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日本の各宗派と同じように
キリスト教にも様々な教派があります。
その中でも有名なのが……
『カトリック』と『プロテスタント』です。
カトリックは昔からある宗派で、
ローマ法王を最高指導者とする
ピラミッド型の組織と言えるでしょう。
古くからの伝統や習慣を重んじ、
礼拝は必ず教会ですると決められています。
プロテスタントは宗教改革の影響により
カトリックから分かれた分派です。
あくまで諸教派の集合体であって、
全体の指導者や統括組織など存在しません。
聖書のみに従う平等主義者なので教会は必要なく自由に祈れます。
――どちらも元を辿れば同じですが
政治や不正行為に於ける
社会的背景が絡まり分裂したようですね。
それでは区画整理の話をしましょう。
以前説明しましたが天上地区から桃仙、松竹梅と
円状に広がる土地は内側が第一区画となり天界人が居住。
次に第二~第五区が魂たちの住まいです。
そして第二桃仙区より
お寺と教会が隣り合わせになっています。
神社仏閣と教会の外観ですが、
桃仙区の豪華絢爛な仏閣や教会から
松竹梅地区まで向かうと飾りは抑えられ、
逆に建物は広く大きくなっていきます。
そうそう、仏教とキリスト教が隣同士でも
外の景色は全く違うので記載しておきますね。
お寺付近には蓮の花が浮かぶ広大な池があり、
魂たちはその花に乗って遊んだり休んだりしています。
さらに山と澄んだ川が流れていて
修行や行水がいつでも行えるのです。
一方、教会の横には温泉があるんですよ!
ローマ帝国で栄えた大衆浴場、テルマエ。
入浴の他に沐浴も出来る仕様で
サウナと共に数々設置されております。
もう一つ、魂の説明がまだでしたね。
天国に入国すると軽い基礎知識を学び、
合格したら銀色のシールが貼られます。
直径10㎝の丸く透明な形から人型は可能で、
稀に人間の姿で湯銭に浸かっていますよ。
一度、女性専用の温泉を提案したのですが
魂のままなら混浴でも問題ないと却下されました。
――此処にいる方は、皆んな大らかなのです。
天国へ来るには地獄で審査判定をしますが
もちろん例外も御座いますよ。
善行を行った者には、
天女たちが楽を奏でながら迎えに行くのです。
当然、審査なしに第二桃仙区へ運ばれます。
他の方々は蜘蛛の糸で運ばれる形で、
再び地獄へ落ちないよう人型となるのです。
結構な距離を進む為にヘロヘロとなり
天界に着くとすぐ魂へ戻ってしまいます。
大きな籠を担いで倒れた魂を回収するのも
白い黒子である私の重要な役目なんですよ。
その記憶があるので、皆さん魂でいることを望むのでしょう。
歓迎の意味を込めて楽を鳴らしているのですが、
ほぼ気絶してるので残念ながら誰も聴いてないと思います。