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おまけ フリルフレアとドレイクの一手間クッキング 麻婆豆腐編

     おまけ フリルフレアとドレイクの一手間クッキング 麻婆豆腐編




(小声でこっそり)

「皆さんこんにちは。『赤蜥蜴と赤羽根』の美少女ヒロイン、フリルフレア・アーキシャです。今回は……初回に続き、前回もこのコーナーを滅茶苦茶にしてくれたドレイクをとっちめてやろうと思います」

 そう言ってパチンとウィンクするフリルフレア。ちなみにあまり様になってない。

「あ、とっちめると言っても別に暴力を振るおうとかそう言うのじゃないですからね?あくまで料理でドレイクを懲らしめるんです。そう……あくまで……悪魔で…料理で……フ…フフフ……」

 何やら不穏な雰囲気をかもし出しているフリルフレア。そんなフリルフレアの後ろからドレイクが現れて「おーい」と声をかけて来た。その声にフリルフレアは不穏な雰囲気を一瞬で消し去ると、偽りの笑顔で振り返った。

「あらドレイク、どうしたの?」

「どうしたのって……俺とお前の一手間クッキングのコーナー始まるぞ?」

「タイトルはちゃんと言おうよ。あと、何度も言うけど、『ドレイクと私』じゃなくて『私とドレイク』だからね!」

「いや、それどっちでも良いだろ……」

「良くないの!このコーナーの主役は私だもん!」

 ムキー!と癇癪を起すフリルフレア。そんなフリルフレアを見てドレイクはため息をついた。

「はいはい、分かったよ。……………まったく、小さいことをネチネチと……」

「何か言ったドレイク?」

 ドレイクのぼやきはしっかり聞かれていたようで、フリルフレアが睨み付けてくる。ドレイクは「何でもねー」とため息をつきながら肩をすくめた。

「まったくもう……」

 フリルフレアはドレイクを睨み付けていたが、気を取り直すとエプロンを着けながらキッチンへと移動した。ドレイクもその後に続く。

「はい!それじゃフリルフレアとドレイクの一手間クッキング!はっじまっるよ~!」

「おおーーーー!」

 フリルフレアの言葉にパチパチと拍手するドレイク。しかし、適当に拍手していただけですぐにやめてしまう。

「ところで今回は自己紹介しなくていいのか?」

「あ~、そうだったね……」

(私だけ冒頭で自己紹介したから忘れてた……)

 そんなことを考えながらも、とりあえず自己紹介を始める。

「皆さんこんにちは。『赤蜥蜴と赤羽根』の美少女ヒロイン兼主人公のフリルフレア・アーキシャです」

「いや、主人公は俺だ」

「もう、うるさいなぁ。別に良いじゃない、もう一人の主人公ってことで」

「それなら『もう一人の』って、ちゃんと付けろよ。てか、そもそもお前ヘッポコすぎて主人公らしさが全くないんだが……」

「へ、ヘッポコ……失礼しちゃうわね!私今回の『赤蜥蜴と赤羽根と魔王の器』では終盤結構頑張ったつもりなんだけど!例えば、誰かさんが瓦礫に埋もれている間に巨大大喰い(ジャイアントイーター)と戦ったりとか!」

「それだって、倒したのは謎の赤い竜だろうが」

「う……それは確かに…そうだけど……」

 痛いところを突かれたのか、語尾が小さくなるフリルフレア。気まずそうに両手の人差し指をつんつん合わせている。

「まあ、主人公を名乗りたかったら冒険者ランクをせめて5くらいには上げてもらわないとな」

「ぐぬぬぬぬ……」

 悔しそうに唸り声を上げるフリルフレア。そんな彼女を見てドレイクはケラケラ笑っていた。

「さて、そんで俺が、『赤蜥蜴と赤羽根』の真の主人公、ドレイク・ルフトだ!まあ、今日はアシスタントだけどな」

 そう言って再びケラケラ笑うドレイクを密かに睨み付けるフリルフレア。

「ふん……マウント取っていられるのも今の内なんだから……おぼえてらっしゃい…」

「ん?何か言ったか?」

「別に~?」

 フリルフレアの小声の呟きはドレイクには聞こえていなかったようだ。とにかく、気を取り直してこのコーナーを進めることにする。

「オホン!……それでは今日の料理を発表します。今日の料理は……」

「今日の料理は?」

「麻婆豆腐です!」

 フリルフレアの言葉に、ドレイクがポカンとしている。

「マーボードウフ…?何だそりゃ?」

「ふっふっふ。ドレイクは知らないでしょうね!麻婆豆腐は東大陸のさらに東端にある国の料理なんだよ!」

「何でそんな東の端っこの国の料理をお前が知ってんだ?」

「もちろんママ先生から教わったの♬」

 そう言うとフリルフレアは鼻歌混じりに拳大位の豚肉の塊を取り出した。

「それじゃ、始めるよ。まずこの豚肉を挽肉にします。本来なら牛肉を使うんだけど、今回は予算の都合で豚肉です」

 そう言うとフリルフレアは豚肉をまな板の上に置いた。

「じゃ、ドレイク。前にやったよね?挽肉にして?」

「OK、任せとけ」

 ドレイクは親指をビシッと立てて応えると、そのまま親指を下に向けた。

「ドレイク、それOKじゃなくてブーイングするときにやるジェスチャーだから」

「あれ?そうだっけ?」

 頭をひねりながら「そうだったっけ?」とか言っていたドレイクだが、気を取り直して豚肉の前に立った。そして左手で豚肉を掴むと、右手で肉を引っ張った。豚の脂のせいか指が滑り上手く引っ張れない。

「ん……うまく引っ張れないな……」

「ちょい、ちょいちょいちょいちょい、ちょいと待ってくれるドレイク?」

「ん?どうした?」

「何やってるの?」

 フリルフレアの言葉にポカンとするドレイク。しかし、すぐにため息をつきながら肩をすくめると「やれやれ、困った小娘だぜ……」とか言い出しそうな顔をした。

「ひき肉にしろって言ったのはお前だろう?まったく、もう忘れちまったのか?」

「うん、確かに言ったけど……それで?」

 フリルフレアが人を殺しそうなほど冷たい視線でドレイクを見ている。しかしドレイクは嬉々とした表情で先を続ける。

「だからさ、ちゃんとこうやって引っ張って引き肉に………」

「ちょっと待ってくれるかな!引き肉って何⁉引っ張る肉と書いて引き肉って私初めて聞くんだけど⁉」

「え?………あれ?」

「あれ?…じゃないでしょ!挽肉なの挽肉!ミンチなの!ミ・ン・チ!」

「おいフリルフレア。喰い物を作るときに排泄物の話はいただけないぜ?」

「誰もウ○チなんて言ってないから!良い⁉もう一回いうよ!ミンチなのミ・ン・チ!」

「おいおいフリルフレア……ミンチって2回言ってるじゃないか」

「じゃかぁしい!このスカポンターン!」

 フリルフレアが叫んだ瞬間、フライパンのフルスイングがドレイクの頭に炸裂した。パカーン!と良い音を立ててフライパンが曲がる。

「痛てえなぁ。何すんだよフリルフレア」

「何すんだは私の台詞だよ!まったくもう……」

 ドレイクのあまりのアホさ加減に頭がクラクラしてくるフリルフレア。このままでは埒が明かないので、選手交代する。

「もう良いや……ミンチは私がやるからドレイクは見てて……」

「何だ見てるだけで良いのか?悪いなぁ」

「はぁ……」

 ため息をつくフリルフレア。ドレイクをちゃんと懲らしめられるのか、自信がなくなってきた。それでも仕方なく先を続ける。

「豚肉はスライスしてから、細切りにし、さらにみじん切りにしてから、最後に叩きます」

 そう言うとフリルフレアは豚肉を器用に薄くスライスしていく。そしてそのスライスを今度は細切りに斬っていく。さらに細切りにした後はみじん切りにし、最後に包丁でドンドンたたきながら細かい挽肉にしていった。

 しばらく豚肉を包丁で叩いていたフリルフレア。拳大の豚肉が全て引き肉になっていた。

「それじゃ次はメインのお豆腐なんだけど……」

 そう言ってフリルフレアがドレイクに疑わしげな視線を送る。どうやらドレイクは信用できないと言いたいらしい。

「お豆腐って柔らかくってとっても崩れやすいの。乱暴なドレイクじゃ絶対潰しちゃうと思うんだよね」

「おいおいフリルフレア。俺は別に『怒りの脱出』とか『最後の戦場』とかじゃないぜ?」

「うんドレイク、ランボーじゃなくて乱暴だから。多分耳かきした方が良いと思うよ」

「何だ耳かきしてくれるのか?膝枕で?」

「しません」

 ドレイクのアホな要求をキッパリと跳ね除けるフリルフレア。そして深々とため息をついた。

「はあ……。とにかくお豆腐は繊細な食材なんです。ドレイクは見てて」

「いや、俺もやりたい」

「まだお豆腐をどうするのかも説明してないんだけど……まあいいや、次はお豆腐を四角く切ります」

 そう言って包丁を構えるフリルフレアだったが、ドレイクが「俺にやらせろ」とばかりにその手を押さえた。

「ちょっとドレイク、邪魔しないでほしいんだけど……」

 ドレイクを睨み付けるフリルフレア。そんな彼女に対してドレイクはニコニコしながら自分を指差した。どうやら「俺がやる」と言いたいらしい。

「もう…自分が興味あることしかやりたがらないんだから……」

 ブツブツと文句を言うフリルフレア。それでも気を取り直して豆腐を一丁取り出すと、それをまな板の上に置いた。

「このお豆腐を一口大の四角に切るの………本当にできるの?」

「簡単だ、こうやってきりゃ良いんだろ?」

 ドレイクはそう言うと手刀で豆腐を切る真似をする。一丁の豆腐を半分の厚さに切り、その後縦に4等分、横に5等分するように切る真似をする。

「これで大丈夫だろ?」

「まあ……やり方は合ってるけど…」

 何か釈然としないフリルフレア。そんな彼女を尻目に、ドレイクは嬉々として背中の大剣を抜き放つ。

「……へ?」

 突然剣を抜くドレイクに、思わず眼が点になるフリルフレア。そしてドレイクは大剣を構えると、そのまま一閃する。

「チェアリャァァァァ!」

スッ、ドン!ドドドドン!

 ドレイクが大剣を振り回す。そして、何かが断ち斬られたような音がして、ドレイクの切った豆腐が綺麗な正方形に切り分けられていた。

「え………うそ…」

「フッフッフ!包丁は使ったことないが、剣の扱いなら任せとけ!」

 Ⅴサインしてくるドレイクだったが、フリルフレアは信じられないとばかりにその豆腐をつついた。

 そして次の瞬間…………まな板が綺麗に切り分けられ、上に乗った豆腐もろとも崩れ去った。

「……………………」

 フリルフレアの冷たい視線がドレイクに突き刺さる。

「…………ドレイク?」

「いやー、失敗失敗。斬りすぎちまったぜ!」

「やっぱりドレイクは信用できないので私が切ります」

 そう言ってフリルフレアは新しい豆腐を出すと、一丁を半分の厚さに切り、縦に4等分、横に5等分に切り分けた。

「次にこの長ネギをみじん切りにするんだけど……ドレイクやってくれ…なくていいや」

「何だそりゃ」

「どうせまた滅茶苦茶にするでしょ?ドレイクはこのニンニク摩り下ろしといて」

「ん」

 ドレイクはフリルフレアからニンニクを2欠片受け取った。そしてそのまま手の中でグシャっと握りつぶす。

「出来たぞ?」

「摩り下ろせっつってんでしょーが。はいこれ、新しいニンニク」

「ん」

 再びニンニクを受け取るドレイク。ニンニクを手渡したフリルフレアはまな板の上に長ネギを置くと、まず青い部分を切り落とす。

「長ネギのみじん切りはネギの白い部分を使います」

 そう言ってねぎの根元の白い部分を見せるフリルフレア。それを見たドレイクは再びニンニクを握りしめるとそのままあっさりと握りつぶし……。

「てりゃ」

「グオオオオオ!ちょ、おま…眼!ネギ!」

 トスッと音を立てて長ネギの断面がドレイクの眼に突き刺さる。問答無用のフリルフレアの攻撃に目を押さえて悶えるドレイク。さらに……。

「ぐわ!ニンニクの追い打ち!眼!ニンニク!」

 眼を押さえた手に握りつぶしたニンニクの汁がたっぷりついており、それが顔を伝って眼の中に入る。さらに悶えるドレイク。

「ちゃんとニンニクを摩り下ろさないから天罰が下ったんだね。いい気味……」

 のたうち回っているドレイクを見下ろしちょっと優越感に浸るフリルフレア。ドレイクを無視して長ネギを手早くみじん切りにした。

「長ネギは、もちろん細かく切れた方が良いんですが、別に粗みじんでも構いません」

「ヌオオオオオオ!眼、眼がぁぁぁー」

「後、ニンニクもドレイクに任せておくといつまで経っても出来ないので私が摩り下ろしちゃいます」

 結局ニンニクも摩り下ろしてしまうフリルフレア。ドレイクはいまだフリルフレアの足元を転がっている。

「さて、材料は一通りそろいました。あと使うものは各種調味料と鳥の骨で取った出汁スープ、水溶き片栗粉です」

「あ、白」

「なに人のパンツ覗き込んでるのよ!ドレイクのエッチ!エロ蜥蜴!」

 いつの間にか復活して転がりながらフリルフレアのスカートの中を覗き込んでいたドレイクだったが、その顔面を思いっきりフリルフレアに踏みつけられた。

「まったくもう……それでは調理に入りたいと思います」

 そう言うとフリルフレアは大きな取っ手付きの鍋を取り出し火にかける。

「何でも、麻婆豆腐を作るときはこのチューカ鍋とか言う鍋が良いそうです」

「なるほど、それでどうするんだ?」

「とりあえずドレイクは邪魔だから引っ込んでて」

「へいへい…」

 邪魔者扱いされ大人しく引っ込むドレイク。それを確認したフリルフレアは料理に集中することにした。

「ではまず熱した鍋に油を回します」

 そう言って寸胴からお玉で鍋に油を注ぐ。そして鍋に油を馴染ませると油を寸胴に戻した。

「そしてまず引き肉に火を入れちゃいます」

 そう言うと鍋に豚ひき肉を入れるフリルフレア。挽肉を炒めて火を通しながら同時にほぐしていく。

「挽肉はくっついているので炒めながらほぐすのがポイントです」

「なるほど~」

 後ろからドレイクがのぞき込んでくるが、それも無視する。

「挽肉に火が通ったら、まず味を入れていきます」

「いきなり味付けか?」

「そうだよ~、まあ見てて」

 そう言うと各種調味料の蓋を開けるフリルフレア。

「まず、そら豆を塩漬けにして発酵させた調味料トウバンジャンを少々。次に、大豆や黒豆に塩を加えて発酵させた調味料トウチジャンも少々入れます」

 そう言ってお玉でトウバンジャンとトウチジャンを入れるフリルフレア。

「さらにここに先ほど摩り下ろしたニンニクも入れちゃいます」

 鍋にニンニクを投入し、軽く炒めると、そのままお玉1杯分のスープを入れる。

「ここで鳥のスープを入れます。さらにお醤油を少々」

 お玉で醤油を少し入れ、そのまま汁の味を見るフリルフレア。

「うんOKですね。そうしたら豆腐を入れます、崩さないように注意して…」

 鍋に豆腐を入れるフリルフレア。そしてその上にみじん切りにしたねぎを放り込んでいく。

「ネギもいれたら少し煮込みます。そうすることで味がまとまります」

 そのまま弱火で煮込んでいくフリルフレア。ドレイクが後ろ手生唾の飲みながら尻尾を振っていた。

「なんか美味そうな匂いがしてきたな。今日は俺の分あるんだよな?」

「ちゃんとあるよ……って言うか、今日の料理は全部ドレイクの分だよ?」

「マジか⁉ラッキー!」

 嬉々として喜ぶドレイク。しかしその陰でフリルフレアが「そう……何てったってドレイクを懲らしめるための料理だからね……フフフ」とか言って暗い笑みを浮かべていたことをドレイクは知らない。

「さて、煮込んだら最後に水溶き片栗粉を入れてトロミをつけます」

 フリルフレアはそう言いながら水溶き片栗粉を鍋の中に少しずつ入れていく。そして火力を上げると鍋の中をかき混ぜる。

「片栗粉に火を入れるために混ぜますが、混ぜすぎてお豆腐を崩さないように注意してください」

 そう言って鍋の中の麻婆豆腐を皿に盛るフリルフレア。

「おおー!うまそうだな!」

「そうでしょう?でもちょっと待ってくれる?最後の仕上げをするから」

「最後の仕上げ?」

「そう」

 フリルフレアは何処からか大量の赤い粉を取り出すと、それをたっぷりと麻婆豆腐にかける。そして鍋に油を入れるとそのまま火にかけて熱し始める。

「何してるんだ?」

「まあまあ、出来てからのお楽しみ♡」

 軽く煙が上がるほど油を熱すると、フリルフレアはその油を謎の赤い粉の上にかけていく。

ジュワーーーー!ジュ、ジュワーー!

 高温に熱せられた脂が赤い粉を溶かし、油を赤く染めていく。そして気が付けば麻婆豆腐の上に真赤な脂が敷き詰められていた。

「うお!な、なんかすごいな!」

「そうでしょう!これで、麻婆豆腐の完成です!」

「おおー!よっしゃ、さっそく試食だ!」

 はしゃぐドレイクに、フリルフレアは「はいはい、分かりました」と言いながら麻婆豆腐にスプーンを添えて手渡す。

「どうぞドレイク、召し上がれ」

「よっしゃー!頂きま~す!」

「くくく……覚悟すると良いわドレイク…」

 ドレイクが喜んでマーボーを口に運んでいる横で不穏なことを小声で口走るフリルフレア。だがドレイクの耳には入っていないらしく、そのままマーボーを口に入れる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「かっらーーーーーーーーーーーーーーーーい!」

 麻婆豆腐のあまりの辛さに文字通り火を噴くドレイク。比喩的表現ではなく本当に炎(炎のブレス)を吐いている。

 そう………フリルフレアの取り出した謎の赤い粉は……唐辛子の粉だったのだ。たっぷりの唐辛子の粉に多量の熱した油をかけてラー油にしたのだ。

 つまり、この麻婆豆腐は大量のラー油がかかった激辛マーボーと化していたのだ。

「辛ーーーーーーー!……あ、でも美味い!」

 辛いと言っていたドレイクだが辛い中にも美味さを感じ取り驚いている様子だった。

「辛ーーーーーーー!あ、やっぱ美味!」

「えっと……あれ?そんなに美味しい?」

「うまーーーーー!あ、でも辛い!」

「えっと……どっちなのよ、もう……」

 眼をまん丸くしながら火を吐いて「美味い」だの「辛い」だの叫んでいるドレイク。フリルフレア的にはもうちょっと辛がってくれると思っていたので、美味いと言われて少し複雑な気分だった。

 それでもとりあえず締めに入ることにする。ドレイクはまだ食べているので放っておく。

「ええっと……本日のフリルフレアとドレイクの一手間クッキングはどうだったでしょうか?何かドレイクが思ったほど辛がってないので少し拍子抜けですが……」

 そう言うとフリルフレアはペコリとお辞儀する。

「さて、今回のおまけコーナーではドレイクをぎゃふんと言わせるつもりだったんですが……あんまりうまくいかなかったですね」

 頭をポリポリと掻きながらえへへと笑うフリルフレア。

「ですが!次回こそはドレイクをいろんな意味でぎゃふんと言わせてやろうと思います!」

「ぎゃふん……うわ、辛!でも美味!」

「はいはい、もうドレイクはそれ食べてていいから……」

「おう!悪いな!」

 嬉々として麻婆豆腐を食べるドレイク。そんな彼を見てフリルフレアの顔に笑みがこぼれる。なんだかんだ言って自分の手料理を美味しいと言われればうれしいものなのだ。

「さて、それでは次回の『フリルフレアとドレイクの一手間クッキング』及び本編『赤蜥蜴と赤羽根第4章』でお会いしましょう!まったね~~!」

 フリルフレアが手を振る中、ドレイクはいまだにマーボーを食べていた。






「やっぱ辛!でも美味!」

「はいはい、それもう良いから…………美味しい?」

「おう!美味いぞ!」

「………………まあ、懲らしめるのは次回でいっか……」

 そう言ってフリルフレアは幸せそうに麻婆豆腐を食べるドレイクを少し優しい目つきで見つめていた。

「いつか、いろんな意味でぎゃふんと言わせて見せるんだから……」

「ん?何か言ったかフリルフレア?」

「別に何も?」

 とぼけるフリルフレアはどこか嬉しそうだった。



                                 終わり


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