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さて次はキリスト教の説明ですね、
紀元前4年頃イエス・キリスト様が誕生します。
神の国の福音を解き、
罪ある人間を救済する為に十字架に架けられ
その後復活したイエス様を祀る宗教です。
イエス・キリスト様の逸話は物凄いですよね、
海を割って移動したり
水を葡萄酒に変えて病気を治したり etc……
そして最も有名な宗教文書が『聖書』で
旧約聖書にはキリスト誕生前、
新約聖書はキリスト誕生後が載っています。
膨大な教典の中から一部抜粋してみますね。
『汝の敵を愛せよ』
マタイ 5・43~48にある言葉ですが、
これは当時の風潮に対する逆説なのです。
その頃、異教の信徒たちは
信じる者以外は全員敵とみなしました。
そこで敵とは誰かを問い詰めたのです。
「汝が敵だと思っている者が
本当に敵なのかよく考えて下さい。
貴方たちは愛すべき者まで敵とみなしていませんか?」
イエス・キリスト様は、
掟に盲信する危険を察知したのでしょう。
現代でも考えさせられる文言ですよね。
宗教関係では度々争いが起きていますから
それぞれの価値観を否定することなく
認め合い仲良く出来れば良いのですが――
十人十色のように各々違って当然であり、
違うからこそ互いに学べるものと捉えたら
様々な確執も減少するかもしれません。
さてさて、イエス様も外国の方なので
日本でキリスト教を纏める人が居りません。
そこで初めて布教に尽力した
フランシスコ・ザビエル様に頼んでいますよ。
彼はポルトガルから
イエスズ会の教えに従って中国を目指し、
1549年に隣りの日本国も文明が進んでいると
ヤジロー、後にアンジローから聞いてご来航されたのです。
上陸後、後奈良天皇及び
足利義輝へ拝謁を懇願したのですが失敗。
因みにイエスズ会とは
『世界中にカトリックを増やそう!』
を掲げた団体でザビエル様はその会員でした。
日本では仏教が浸透していた為に
かなり迫害を受けたようです。
それにも関わらず、
キリスト教へ改宗させたのは凄いですね。
最終的に2000人まで信者が増えました。
ですがインドで仲間が困難に遭っていると聞き、
助けに出たまま還らぬ人となったのです。
「度々困難に見舞われて大変でしたね」
「いえ、生前にも意見を述べましたが
日本人は親しみやすく、皆さん善良です。
どの異教徒よりも優秀な方々でしたよ」
さすが宣教師さま、お心が清いのですね。
「日本国が褒められて嬉しいです」
「しかしキリスト教では重罪な
男色の相手となる稚児には驚きました」
ザビエル様はしみじみと懐かしみます。
昔のお坊さんは恋愛禁止でしたからね……
「ふふ、それで叫んだ訳ですか?」
そのエピソードは知っていたので笑うと
「ええ、それはダメです!
と窘めたら僧侶達から追い出されました」
「すみません、それは俺のせいなんです。
同時通訳に失敗しまして……
ザビエル様やお坊さまを混乱させました」
ヤジローさまがガックリ肩を落とします。
「いいのですよ、アンジロー。
詳しく下調べをしなかった私にも非があります」
おお~美しい師弟愛の絆です。
「文化の違いは難しい問題ですよね」
「イエス。言葉の壁もありましたし――
ですが今は頭ごなしに否定しませんよ、
仏教とキリスト教が隣り合わせでも
こうして上手く廻っているのですから」
天界では仏教も教会もお隣同士です。
詳しい区分内容は、
教会の派閥を整理してから行うとしましょう。