてください、元商人は口がかたいもんです。」 

信用が大切だからかな。いいおっちゃんやな。

「お客さん、炎の国の名物が見えてきましたよ!」

考え事をしていると、そこにはまさに異世界!って感じの橋にその下には熱そうな溶岩、その奥にはでっかい門そして傭兵がちらほら。周りをみるに、この国は冒険者や友好関係の国が多く、流通が盛んっぽい。

沢山の荷物を積んだ馬車、偉そうな人が通りそうな少し違った豪華な門。そしてごっつい大剣を持った人が多くいる。

そして、

「おっちゃーん!ありがと!またどこか出会おうな!ほら、ハイヤー起きろー暑いのによく寝てるなあ」

「んぁ、あ、おはようござ、います。」

目を擦りながら起き出す様はなぜか猫を思い出した。前の世界では戦争が起こっていた中でも猫は一輪の花のようだった。そんな記憶がある。そんな綺麗事で片付けられないのがあの世界だった。自分の家のうらに行くと衰弱した猫がいたことがある。それでも貧しい僕はどうにも出来なかったわけだ。

「はる?ボーっとしてどうしたのですか」

「いや!かわいーなーって思っただけ!」

おっと暑がるには早いですよーハイヤさん

「にしても並んでるなー、流石だわ、でっかい国に来る人の宿命って感じか?」

「私も聞いたことぐらいはあるぐらいには有名ですよ。そんなに驚いてるのははるぐらいですよ?一体いままでなにを聞いていたんですか?一回ぐらい話題になると思うんだけど。」

完璧な上目遣いだぁ、キラキラエフェクトできれいに写ってるよ。

「ま、まあちょっと昔の記憶はないかなー、覚えてないなーみたいな?まあしょうがないね。」

「そうですか、分かりました」

理解してますよみたいな顔をしたハイヤと昔のことは言えない!?って感じの僕は長蛇の列に並び他愛のない話に切り替えた。

「そーいえばハイヤってどこ生まれなの?あの街では目立つ髪っていうか、ロリカもおんなじ髪だから違う生まれなのかなーって」

そう、あの街にこんな美しい銀髪はハイヤ姉妹ぐらいしかいなかった。あまり大きな街とは言い難かったのでほとんどの人と出会ったはずだ。

「そういえば話したことが無かったですね。私は水の街で生まれたんですよ、ここからはー、行けなくはない距離ですね。あの馬車に乗ればぶっ通しで4日ほどで着きますね。」

水の街か、てか国ではないってことは?

「国ではないってことはどっかの国の中のところにあるってこと?」

「ん?いや、炎の国のなかですけど。」

「へ?喧嘩しない?それ、なんか火、炎と水ってなんか因縁って感じじゃない?大丈夫なん?」

「大丈夫ですよ。炎の国の中では貧しい方ですが喧嘩はしていないと思いますよ。ちょっと情勢は分からないですが。」

なんか珍しいなあ、ここはこの勢いだと油の街が水の街の中にありそうな勢いだ。それより馬車ぶっ通しで4日かぁ、ハイヤの故郷なら一度挨拶っていうかなんていうか。行ってみたいな。

「ハイヤー、そこに行く予定とかあるのか?あるなら一度行ってみたいんだが」

「……親に挨拶に行くのでしたら母親は病院で担当の人付きっきりで生きてますよ。あと父親は…何年か前に亡くなりました。」

そんなことが……

「ごめん、ハイヤ嫌な記憶思い出させちゃって……」

「いえ、行く予定といえばお墓と病院に行きたいなと思うのですが…その、はるは……」

なにか言いたそうだがなんとなくわかる。僕は家族愛やらなんやら当時の状況も相まって家族だけの時間が欲しいというのは分かる。言いづらいこともよく分かる。一度ちゃんと話してみたかったなぁ。

「言いたいことは分かるよ。僕は近くのところで時間潰してるよ」

「あ、ありがとうございます」

家族水入らず、大事なことだ。



 待ち時間が終わり僕たちの番が来た。

「ここに来た目的、職業、名前をこれに記入してください。」

白くも再生紙のような一部粗々しい紙を2枚渡された。

「はい、ハイヤの分」

「ありがとうございます。」

ちゃちゃっと書いたあと、持ち物検査をされハイヤの剣については職業に冒険者と書いてあったので少し面倒くさかったが通すことに成功した。

「ようこそ!炎の国へ!」

門を走ってくぐり抜けた。

「お、おお!すげぇー!!!」

ガヤガヤとした街並みに商人たちがこれよこれよとお客をひく。一点だけでなくあちこちで客引きをするためか、僕はあたりをきょろきょろしてしまい、都会慣れしていないと今更ながらに思う。

「す、すげぇーー!すげえなハイヤ」

「そうですね、私、この国の中の人ですよ?すごいのは知ってます。」

語彙力を完全に失い、炎の国の中の水の街出身というのをすっかり忘れていたなと少々反省しながらもいまだにきょろきょろしてしまう。

「そ、そうだったな、いやー、なんか記憶全部リセットされるぐらいでかい街だなあ、あの街ってほんと小さかったんだな。」

「そうですよ、あの街は特に小さい方だと聞いています。それに比べこの国はこの世界1位、2位を争うと聞いています。」

「へぇ〜、すごいな、ちなみに2位の国ってどこにあるんだ?」

「……それが魔物の国なんです。」

どうゆうことだ?

「えと、それってどうゆう……?」

「魔物の国の方は人を襲わないそうなんです。まあ怖かったり歪だったりとほとんどの家庭では近づくなと言われるはずなんですが、」

「そうなのか、なんかすごいな、もし暴走したらと考えると怖いよ」

「その心配もないみたいで生まれたときにある呪いという名の呪縛をかけられるそうなんです。」

この世界には呪いの類はいままで見なかっただけで上級冒険者になると呪い持ちの敵とも戦うらしく、戦いにかっても逆に呪われて死んでしまうという事例は少なくないらしい。

「それは怖いな、そこでかけられる呪いってなんだ?」

「人をおそうと死ぬ呪い。」

「なっ!?」

そのあと、ハイヤは詳しく教えてくれた。普通に聞くとただ怖いだけだがその呪いを譲渡できるらしい。


 これは昔この世界のどこかで起こった戦争に参加した女の子、すいの話。

この戦争では男女関係なく戦闘員として派遣していた。

「私も戦争?死にたくないよぉ、、」

私は幼くして母を亡くし父は優しく接してくれていた。

「最悪どっかにバレんようにいもっとけば心配ないって!」

このアホ面が兄の陽太、とにかく頭が悪いのに機転が利くため学校の訓練等では高い成績だった。筆記以外は。

「いもるってなに?お兄ちゃんのことだからどーせ隠れてる〜とかなんでしょ、ずる賢い」

「お前らはもっと仲良くしろよ〜、悲しくなっちまうからな!はっはっはっ!」

この剛腕にニカッっと笑った顔が綺麗なこの人は私達のお父さん、太陽だ。

「頭触らないで!髪ぐしゃぐしゃになる!」

「いいじゃねぇか、親子なんだし!」

「もぉ〜」

なにをいっても自分がしたいことをするお父さん。でもとても優しくて陽太の機転はお父さんからの遺伝なんだなと思う。それもそのはずお父さん、太陽は昔は戦場で駆け回り最強と謳われ、ついた名前は太陽、そのままだったそうだ。戦場の太陽と言われそれはもう強かったし、初めて炎魔法を使った人でもあるらしい。

「お前たちはそのままでいてくれよ。」

お父さん明後日の方向を向いていた。

「どうゆうこと?」

「いいや!なんでもない!まあとにかく、しぬんじゃないぞ!」

お父さんは年のせいで戦争には呼ばれなかったんだ。呼ばれていないのに戦争に赴くのは罰せられるため行けない。

 敵の軍勢は約数百万、敵は国民総出。それに対しこちらの軍勢は数十万と、戦力差は歴然だ。

「一歩も怯むんじゃないぞ、進めーー!!!」

その声とともに重くも低い笛が鳴らされた。

私もヤケクソの咆哮をあげた。



 「その後、負けたそうです。でも女の子は生き残れました。なんでも相手の兵士に助けられたそうです。」

そうして遠い空を見ていた。戦力差があまりにもありすぎた戦争。それはまた気が遠くなる。戦争、

「戦争、戦争か、あ、戦争の原因ってなんなんだ?」

僕が参加したことがある戦争は領土問題であるが裏では王の命により自分の功績を挙げて支配しようとしたらしい。

「その国王は国民をすべて自分のものにしようとしたんです。そのころ魔法で支配する人が死なない限り不老不死になれる。こんな禁忌の魔法を国王が使うために国民を出陣させた。」

「じゃあさすがにその国王は……」

自分が話し終わる前に食い気味にきた。

「その国王は死んでないんです。」

寒い以外でこんな鳥肌が立つのは初めてのことだった。




サボり気味〜

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