正しいことを正しいと思うな。感情で動くこともときには大切。
この世界には負の感情しかないと日頃から考えていた。
僕は知能が高い自信があった。
僕は多分15歳…くらいだと思う。両親は誕生日なんてものは祝ってくれなかった。母はいつも忙しそうで、父はどっかの戦争に行っていた。
僕には唯一の兄がいた。
とにかく、優しかった。でも、変わった。戦いのセンスがあり、強かったのを理由に母に強く当たるようになり、母の目は次第に屍のようになっていた。ちなみに、僕はというと平凡な兵で、家に帰るときこそ少ないが、母の手伝いはやっていた。
この頃、男と女の差別は絶えず、生きることに必死だった人が多くいた。僕もその一人だ。
家はオンボロに貧乏だった。
生活は最悪だった。そんなときに追い打ちをかける自体が起きた。
とある戦争でこの国の戦況はさらに悪化した。
「おい!走れはる!死にたいのか!?」
「死にたくなんてないよ!」
実のところは死んでいいとも思っていた。こんな世界で、
生きる、ことなんて…だから逃げることを諦め、ふりかえった。
「せめてお前だけで、道連れに!」
銃をかまえた瞬間、視界が暗転した。
死ぬことを覚悟してたからだろうか。視野が狭かった。
敵兵のことが見えていなかったのだ。
兄が地面に倒れる音。僕のみがわりに?なぜ?
銃を投げ捨て、兄に駆け寄った。
「ようへいにい!?なんで…なんで…僕なんかのために…」
声になってるか分からないぐらい声だった。
「逃げろ…はるだけでも、でも最後に1つ聞いてくれ…
お前、大きくなったよなぁ。お前は死んでほしくないなあ。」
兄はちゃんと兄をしていた。最後は口からは血を、目からはもう見ることはできない涙が頬を伝っていた。
僕は泣いた。喚いた。その場から離れようとしなかった。憎しみと不甲斐なさが心をえぐり、そこから意識が途絶えた。それでも憎しみだけは……
ん?ここは?つか、生きて…?まあいい。看板?読むか。
(ここは天界だよ〜ん。君は死んだ。だが、選択肢がある。あの世界にまた生まれるか。いわゆる異世界にいってなにかするか。あ、なにかはなにか、考えてね!世界に行くなら看板の右側を進み、右の右の左のななめ左のさらに直進して、階段をのぼった先の、101段のぼったら右にいって真っ直ぐだ!異世界は左側を真っ直ぐだぞ!異世界に行く場合、願いを1つ叶えてやる。では!健闘を祈る。)
知能が高いからか一発で世界に生まれ変わるための道のりは覚えた。が、あんな世界二度とごめんだ。
てことは、"いせかい"?に行くしかない。"いせかい"ってなんだ?agdpmpapmdgmr6ru2h
頭がおかしくなったのではない。異世界というものの情報が流れてきた。つまり、地球ではないどこかの世界で暮らすという解釈をした。しかし、その"異世界"は物騒らしい。どうやら"魔物"がでて亡くなる方がいるらしい。
叶えることができる願いがあると書いてあった。それは
"魔法"という僕のいた世界にあれば、戦争を終わらせることができる力がある、ということでそれを得ようと考えている。なにかと役立ちそうだし。
さらに、考える。
よし、異世界に行こう。一人でも多く、助ける。戦争なんてものがあった暁には僕が終わらせる。
僕は歩き出した。
こ、ここが異世界?どうやら異世界に来たらしい。
明らかに僕のいた世界とは違う、なにより不幸な人はいない。そして、びっくりしたのは男と女が手を繋いで幸せそうにしている。僕の家ではこんな光景は見たことはないから。
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頭がおかしくなったんではない。情報が流れてきた。
一体誰が?まあ、ありがたいからいい。
ここには魔法を使い、魔物を倒しお金を稼ぐという
冒険者というものがあるらしい。
その協会に今日は行き、お金を稼ぐ。
そして、宿で休み、計画をしっかり練る。
行くか。
ガチャ。お昼からだいぶ賑わっている。お寿司のネタをのせたような形のかみをのせているいかつい男やローブを羽織った魔法使いらしき人、剣を背中に背負った人。
いずれも何人かの人で集っている。
一人できたのは場違いだっただろうか。まあいい。
「すいませ〜ん。冒険者になりたいのですが…」
一度死んだ身なので変な感じだ。
「はい。登録する方はこちらに記入事項を確認して、どれくらいの実力があるか確認いたします。」
「あ、ありがとうございます!」
にこにこしながら、協会の方や冒険者の方がみてくる。
こわっ。ひとりは珍しいからね。しょうがないね。
職業…、名前…、パーティー人数…?あとで変更可能。そうか。できるかなあ、仲間。他にも色々。
「書けました。」
「はい、それではこちらに自分の血を垂らしてください」
血?怖い。あの時の記憶が…。首を思いっきりふった。
こんなことに悩んでる場合ではない。
ぽたっ。血が紙に染みている。すると、文字がうっすらにじみ出てきた。B…?
「あ!素晴らしい、なにか戦闘の経験でもあるのですか!?」
受付の方が目をきらきらさせてこちらをみてくる。
戦闘の経験…ある。ちょーある。前世?この世界の前?
戦争が行われていた場所で暮らし、戦争で最期を迎えたのだから。
「あ〜、そうですね。少し戦闘の訓練をしてまして。」
「いい冒険者になりそうですね!職業は…え?魔法使い」
さっき書いた紙を、見ながら話し、目をさらに見開いた。
「魔法使いがどうかしたんですか?」
「どうしたもなにも戦闘の経験があるのに、後方からの魔法使いはもったいない気がします。剣士にされてみては…?」
首を横にふった。あの記憶は銃で打たれた兄、剣でさされた僕。どちらも思い出すことになるだろうが、僕は魔法使いになり、考えていることがある。まずは質問からだ。
「魔法使いは近接でも戦えますか?」
「えぇ!?一応、戦えないことも無いですが。正気ですか?」
「はい。有効に戦って見せます。」
そう、近くで戦うことだ。これなら剣の訓練や、魔法使いの本業、後方からの攻撃も活かせる。幸い、流れてきた情報の中に魔法についてのこともあり、近くで戦うことも可能ということはわかっている。
「とりあえず、説明しますね。冒険者は簡単にいうと魔物を倒し、人々の安全を守る。そこで出た報酬で生活する職業です。冒険者が冒険者としてなくなった場合は残念なことに厳しいことではありますが、自己責任で一切、協会は責任を負いません。次にランクのことですね。さっき、はるさんがBランクであることがわかりましたね。上からS A B C D E とシンプルな感じになっていて上に行けば行くほど任務は難しくなり、報酬は高くなっていきます。Bランクですが、最初なので、うーん、Dランクのこの任務!ゴブリンの群れを撃破。をやってもらいます。詳細はこちらに。では健闘を祈ります。」
「1から最後までありがとうございました。」
笑顔で頷いた。どういたしましての意思表示ですね。
にしても…
知能が高くてよかった。普通半分は忘れるだろ。一気に情報がきて、頭ぶっ壊れそうになるわ。
そんなことよりゴブリンか。人…ではないな。ためらいはあまりない。戦争中は僕みたいに仕方なくやらされて、戦う人もいたわけだ。そうすると、やはりためらいがでてくる。でも、やらなきゃ。結局みんな自分が一番可愛いのだ。でも、ゴブリンにも家庭があって……?いや、考えてはだめだ。自分が生きていけなくなる。幸い、場所も丁寧な地図があるため、迷うことは少なそうだ。多分。
まあ、やってみないことには始まらない!行くか!
ゴブリン狩りにも種類がある。下っ端もいれば、ボスゴブリンもいるため討伐対象も違うわけで全て簡単なゴブリン狩りではない。僕は下っ端の群れがあるためそこの壊滅。でもボスがいるのでは?まあいい。魔法は情報で入ってきてるため使えるが初めてなので後方からの一気にやるつもりだ。
僕は群れがいるといわれる場所に着き、茂みに隠れゴブリンたちが来るのをまった。そこは過疎地域みたいになっていたものの、なにかいる?となるくらいには集落だった。とりあえず、一発。
詠唱。「ウォーターポイズン!!」詠唱。せーの「ライトニング!!」
そこには毒の池が出現し、上から雷を落とし、それはまあ無惨な程に感電、毒、圧倒的火力で倒そうとした。
しかし、詠唱がめんどくさい。どうにか、詠唱無しで出来ないもんか。訓練をするしかないな。
僕は集落にもっと近づき討伐したのが分かるように、
詠唱。「収納!」これは英語ではないのね、と思いつつ、死体を収納した。臭い。だがしょうがない。ん?
そこにはボスゴブリンがこんぼうをもって横たわっていた。「……」倒した?追加報酬だ!夕食は豪華だぞ〜。
まあBランクと言われた訳だしおかしくはないか。
ここは森。木もあるためたおした木材も回収することにした。
街に帰る途中、悲鳴が聞こえた。
「何事だ?」
冷静ぶっているぼくだが焦っている。走る。悲鳴のもとまで必死に走った。やっと辿り着いた。そこにはひどい傷を負った女がいて剣をかまえ、妹と思われる人がその後ろにいた。そして、ゴブリンがこんぼうをかまえて彼女たちに襲いかかろうとしている。状況は、言うまでもない。
助けよう。こっちの世界では僕が見た人は全て助ける。
みんなの。ヒーローでありたい。詠唱。「ウインドウ!」
ゴブリンを被害行かないところにあつめる。詠唱。「大気…圧力!」その名の通りだ。押しつぶし、それも見えないようにするため、風魔法を使った。というのもある。
我ながらいい感じ。とりあえず、人命救助だ。
「すいません!大丈夫ですか?!」
駆け寄った。少し安心したような顔をしているが、実際そうではない。傷が……
「あ、ありがとうございます、見ず知らずの私達を助けてくれて、なんとお礼を言えばいいのやら…。」
剣士らしき彼女は礼儀が正しかった。とっても。
「いえいえ、傷を見せてもらえますか?微力ですが、回復魔法が使えます。」
驚いた顔をしていた。すると鎧を脱ぎ始めた。
「!?」
どうやら15歳くらいの僕には刺激が強かった。が、そんなことも言ってられない。
手で妹さんもよび、
詠唱。「ヒール」
回復魔法をかけてあげた。また驚いた顔をしている。
なので聞いてみた。
「どうして、そんな顔をしているのですか?僕変なことしました?」
「い、いえそんなことはない。むしろ素晴らしいことだ。本当はいくら魔法使いでも魔法の使える種類はほとんど限られているんです。なので、風、圧力…?そして回復魔法までも使えるのがすごいなと。」
なるほど。珍しいのか。この情報つたえてくれたやつ誰だ?僕を最強にしたいのか?でも確かに考えているとすごいことなのかも。こんごは必要時以外一種類の魔法にしよう。
「なるほど、ありがとうございます。せっかくなので、街まで送りますよ。僕ははる、あ、みかど はるです。」
「そんな、いいですよ。って言っても聞かなそうですね。私はハイヤと申します。そしてこっちが。」
「ロリカです!お兄ちゃんほんっっとうにありがと!」
?いわゆる名字がないらしい。これからははるです。と名乗ることにしよう。
「それより、ほんとにいいんですか?街までご一緒でも」
「ええ、僕は任務も終わって帰るところでしたので」
どこまでも律儀だ。それより見た感じ僕より1つ、いや、2つ?ぐらい上だろうか、年齢をきくのは失礼と言うので聞かないでおこう。傷がなくなり、可愛いなぁってことも感じるくらいにはいい顔立ちをしていた。
「では、護衛?という形で街までお供しますよ。ハイヤお嬢様、ロリカお嬢様。」
少しふざけてみた。
「そんな、お嬢様なんて、おこがましい。どうぞ、呼び捨てにしてください。年もかわらなそうですし。」
「ロリカはロリカって呼んで!はる!」
「わかったよ、ロリカ、」
「うん!」
ロリカが大きく返事をすると、ハイヤも微笑んだ。
妹好きだなぁ。
冒険者協会についた。収納から死体を取りだし、鑑定してもらう。下っ端20匹、ボスゴブリン5体で、15万イェンだ。イェンとは硬貨の単位だ。つまり下っ端1体5,000イェン、ボスが1万イェンってことらしい。また驚かれた。
「本当に初めての方ですか?」
はい。そうですが。とは言わずただ無言で頷いた。
彼女たちも冒険者協会にきて精算している。やはり剣士だったらしい。
「お疲れ様。どうだった?」
「敬語はやめましょう。疲れてしまいます。なので、タメ口といきましょう!」
急に口調を変えたのはハイヤだ。確かに疲れるしな、
「オッケー、敬語はやめま…やめるわ。」
くすくすら笑っている。可愛いなぁ。
「ロリカ、帰りますよ、ママの所に怒っちゃうからね。」
「うん!お腹すいた!」
「それでは、今日はありがとうございました。ところで、明日ここにお昼頃来れる?話したいことがあるんだけど。」
「行けたら行く。」
定番だ。すると彼女がほほえみ、ロリカを連れ、お金の入った袋を持ち、帰っていった。 それにしても、
敬語とタメ口が混ざっているってほんとに律儀だってことが。本性がよくわかる。まったくだ。
朝が来た。宿も無事宿を見つけふかふかのベットで寝たってことだ。しかし不思議だ。ここは異世界、もちろん違うとこだらけなのだが、とにかく日本と食事が一緒で、ベットもほとんど変わらない。ベットは同じことはあるなと思うが、食事、料理の類は使う食材やマナーがほっとんど一緒だった。僕は協会で腹を満たせるとのことだったので少しやばいやつっぽいが他の冒険者を観察しながらこの街の冒険者情報を得ていた。そこで日本とのマナーがほとんど一緒でびっくりした、というわけだ。
ここに、他に元の世界の人が?のちのち探るのもありだな。
そんなこんなで宿でゴロゴロ、そしてチェックアウトしたら思い出した。
「それでは、今日はありがとうございました。ところで、明日ここにお昼頃来れる?話したいことがあるんだけど。」この言葉、今はお昼頃、朝ごはんも食べてないのでさすがにお腹すいたこともあり、行くことにした。裏切ることは絶対にしない。
協会についた。お腹すきすぎたので少し高いがステーキを頼んで食べていた。すると、なにやら見覚えがある銀髪に鎧の美女、そしてその後ろにいる愛らしい少女。
間違いない。ハイヤとロリカだ。
「ハイヤー、ロリカーこっちだー」
手を振りながら、呼んでみるとその彼女たちがなにか会話をしてから駆け寄ってきた。
「ほんとにいたんですね、嬉しいです。今日呼んだのは理由がありまして…聞いてくれますか…?」
上目遣いはずるいと思う。そう思いませんか?
僕は15歳、なにやら落ち着かなくなる。
「…?はる」
「あ、いや!なんでもない!ハイヤが可愛いなあと見惚れて…」
きもすぎたと思ったが、そうでもないかもしれない。
彼女、頬を赤らめている。すると首を横にふり、
「え、えっと今日は相談がありまして…急な話なのは分かっています。でも、でもはるしか頼れる人がいなくて!」
少し投げかけ気味だったが肩を震わせていた。
一体どうしたのか、ロリカが心配そうに見ている。
「と、とりあえず深呼吸、深呼吸一体何があったのが教えてくれるか?」
少しの沈黙が流れた。
「私の髪は珍しい銀髪です。私は異端なんです。わ、わ、私は異端なんです!だからいけないんです!」
取り乱しはじめたので、まあまあと落ち着かせると
また話し始めた。
「すみません。昔、この国はドラゴンやユニコーン…とにかく多くの魔物が一気に攻めてきたことがあったんです
これはおかしいと思い、当時最強と謳われた剣士が先陣をきって飛び出したんです。すると、あるドラゴンと対峙するとき、背中に人が乗ってたんです。それが銀髪の男で…最強の剣士ですら歯が立たなくその命を枯らしていきました。それからぎ、ぎんぱ、つは…」
「そこまででいいよ。」
もう全て理解した。どこの世界も差別、人による戦い、
許せない。僕が、僕がそんなのなくしてやる。
それからハイヤ自身が自分を語りたいと話し始めた。
宿に着き、今日のことを頭で整理した。明日も協会に行くことになった。つまり、言いたいのは私とパーティーを組まないかということ。何件も断れて任務もまともにできなく、ロリカもどこかに任せるお金もない。そこで仕方なくあの日ロリカを連れて任務に出たとこ、僕に助けられたわけだ。巡ってきた二度目の人生。
人助けをする。これに費やす人生にしたいと心のなかに誓ってきたんだ。ただしひと、つ条件が……
眠りについてしまった。
朝が来た。準備を整えてこの前と同じ場所、同じ時間に行き、同じステーキを食べ、同じ人がきた。
「早速なんだが、僕のパーティーに入りたい。とのことだが、もちろん大歓迎だ。」
「あ、ありがとうございます。」
人差し指を立てた。チッチッチっと
「ただし、条件がある。」
ゴクリと喉をならす彼女。
「条件はただ一つ僕のパーティーに入る限りヒーロだ、英雄だと勘違いするほど、人の助けになることをする。それだけだ。それを破った瞬間、抜けてもらう。どうだ?」
厳しめでいってみた。その覚悟はあるのか、と問うために
案外即答だった。
「承知の上です。」
そうくるとは思っていた。僕のパーティーに
はる 魔法使い
ハイヤ 戦士
2人に増えた。戦士が前衛なので魔法使いが後方も使いやすくなった。そので僕は1つさらにパーティーにいる条件を出した。
「条件追加だ。タメ口は無しだ!わかったか?」
ほけーっとしている。すると
「はい!」
元気な返事でなによりだ。
次にこなす任務の紙をみていた。今回はBランクの任務をやる。のではない。冒険者なら誰でもできる特別任務にてを伸ばした。視線が痛い。そんなに?そんななの?
とりあえずここにある人助け系の任務をやろうと上からやろうとしたら特別任務だったわけだ。
「はる、その任務は特別任務。報酬はでないよ?それにどれくらい難しいかわからないし…私、最初は違うほうが」
言いたいことはわかるがほんといい人だ。報酬でないことをきにするのは当たり前だが、彼女はロリカの心配だと思う。お姉ちゃんだなあ。
「言いたいことはわかる、だがどんくらいかかるか分からないが、全部やるからここの任務。報酬は気にすんな。1日で2つやればいいだけの話だろ?」
「ふ、ふたつ!?疲れが……」
「大丈夫、僕も変わった異端だから。人助けはできるだけしないとね。」
今度は頷いてくれた。
「ということで、今日最初の任務は農作物の収穫の手伝い、じゃあいこう!」
「手伝いって……まあ、分かりました。はるの言う通りにします。」
「そうこなくっちゃ!じゃあ、ひとのいないところにっと」
「!?」
頬を赤らめている。勘違いすんなよ?この街でテレポートをしたひとはいない。だから見られちゃまずいかもしれないから、人がいないところに行くんだけど……
可愛いからほっとこう。
人がいないトイレの裏についた。決してさらに勘違いしやすくして表情を楽しもうなんて邪な理由ではない。
「あ、あのはる?ここで一体何を?農作物の収穫は…?」
「いくよ、そのまえにシたいことがあって……」
「!?ま、まだはやいよ!はる!さすがに!」
詠唱。
「ま、まさかその魔法で拘束して、わたs」
「テレポート!!」
日本の田舎って感じだ。目標の場所は少々遠かったのでテレポートを使ったのだ。ところで、ハイヤというと?
「テレポート、、そ、そうですよね!テレポートですよね!」
「なんだと思ったの?」
わかってはいたが、意地悪してみた。可愛いなあ、ハイヤは。あ、また赤くなってる。赤ボールペンかな?そんくらい赤いよ?死ぬよ?
「ところで、任務の場所はどこですか?行きましょう。」
治んのはやっ!?まあいい。
「ここをまっすぐいってすぐだ。なんなら待ってる?僕の魔法で一瞬だもん。」
「いえ、行きます。」
そうか。といいながらあるき始めてた。カップルみたいだ
ほんとにそうだったらいいなぁ。
「任務を受けてくれてありがとねぇ。せっかくだからお金は出せないけど、収穫した野菜はいくつかもってっていいからねぇ。」
任務の場所についていた。雇い主はひげのおじさんだ。
「いいんですか!ありがとうございます!」
ハイヤもお辞儀はしていた。
「では、頼むよ。少々腰を痛めてね。収穫できないんだ。」
「人助けならお安い御用です!」
収穫が終わり、いくつか野菜を持ってテレポートで帰った。いいおじさんだった。野菜がほしければ収穫時期ならあげると言われた。ありがたい。野菜はハイヤにほとんどあげた。ロリカに送るためだ。ロリカは施設で暮らしている。お姉ちゃんは冒険者やってるからね。楽しそうにやってるよと手紙が来るので、シスコンの姉も大喜びだそうだ
「よし、次の任務だ!」
と、意気込み今日は4つの任務を片付けた。黄色い月が昇ってきた。
「あ、あの宿のことなんですけど…どうゆうふうに泊まりますか?」
あ、やばい、けものになるのはよくない。
「そ、そうだな、別々でいいんじゃないか?いい年だし」
「いえ、お金のこともあるので今は一緒に泊まるべきです!!」
顔を赤くしながら言うことかね。なので、
「わかった。一緒の部屋で泊まろう。」
顔がまた赤くなった。
その夜は顔が赤くて寝れない人とけものにならないように必死になる。ということはなく僕は案外寝れた。
とても疲れてたらしい。
「おはよ。よく寝た?」
「は、はい。」
寝ていないようだ。僕は寝たのに、、なんかすんません。
「も、もうちょい寝てていいぞ、まだ早いし冒険者稼業もお昼からのやるつもりだから」
「あ、はい、ありがとうございます。」
そうして、僕は街を散歩すると宿を出た。理由?ハイヤが絶対寝れなくなるからだよ。全く可愛いなあ。
ぼ、僕の理性だって!………
「ふわぁ〜、おはよ、う?」
伸びをしながら言ってきた。
「おそようございます」
ん?ハイヤさん?そんな顔赤くして体確認して…ん?
何もしてないよ?
「なにを確認してんだよ。僕はこれをしてたんだよ。」
そういってあみかけのマフラーを差し出した。
「なんですかそれは?」
知らないのか?もしやこっちの世界にない?
「これはマフラーっていって寒い季節にっと、できた」
喋りながら作り終えたマフラーを首に巻いてみせた。
「こうやって使うんだー、あったかくていいぞー」
一度巻いたマフラーを取り、ハイヤに巻いてあげた。
「これがマフラー、いいなあったかい!」
「それはハイヤにやるよ、もう一個作る予定だから」
喜んでくれてなによりだ。つくったかいがあった、ん?
なにか予定が…?って!あ!
「おおい!行くぞ!協会お昼からの予定だぞ!」
「ん〜、ってあ!そうだった!」
急いで準備を進める。鎧を着るときにはトイレにいった。ん?なぜ?なぜでしょー。
「お、遅れてすみません!はるです!」
今日はお昼に依頼人と会う約束をしていた。
「お、来たな。遅いぞ、おいてくぞって護衛だからそんなんできないな。」
そう、今日は依頼人の護衛だ。都市ベテルギウスだ。
そこは聞くところによるととってもでかいらしい。
そして、ここから遠いので、報酬も跳ね上がる。いいね
「とにかくついてこい。こっちだ。あ、この荷物持って」
この依頼人は、なんていうか、怖い。愛想が悪い?のかもしれない。
街の出口についた。そういえばこの街はプロキオンと言うらしい。なんかこんなのあの世界で……?まあ、当時カタカナを使ったことより戦術ばっかで覚えてないわ。
「んじゃ、行くぞ。おいてかれるなよ、てか腕の方は大丈夫なんだろうな?死にたくないんでよろしくな。」
「はい、安心してください。必ず貴方様を守ります。」
ハイヤは自信満々だ。いや、本当に守り抜くという決意がみれる。ロリカのときといい、ハイヤは……、良いやつだ
どれくらい歩いただろう。馬車みたいのは無いのだろうか。体感、だいたい25時間ぐらい?っておかしい。
どう考えても。休めよって思うでしょ?でもね、日が落ちない。ずっと太陽が照らしてる。
「カイさん、少し変です。休みましょう。いくら歩いても予定のポイントに着きません。あと、日が落ちません。」
「私も薄々ですが感じてました。一旦立て直しましょう。」
ちなみに依頼人はカイ、と言うらしい。しかし何だこの空間、
「ハイヤ、今歩いてる木に目印になるマークをつけろ」
「はい、分かりました。依頼人様は私とはるの間に来て歩きましょう。」
「ほ、ほんとに信用していいんだろうな!?し、死にたくない!」
ほんっと自己中だなあ。でも依頼人だから守らないと。
というか一度知り合った人は絶対に助ける。
僕はヒーローだから。
この人も、そうだ助ける
詠唱。「結界。」
青いエフェクトと光で目の前を包んだ。
「おい、なんだこれ」
「安心しろ。これは結界。お前たちを守る。」
「はる?口調が……」
これは誰かの仕業?いや、森に隠された何かだったり、
いや、勘だが誰かの仕業な気がする。
僕の直感は当たるんだぁ。
「走りたい、マーク忘れんなよ、ハイヤ。カイさん、走るからおんぶする。乗ってくれ。」
いそいそしている。なにか良くない気がする。
僕らは走った。
「やっぱり、ここループしてるな。魔法の類か?」
詠唱。「解除魔法、さあオープン!」
………。なにも起こらない。どうしたら?
詠唱。「オーバー、、ドライブ!!!」
僕は結界を出て特大な炎魔法をぶちまけた。
木を燃やしたかった。
「あー、あー、あー!!うっぜえなぁ!!何だお前!!」
人だ。やっぱり、人によるものだった。
「お前の仕業なのか?」
睨んだ。敵を
「はるー!無事ですか?」
ハイヤが走ってきた。
「おー、おー、おー!!大層な美人連れてんなあ!」
睨んだ。
「それよりハイヤ、依頼人は?」
「はい、結界のなかに置いてきました。」
これで、存分に戦える。でもまず、
「おい、お前は誰だ何のためにやった?どっから来たぁ!」
どう考えても敵みたいだ。まあ、情報は必要だ。
「あぁん?俺は幻惑のルーだ!ライラ協会のなぁ!」
ライラ協会?
「なんだ?ライラ協会って、お前みたいなゴミがわんさかいんのか?」
「どうか落ち着いて、はる!」
落ち着いてなんていられない。今でもこんな奴らがどっかで人に危害を加えてると考えると……くっそが。
「ゴミとは酷いなぁ!俺らだって絆で出来てんだよ!お前なんかに壊されることのないさいっこうのなぁ!!」
そんな戯言を言いながら、姿を消した。
「逃げるとは卑怯だなぁ、絆でできたやつのもとにでも帰ったか?出てこいよ!」
詠唱。「姿をあらわせ、マーク!」
姿をあらわした。実は木々のどこかに隠れていると考え、ハイヤにマークさせながらこの魔法に適用されるマークのしるしを走るときの風に任せ、撒き散らしていた。
「はぁ、あんたもしかして強いのか?ふざけんなょぉ!?」
「ウォール」「ウィンド」「豪炎の宴!?」
「な!?」詠唱。「結界!!」
ルーが魔法を唱えると土の壁ができ風魔法で壊し炎を壊れた土の欠片につけてこっちに放ってきた。
「くっ!?ハイヤ大丈夫か!」
「はい。はるの結界のおかげでなんとか。」
どうやらハイヤも無傷だ。
「シャドウ」
また姿を消した。
研ぎ澄ませ。研ぎ澄ませ。音までは消せてない。
聞け。聞け。聞くんだ。
詠唱。
「ここだぁ!!」
「拳ぃ!レッド、ブルーゥ!!」
掛け声と共に火をまとったこぶしは見事に命中した。
そう、魔法使いはやり方によっては近接でも戦える。
「かはっ!?だがいい。お前は魔法使い、誤算ではあったがいい収穫もあった。」
「ブロック!」
詠唱。「オーバードライブ!!」
………。何も起こらない。
「まさか!?」
「あぁ、魔法封印だ、どうするんだ?」
「はぁー!?」
「ウォーターブレイド。」
キンッ!?激しい鍔迫り合い。ハイヤとルーの一騎打ちとなった。
「あんたのおかげでいいヒントになったよ!なにもとおくから戦う必要なんてねぇってなぁ!!」
「お前の、ために、やったわけないだろ!」
ハイヤも切れてる。
「私ははるに救われた。やっと恩返しができるときが来たんだよ。やっとねぇ!」
「でも、あんたは弱い。俺に勝てるわけねぇんだよ!」
どうすれば。魔法の情報を思い出せ。思い出せ。
はっ、
「ハイヤ!こっちにちょっとこい!」
寄ってきてくれた。
「そんな時間与えねぇーよ!」
キンッ。
「いい、話せ!今ここで!」
今?でも今しか……
「わかった、よく聞け、」
「ああ、手短に頼むぞ」
キンッ。
「あと2分耐えろ。」
キンッ。
「2分!?まあ任せろ!」
キンッ。
詠唱。
「なに話してたんか知らんが、どうせ仲良く棺桶入りだ!」
詠唱。
「うるさい!ここでは死ねない、死ねないんだよ!」
詠唱。
キンッ。
「豪炎の宴!」
「く!?あ、はぁぁぁ!」
詠唱。
「そんなみすぼらしい剣で戦えるわけ無いだろ!」
詠唱。
「うるさい、これははるからもらった大事なものだ!お前なんかに」
パキッ。剣が弾けた
詠唱詠唱詠唱詠唱詠唱詠唱詠唱詠唱
「おっまたせ、すまんな。僕からの剣おらせて、まあみとけ。」
「んな!?なぜ、魔法が!」
「この魔法はどんな状況でも覆す魔法、封印されようがなぁ!!」
「まさかお前!その魔法はあの、あの、あのお方の」
「死ねぇーーー!規格外の、ultimate。」
音にもならない音で一体を巻き込んだ。それはもう凄い勢いで。跡形も残らず。
「グッバァイ。」
僕は、ヒーロだから。そのまま意識が…とだえ…た
一戦を交え、我を失ってどれくらいたっただろう。
目を開けると、僕は周りの景色が変わっていた。
「お、起きたか!結構眠っていたぞ!大丈夫なのか?」
「あ、ああ僕は一体何を…」
記憶を失ったわけではない。僕は信じられないんだ。
誰かを失いそうになると我を失う。そのことではない。
あのとき、僕は焦っていたんだ。戦闘において焦ったことは死に際しか…いや、一つの感情が強くあったせいか覚えてなかった。なんの感情だったか…?
まあいい。
「おい、はる?もう一回聞くが、大丈夫なのか?」
「お、おう!大丈夫だ、そういえば依頼は?」
「はい、そのことなんですが、依頼は終わりました。今帰っているところです。」
「あ、すまん、てかほんとにどんだけ寝てたの!?」
「だいたい4日?かな」
4日!?そんなに!
「道中は大丈夫だったか?まあ大丈夫だからここにいるんだけど。」
「そうですね、道中は特に心配はなかった、でもはるが重かった。」
!?
「ほんっとすみません。」
はぁ、っとため息をついていた。
「んしょ、こっからさすがに自分で歩くわ、ありがと」
「わかりました、ではとりあえず帰りましょう」
「ああ、帰るか!」
「こんばんわー」「こんばんわー」協会についた。
「長い旅でしたね。こちらで、報酬を受け取ってください。」
「ありがとうございます。」
報酬の用紙を確認していた。えっといくらかーっと
「30万イェン!?」
目を見開いた。こんな額がもらえるとは、カイさんには感謝だな。
「ハイヤ!今日はいっぱい食いまくるぞー!」
「はい!」
元気よく答えてはいるがなんかこう、腑に落ちないな。
目は笑ってはいなかった。
宿についた。この宿も久々な気がするなぁ。
お世話になってるからな。
「今日は疲れただろ、風呂入ってきちゃえ」
「……はい。」
やはり腑に落ちない。どうしたんだろうか、一体。
まあいい
「ダーイブ!」
俺はパンイチになり布団にダイブした。やっぱりふっかふかだなぁ。
それよりこの前のやつは一体…
「死ねぇーーー!規格外の、ultimate。」
言葉は覚えているが、自分でやった感覚はない。一体何だったんだろう。でもあれは自分でもすごい魔法だった自覚がある。あのとき自覚なかったけど、
茶を注いだ。ふー、ふー、ふー。ずずずず。
「ぷはー、まあ今考えてもしょうがないかー。」
「あがったぞ。いい湯だった。久々だったからより良かった。」
「じゃあ僕も入ってくるかー」
「あ、あとパンイチになるのはは、はやいです……」
「え?あ!すまん!すぐさま入りますね!」
パンイチだった!
風呂に入った。
風呂から出た。っとあ!ハイヤはもう寝てるか。
てかもう寝れるのね。まあ信頼されたってことかな?
それなら良かった。
さて、僕も寝るかー
「は、はる起きてる?」
「え?ああ、起こしたか?すまない。」
沈黙。
「あのときはるははるじゃなかった。正直怖かった。あれは一体なんだったんですか?今の貴方ははる、なんですよね?信じ、ていいんですね?」
沈黙。
「僕は僕じゃなかった。あのときは、僕もなにが起きたか分からなかった。なんであんなになったのか分からない。」
でも、
「でも今の僕は僕だ。安心してくれハイヤを僕と関わった人、いやそんなの関係なくみんな助ける
僕ははるだ。」
「それは、良かったです。ねぇこれからもはるでいてね あと、これからもよろしくね!」
涙ぐんでいる。声が震えている。まだまだ短い付き合いだとは思うが、大切な仲間だ。
「よろしくな!明日も任務をやるから!」
もっと、いいことを言えたかもしれない。でもそんないい言葉はかけることはできなかった。
「ふふっ、はるらしいわ。おやすみ」
「おやすみ!」
良かった。笑ってくれた。
朝が来た。お、今日は僕が先に起きた。
協会に用があったんだ。じゃあ、
(いまから協会に用があるから行ってくる。起きたらテーブルにあるパンを食って早めに来てな)
手紙を残しておいた。
それから出かけた。
「おはようございまーす。」
「はやいな!はる!」
「お、レイ!お前こそ早いな!」
そう、僕はパーティーの募集をしていた。そこにレイというヤツ来たんだ。本当にありがたい。
「もうちょっとでもう一人のパーティーメンバーがくるから待っててくれ。」
「おう!」
タッタッタッ。「おはようございます!」
走ってきたのは銀髪の髪に鎧を着た美女だ。
「ん?なんだあの美人?」
「あれはハイヤ、俺の、俺らのパーティーメンバーだ!」
「おお!」
「あの、その方は?」
銀髪の髪が地面に向かって垂れている。
「ああ、新しく入ったパーティーメンバー!レイだ!」
「レイさん?ですか、よろしくお願いします。私は剣士、ハイヤだ。知っての通りはるのパーティーメンバーです。」
「おお、俺はレイ!パーティーメンバー募集の紙を見てきたテイマーだ」
テイマーとは一部の魔物を仲間として共に戦うことができる職業だ。冒険者の中では珍しく、扱いが難しいらしい。でも、使いこなせたら強そうだなぁ。
「テイマーになってどんくらいなんだ?」
その頃には酒を飲み干していた。
「ぷはぁ!テイマー歴だろー?そうだなぁ、大体5年くらいたったとは思うなぁ。」
5年!長い、こんな初心者パーティーになぜ……?
「5年ですか。随分と長いですね。私は3年ぐらいです。」
「!?」
ハイヤって3年も剣士やってんの?肩書き的にはリーダーの僕が一番初心者なの?まじか。
「そうゆうはるはどのくらいなんだ?」
「えぇ!?そうだなぁ、秘密とかは……」
「ん?隠すことではないだろぉ!俺らパーティーだろ!」
違う世界から来ました〜!なんて言えるか!
「そ、そうだなぁ、戦うことに関してはお前らよりは長いかなぁ」
「そうなんですね。私も初めて知りました。」
なんとかなった!リーダーで魔法使い歴あっっさいなんて知れたら……、死んでしまう。
「そ、そうだ!任務、任務行くぞ!あ、ほらこの新しく入ったこの………」
ん?なんだこれ?なんだか、僕たちのために作られた任務のような…?
条件
テイマー
剣士
魔法使いの3人パーティーのみ
って完全に僕たちにやらそうとしている?
「ハイヤ、この任務妙だ。僕たちのために作られたとしか考えられない。まさか、ルーを倒したのと関係があると思うか?」
沈黙
「そうですね、その考えは少ない気がします。奴を倒したときは私達を以外誰もいませんでしたし…考えにくいです。そうですね、ルーが他の仲間と連絡を取っていたとかですね、考えられるのは。」
ほう、なら
「ありがとう、わかった。この任務受けよう。」
「正気ですか!?これはもしかしたら罠の可能性もあるんですよ!」
「それでも、やる。分かったか。」
そう、僕は、ヒーローだから。
「分かりました、リーダー!頑張りましょう。」
あきれたように承諾してくれた。さすが僕のパーティーメンバーだ。
「レイー、これ受けるぞー、お昼からだからまだゆっくりしてていいぞー、あっ、でも飲み過ぎんなよー」
沈黙
「あぁ、分かった。受けよう!」
ん?一瞬、素が見えたような。
気のせいか。
お昼になり僕たちは任務の場所に向かっていた。
「ハイヤー、こっちでいいのかー?」
「はい、こちらです。行きましょう」
こうゆう指示役はハイヤが適任だ。あっちの世界でも僕はみんなが行った方向に行って戦っていただけだから。
方向音痴とまではいかないものの、そうゆうのは自信がないです。ハイヤありがとう。
「レイー頼むぞー、初仕事!」
「おお!レイーじゃなくて、レイだ。後々忘れるなよ!」
詠唱。「召喚!索敵、来い!ピッケル!」
魔法陣から出てきたのは鉱石が掘れそうな道具ではなく、索敵ができるらしい魔獣だ。ピッケルは、名前らしい。
「ヴゥ、………」
叫ぶのかと思ったけど、そんなことなく静かに索敵し始めた。
「よし、周辺にはいないぞ。安心しろ!」
どうやら、ピッケルの声が聞こえてくるらしい。
「こいつ便利だなぁ、顔見なければただ可愛いわんちゃんだぁ!」
「そうですね、ありがたいです。」
その後も順調に任務を進め、今回の目標兼この森のボス、フライスネークがいる場所に着いた。飛んでる蛇
怖いです。まあ、なんとかなるだろ。そんなことを考えていると
「シャァーーーーーーー!!!」
もう、どう考えてもボス、フライスネークだ。
「来たぞ!陣形をとれ!レイ、ハイヤ、頼んだ!」
「おうよ!」
詠唱。「召喚、ベル!」
デコイ持ちの魔獣、ウォールランプを召喚した。
「はぁぁ!」
勢い良く飛んでいったのはハイヤ。
「作戦通り、しっぽからぁぁぁ!」
怖いですよぉ、怒らせてはいけない人ですね。主に…そうだな、女性の方とか。何考えてんだ、僕。
「そろそろ、僕の、出番かな!」
杖を振り回しながら決めポーズ!
詠唱。「ウォーターポイズン!レイ離れさせろ!ハイヤ一旦下がれ!」
同時の返事だった。「はい!」「おう!」
よっしゃあ、いっくぜ、詠唱。「サンダー!」
僕は蛇ちゃんには打たなかった。何をしたって?手にまとわせたんだ。被害がでっかくなるからね、抑えるところは抑えないと!
「これが!僕の発想力!圧倒的な力だぁぁぁ!」
力強い拳、雷をまとった剣が蛇ちゃんに振り下ろされた
「ふぅ、片付いたな。」
「さすがですはる」
「すっげえなあ!はる!」
「まあね、ありがと!」
今回も楽勝楽勝!あれ?苦戦したことねぇわぁ!あ、これフラグってやつなんじゃ……まあいいや!
冒険者協会についた。
「おつかれっすー」「おっす!」「お疲れ様です。」
そういえば、敬語が根付いてるなあハイヤ。
「お疲れ様です!討伐報酬はこちらで伺います。」
「はいよー、いつもありがとうねー」
「いえいえ、こちらこそ。」
にっこり笑いかけた。協会の方は可愛いなぁ。
ゴゴゴゴゴ。
「!?」
殺気をハイヤさんから感じました。怖いです。助けてください、レイく………飲んでますね。酔い潰れてます。早すぎです。
「んぁ?どうしたはる?なにかうったえるようなヒクッ目をしてー、モテすぎて困るわーとかヒクッいっらないからなぁぁ!!」
ヒクッじゃねぇよ、いくらなんでも飲みすぎでしょ。あと最後、なにあの巻き舌。すっごかったぞ、誰かがレイの舌でれんだー!してるのかと思いましたよ。まったく。
耳打ちさせろと要求してみた。
「あぁん?なんで男の耳かきしなきゃいけないんだ!」
あぁん?はこっちのセリフなんだよぉ!まあいい、ハイヤさんにはあとで甘いものを……
ゴゴゴゴゴ。
ま、まだ怒ってらっしゃる!?
ゆ、勇気を出して!
「ハ、ハイヤー、どどどどどどうしたの?顔がいとおかしですよー?」
「いとおかしかは知りませんが、別にどうもしません。」
まだ怒ってます。うーん、なにかー、なにかー、なにかないのか。地獄の炎にまとわれたものをとる方法はー?
「お、お水とかー、お飲みになられますかー?」
「?なぜお水なんですか。大丈夫です。」
くぅー!木材オーストラリア級に、油まっしましやなぁ!
地獄の炎が地獄の閻魔様奥義!なんとかかんとかワンパンー!ぐらいの規模ですよ。
こうなったら…自意識過剰かもだけど
「と、突然なんだけど、僕について話したことなかったから僕についての質問とかー………」
必殺技がハイヤの体に戻っていく。静まった?正直、おもしろ半分だったんだけど。
「では、カイとの戦いのことなんですけど。」
カイ?あの依頼の時のか。
「いいよ。それでいいなら」
顔があらたまった。
「はい。では、あの、戦いのとき、あれは…はるではありませんでした。い、一体なにが起こったのか、教えてくれませんか?ってすいません!なにを言ってんだろ……」
そういえばあのときの記憶って、あまりない。だから言えるのは。
「ごめん、その時の記憶は正直あまりない。心配させるかもしれないけど、仲間に、誰かを失いそうになった途端、どこかに沈むよ、う、な?」
自分でもなにを言ってるのかわからなくなってきた。
当たり前だ。だって、どこかに沈むなんてそんな感覚、覚えてな……いや、なにか、思い出せるような…あぁくそ!
思い出せない。
あの、「あの、はる?大丈夫?」
「え?ああ!大丈夫大丈夫!とりあえずあのときの戦いのことはこれで。ごめん。」
「あ、いえ、ありがとうございます。また、なにか分かったら言ってください。悩みとかでもいいですよ。」
「うん、ありがと。」
この話は終わり、その後はみんなで飲んで、その場にいた冒険者とも仲良くなった。とにかく楽しかった。
でも、なんで気づかなかったんだろう。あの男が、仲間が、酔い潰れていたはずのレイがこの場にいないことに
「はぁー、楽しかったなぁ、ハイヤ!」
「はい。楽しかったです。ですが、レイさんの様子が見当たりません。」
ん?そういえばいないな。僕だって経験を積んできた。
空気がおかしい。この時間はバカップルがめっちゃ蔓延る。だれ1人としていない。いや!だれ2人か?あは☆
ガルル ガルル ガルル
敵か?なぜこの街に?
「ハイヤ、様子がおかしい、戦闘準備だ。避難はしてるのか、意図的にこうなってるのかはしらんが。」
「はい。準備はできてます。ちなみに声では3匹程度ですが、実際は気配的に…信じたくはないですが50は軽く超えてます。」
ふぅー
「50!?そんな数が……、ほんっと信じたくはないな。ま、やるしかないらしいし、多分意図的だ。誰かがこうしたんだな。絶対に……」
眉間にしわが寄せられてきた頃、ハイヤに服の裾をくいっされた。
「あの!絶対にあんな誰かも分からないはるにはならないでね……」
心配してくれてる。実際、なんであんなことになり、記憶がないのかはわからない。が、
「ああ!心配すんな!無駄なく、誰も怪我の一つもさせるわ……」
ハイヤがいなかった。隣にいたハイヤは魔獣だった。つまり、化けていた。ハイヤに。
「は?くっ!?」
堪えた。あの状態になるのは危ない。ハイヤは一体どこに
冒険者協会を出た頃にはもう魔獣と歩いてた?その前からかもしれないな。つまり、怪しいやつは……
考えたくもないが一人しかいない。
「スー、ハー、よし!とりあえずおまえらだぁぁ!」
詠唱詠唱詠唱詠唱詠唱「武装!一気に片付ける!」
詠唱が終わると体には雷のスーツ、炎の翼、毒の羽が武装されていた。
「いっくぞごらぁぁぁ!!」
「閃光玉!」
「なっ!?」
突然視界が明るくなった。
「は?なんなんだよ、これ。」
一瞬の出来事すぎた。聞いたことのある声。知らない場所。一匹だけ残された魔獣。そして、
ここに一人の、僕。
もちろん、魔獣は一撃で倒し、眠りについてしまった。
結論として言いたいことがある。
いつだって物語は
急展開だ。