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皆さんお元気ですか?
私は日本の神、火須勢理命と申します。
気軽にホスセリと呼んで下さいね!
前回、神話ばかりでしたので
本日は他の神々について語りたいと思います。
最初に告げておきたいのですが、日本神と仏教
そしてキリスト教や他教に垣根は御座いません。
強いて言えば我々日本神は魂の管理で
他の教神さまは魂を癒す担当なだけですよ。
どちらが一番などと考えず、
自由に楽しく読んで頂ければ幸いです。コホン、
私もまだまだ未熟で上手く伝えられるか不安ですが――
まずは仏教の起源から話しましょう。
お釈迦様、本名ガウタマ・シッダールタ様は
紀元前5~6世紀頃、国王の子として生まれ
誕生した直後に7歩あるき「天上天下 唯我独尊」と言いました。
意味は『世界に生きる人々は皆、尊い』です。
生まれたばかりで真理を解くとは……
やはり偉大な方はスタートから違いますね。
王子として贅沢な暮らしをしていましたが
成長するにつれ人間が陥る老い、病気、
死の苦しみを考えるようになり出家を決意します。
お釈迦様は長い苦行で身体を壊しつつも、
菩提樹の下で何日も瞑想をして悟りの境地に達します。そして―
『人生は思う道りにはならず、苦である』という真理に辿り着きました。
悩みや苦しみを「四苦八苦」で表し、
一番の原因は人間が抱える『煩悩』だと究明します。
更に、生きることは何かと言う問いに対し「諸行無常」の考えを説くのです。
『世の中の全ては移り変わるもので、何一つ確かなものはない』
富や名声、命も永遠には続かないもの。だからこそ
物事のあらゆる執着を捨て、苦しみと離れた生き方をする……
いわゆる煩悩を無くすことが理想との見解ですね。
もう一つは「諸法無我」の教えで、
『全ては繋がりの中で変化しており、単体で存在するものではない』
互いに影響を受け合い、因縁を結びながら生きていると云う意味です。
つまり、お釈迦様は
「生きることは思い通りにならないから
あらゆる執着を捨てる為に修行をしなさい」と仰っているのです。
その修行として以下の『八正道』を広く勧めています。
一.「正見」 正しいものの見方、考え方を持つ
二.「正思惟」 怒りや憎しみに左右されず、正しく判断する
三.「正語」 嘘や悪口を言わず、正しい言葉
四.「正業」 殺生や盗みをしない
五.「正命」 行儀よく規則正しい生活
六.「正精進」 善に向かって努力する
七.「正念」 正しい意識、思いを保つ
八.「正定」 正しい心を持ち続ける
ザックリ説明で申し訳ありませんが――
これら八つの正しい行いこそ、
苦しみから解放される修行とされています。
安らかに生きる為には
思い通りにならないことが沢山あると知り、
自分本位に考える癖をなくすこと。
そして全ての人々が繋がっているからこそ
思い遣りの心が大事だと我々に説いているのでしょう。
さて、既にお気付きだと思いますが
お釈迦様はインドの方です。
ええ、残念ながら日本に在住しておりません。
年に一度、桜が満開の頃に来て頂く尊い方なのですよ。
各区で有難い説法をしてもらうのですが、
魂が満員なのに対して、日本神の出席率はとても低いのです。
皆さま何故かその日になると用事が多い、
ですが打ち合げパーティーには全員参加――おかしいですよね?
正直、酒好き吞兵衛たちのような……
「まああ、今年も参加人数が少ないですわね」
ギクッ! 私の心を読んだように、かぐや姫が微笑みます。
「は、はは。皆さまお忙しいのですよ」
「そうかしら? 宴会の時は大勢いるのに――」
ギクギクッ! 核心を突かれそうです。
「済みません、かぐや姫。
お釈迦様に御挨拶へ行くので此処で失礼します」
「もう~いつもお忙しいのね!」
ええ、ええ、私を含めて皆さまご多忙なのですよ!!