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第8章 赤蜥蜴と赤羽根、巨人の里へ 第4話、巨人の里ローバスヘイム その10

     第4話その10


「分かった………真実の球が反応していない以上はおそらくお前の言っていることは事実なのだろう。…………そしてドラーケスの行方はまだ分からない……ってことか…」

 ランドルフはそう言って肩を落とした。

「期待に沿えなくて悪かったな…」

 ドレイクの言葉にランドルフは首を横に振る。

「俺の方こそお前に勝手な疑いをかけてしまった。すまん………。それに勝手に俺が期待しただけだ、気にしないでくれ」

「そうか……」

 口ではそう答えつつも肩を落としているランドルフにドレイクはかける言葉が見つからなかった。

「ランドルフや、こう言っちゃなんだがドレイク……えっと…アウドラギウス様か?……とにかく、こやつが何者じゃろうとお前さんに武器の修理を頼みに来たのには変わりは無いんじゃ。やるだけやってやったらどうじゃ?」

「………そうだな…………その通りだ。俺も一刀匠として武器を修理してほしいと頼み込んできた者を無下にすることは出来ん。すまなかったなドレイク。とりあえずもう一度折れた剣を見せてくれ」

「ああ」

 ドレイクは再び折れた魔剣を手渡した。ランドルフは手渡された魔剣をマジマジと見ている。そして…………一つの結論に達した。

「おいドレイク……………まさかとは思うが……この魔剣をへし折ったのは……お前と同族………竜か⁉」

「分かるのか?」

「分かる………と言うより、お前のさっきの言葉を思い出して気が付いた。お前はさっき同族と………真なる(ヴァーハイトドラゴン)と戦闘になったと言っていたな?」

「ああ、分身みたいなもんだったけどな」

「ブレイゼルドは……炎纏のブレイゼルドはあの炎帝竜の……お前さんのブレスを受けきれるように作られた魔剣だ。率直に言えば、そこら辺の魔剣より余程強度がある」

 どこか誇らしげなランドルフ。だが、次の瞬間には渋い表情になっていた。

「だが………相手が真なる竜となれば話は別だ。正直………真なる竜の攻撃をまともに受けて無事な魔剣など数えるほどしかあるまい」

 少し複雑な表情でそう言うランドルフ。しかしドレイクの方は頭の上に?マークを浮かべていた。

「あれ?でもこの剣って俺のブレスにも耐えられるように作られてんだよな?」

「それはそうだが………あくまで炎を纏わせるという形をとることで刀身にかかる負担を極限まで軽くしている。それに、この魔剣は炎に対する耐性しかない。他の属性による攻撃を受ければひとたまりもあるまい」

「他の属性?」

「例えば雷や毒………それに瘴気……この辺りが現存する真なる(ヴァーハイトドラゴン)の使う属性だったな」

 ランドルフの言葉に頷くドレイク。

「その通りだが………相手は分身だったんだぜ?」

「分身だろうが何だろうが真なる竜ってのはそれだけの脅威だってことだよ。………ま、お前さんは当の本人だから自覚ないかもしれんがな」

「そんなもんか……」

「あと……お前さんが使っていたってことはこの魔剣にお前さん自身の炎を纏わせて使っていたんじゃないのか?」

「そうだな。俺のブレスを吹きかけて使ったりしてた」

 ドレイクの言葉にランドルフとガレッドが目を丸くする。

「何じゃドレイク……お前さんその身体でブレスが撃てるのか⁉」

「真なる竜ってのはそのサイズの身体でも規格外なんだな」

 驚きを通り越して何処か呆れている二人。

「えっと……そんで、俺のブレスを纏わせてたとすると……なんかまずいのか?」

「まずいというか………いくらドレイクの……アウドラギウスのブレスに耐えられるように作ったと言っても、それもあくまで数発分耐えられるかどうか……と言った話だ。つまり………今のお前さんのブレスを何度も刀身に纏わせているうちに、少しずつ刀身にダメージが蓄積されていたんだろう。その上で真なる竜と戦闘になったせいで余計にアッサリと破壊されちまったんだろうな」

「なるほど、そういう事か……」

 ランドルフの言葉に妙に納得しているドレイク。言われてみれば刀身に炎のブレスを纏わせたり炎闘氣を纏わせたりと、かなり無茶をしてきた気もする。そしてそんなダメージの蓄積された状態の剣でカオスラグナを攻撃するなど無謀としか言いようがない行動なのだろう。

「それで………率直に訊くがドレイク……お前さん、ただ単にこの剣を修理してほしいってだけじゃないだろう?」

「お、よく分かったな」

「話の流れからすりゃ当然そうなるだろ……」

 渋い顔をするランドルフ。ドレイクが今からどんな無茶な注文をしてくるか、容易に想像できるからだ。

「ズバリ………俺と同族である真なる(ヴァーハイトドラゴン)と……魔王竜カオスラグナとまともに闘えるような強度の魔剣に作り直してほしい」

「ま、魔王竜カオスラグナじゃと⁉」

 ドレイクの言葉に驚きの声を上げたのはランドルフではなくガレッドだった。そして当のランドルフの方は先ほどの渋い顔をさらにしかめている。

「よりによって魔王竜カオスラグナか……………まあ、天雷竜シルフォルド公は人間種に比較的友好的だから戦闘になるとも考えにくい……そうなれば魔王竜カオスラグナか死毒竜クラドンナとなるか………死毒竜が相手よりはまだましなのか?」

「どっちもどっちだが………まあ、武器って意味じゃあまだカオスラグナの方がいくらかましだな。クラドンナの毒はミスリルだって腐らせて溶かしちまうからな」

 平然とそんなことを言うドレイクにランドルフは頭を抱えていた。


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