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苦い思い出のとおり

作者: Soraきた

苦いコーヒーだったな

少しずつだけど飲めるようになったことを

あなたは褒めてくれることもなく

自分の顔を隠すようにして

さっきから新聞を読んでる


窓の外には

小さな子供たちが

家族みんなと手をつなぎながら

店の入り口の方へやってくる


たぶん、上の子はソーダ水で

下の子はオレンジジュースなんだろうな

そんなことを想像しながら

わたしは現実に引き戻されるように

目の前にある暗黒ような液体に目を向ける


「やっぱり、オレンジジュースだったかな・・」

少し後悔をしながら

わたしは

今話題になってる雑誌の記事について

目を向けた


あなたといる時間分

読んでいる活字は「幸せ」の意味へとつながり

わたしの中の

あたたかな気持ちに連動してゆく

暗黒とは呼んではいけないアイスコーヒーを

喉に通しながら

いつしかあなたとわたしのあいだにあった障害物は

取りのぞかれ

あなたがわたしを見ては

ニコリと笑ってる

恥かしいな・・

そんなふうに見られると


たまらず、視線を横にずらした

さっきの子供たちが

少し中腰の姿勢をとりながら

オレンジジュースと

真っ青に透き通ったシュワシュワを

口にして喜んでいる


「やった! ビンゴ・・」

わたしがさっき予想したとおりだ

いいな、あんなに無邪気に喜んでいて


少し声が大きかったせいか、

あなたがすかさず

どうしたの?と聞いてきた


「いや・・」と

わたしは

あなたを見つめる目を

手前に落として

苦笑いをしながら

暗黒とは言えない、コーヒーを

飲み干した


あなたが首をかしげていたから

もう一度、笑顔で返した





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