気になるその後1
「てな訳だ」
「な、なるほど」
さらっと話された内容の重さに、春樹は適切な表情を模索するのに精いっぱいで生返事
しかできないでいる。
「みっちゃん・・・」
乙葉も同様に、友人に対してどんな感情を持っていいのか分からずどこを見るでもなく
ただうつむいている。
「でも、これ僕たちに教えてよかったんですか?」
聞いたのは自分たちだが、内容が内容だけにあまりにあっけらかんとしている撫子の様
子に違和感を覚える。
「あ? 近藤から頼まれたのは見つけ出すまでだが、お前たちからの依頼は真相の解明だ
からな、仕方ない」
「仕方ないって・・・」
その一言で済ませていいのかと若干あきれつつも、話に一区切りがつき春樹が次の言葉
を探し始めたとき言葉を失っていた乙葉が何かに気づく。
「あ! 教室、二人会っちゃいますよ!?」
焦った彼女の言葉とは真逆で、表情を崩さずこれまた淡々と撫子が答える。
「そうだな」
「いいんですか!?」
「問題ない」
「でも・・・」
「はぁ、心配ならこっそり見に行けばいい」
「そうしましょう! 先輩、ほらはやく!」
「おい、私はいい! ちょっ聞け! ひっぱるなぁぁぁ!」
残された男子生徒ふたりは、先程の頭をかくことも憚れるような重い空気とはちがう静
寂を味わっていた。
『えぇ~・・・』
「・・・春樹、俺たちも行くか」
「・・・そうだな」
正直、あまり気乗りはしない。ただでさえあまり接点のない生徒のそれもヘヴィな事情に
首を突っ込みたくはないが、気にならないわけではない。ここまできたら最後まで見たいと
いう自分の好奇心に二人は大人しく従うことにした。