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第7章 赤蜥蜴と赤羽根と大戦技大会 第7話、超肉弾戦大激突 その6

     第7話その6


ドゴウゥン!

 ゴレッドの両手から撃ち出された『氣』の塊がドレイクに直撃した。とっさに腕でガードしたので急所に当たることは無かったが、それでも受けた両腕に若干の痺れが残るほどの威力があった。それでもドレイクは後退ることなくその場に踏み留まっている。

「チッ……」

 思わず苛立たしげに舌打ちをするドレイク。だが、ゴレッドの方も不満があったらしく手をニギニギしたりして手の調子を確認している。

「ふむ……こんなもんか…」

 ゴレッドが手を握ったり開いたりしている。どうやら気功波の威力に不満があったようだ。

「やっぱり飛び道具はあまり威力が出んのぅ。魔法使った方が威力出るわい」

「そりゃそうだろ。魔法と違って『氣』を使った氣功波は生命のエネルギーである『氣』を直接撃ち出す技だ。魔法より威力安定しねえし、何より撃ち出すために込めた生命力分の威力しか出ねえ」

「ほう、おぬしがこの技の原理を知っとったとは意外じゃな」

「知ってるっつぅか………使ったことありゃ、感覚で分かるだろ」

「む……確かにそれもそうかのぅ……?」

 豊富な髭ごと顎をポリポリ掻いて「確かにそんな感じかのぅ?」とかボソッと呟いているゴレッド。しかし、今のゴレッドの気功波を見て観客席はざわめき、実況と解説が興奮気味に騒ぎ立てていた。

『おおっと!いったい今のは何なんだ⁉ゴレッド選手の手からまるで魔法の様な光が撃ち出されました!これは一体⁉』

『今のは……気功波と呼ばれる技ですね。自身の生命エネルギーを操る氣闘術とか氣功術とか呼ばれる格闘家の技のはずですが………もしやゴレッド選手の本職は格闘家なんでしょうか?』

『な、なるほど!魔法ではないから直接攻撃する技であっても反則にはならない。これはゴレッド選手考えましたね!』

 実況と解説の言葉に観客席の方から歓声が上がる。ゴレッドの使った氣功波が物珍しかったのかもう一度使ってほしいと盛り上がっているのだ。だが、ゴレッドの方は……。

「ふむ、何か観客席の方が騒がしいのぅ」

「別に気にしなくていいだろ。それより……」

 ドレイクはそう言いながら再び握りしめた拳を構える。思わず口の端がニヤリと笑みの形に歪む。そしてそれはゴレッドの方も同じようで、ちょっと悪人っぽい悪い笑みを浮かべて拳を構えている。

「今度は……こっちから行くぜ!」

「させぬわ!」

ダァンッ!

 互いに同時に地面を蹴るドレイクとゴレッド。拳を振り上げ一気に肉迫していく。

「はあああぁぁぁぁ!」

「ぬおおおおおぉぉぉ!」

ガキイィィィン!

 何度目かの拳と拳の正面からのぶつかり合い。互いに鋼の如き拳がぶつかり金属がぶつかり合うような高い音が響く。さらにそこからの高速の拳打の応酬。互いの拳が相手の頬を殴り、肩を殴り、更に渾身の拳を相手の鳩尾に叩き込む。

「ぐっ!」

「ふぬっ!」

 だがその鳩尾を狙った拳さえもドレイクのミスリルの如き鱗と鋼の如き腹筋、あるいはゴレッドの鋼鉄の皮膚と魔法の防御、そしてドレイク同様鋼の如き腹筋が相手の拳を防いでいる。

 ドレイクとゴレッドは今の一撃が相手に大したダメージを与えていない事に気が付くと、互いにその場から一度飛び退き距離をとった。

「なるほど、やはりこのままじゃ埒が明かんのぅ」

「お互いに頑丈すぎるからな」

「アホか。ワシャこれでもかなり魔法で強化しとるんじゃぞ?それに比べて何なんじゃお前さんのその頑丈さは?完全な生身で強化したワシと同等の防御力を誇るなんざこっちがやってられんわい!」

「いや、そういわれてもなぁ…」

「ふんっ!まあいいわい、お前さんの鱗がどれだけ頑丈でもそれを打ち破る手段がない訳じゃないからのぅ」

「ほう……」

 不敵な笑みを浮かべたゴレッドの言葉にドレイクが眼を細める。どんな手段を持っているのかは分からないが、その言葉がハッタリでないことはゴレッドの言葉からにじみ出る自信から分かった。そしてドレイクは自然と口の端がニヤリと笑みの形に歪むのを感じ取っていた。

「おもしれえじゃねえか。この俺のミスリル並みに硬い鱗をどう打ち破るのか……見せてもらおうじゃねえか!」

「おうよ!」

ダァン!

 ドレイクとゴレッドが同時に地面を蹴る。そして互いに拳を振り上げ本試合何度目かの拳と拳のぶつかり合いに……ならなかった。

「何⁉」

 ドレイクの拳が空を切る。ドレイクが拳を振り抜いた瞬間、ゴレッドがその場にしゃがみ込んだことでドレイクの拳がゴレッドの頭上を通り過ぎたのだ。そして次の瞬間一気に立ち上がったゴレッド。ドレイクの拳が空を切り、前のめりになったことで立ち上がったゴレッドは完全にドレイクの拳の間合いの内側に入っていた。さらに言えば、その場所は完全にドレイクの懐の内である。そしてゴレッドはそのまま右手を開くと、まるで張り手の様にドレイクの胸部を打った。

ドンッ!

 先ほどまでの拳のぶつかり合った音と比べるとかなり地味な音が響く。ゴレッドがドレイクの胸部を打った音だ。そして次の瞬間………。

「ごはぁ!」

 ドレイクが口から唾液か胃液か分からない液体をまき散らしてその場に倒れ込んでいた。

「ドレイク!」

 倒れるドレイクを見て観客席がざわめき、そんな中フリルフレアの叫びは観客達の発するざわめきでかき消えてしまったのだった。


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