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第6章 赤蜥蜴と赤羽根と過去の絆 第9話、崩壊する遺跡の中で その7

     第9話その7


「おもしれぇ……炎を纏う魔剣ってわけだ……やってやろうじゃねえか!」

 ドレイクはそう言うと掲げた大剣を顔の前で水平に構えた。そして、口を大きく開き……。

ゴゥオオオオオオオオオォォォォォォォ!

 その瞬間ドレイクの口から炎のブレスが吐き出される。そしてそのブレスの炎は大剣の刀身に絡みつき、まるで刀身自体が燃えているように纏わりついていた。

「なるほどな…………なかなか面白いじゃねえか」

 そう言って燃え盛る大剣を再び掲げるドレイク。

「さしずめ………スーパーファイアーボンバー魔剣MAXってところだな」

「ダサッ…」

 上機嫌にネーミングセンスゼロの名前を付けるドレイクと、柱の陰から覗き込んでしらけ切った眼と小声で突っ込むフリルフレア。ちなみにフリルフレアの呟きは当然ドレイクの耳に入っており、ドレイクから柱の陰から覗き込んでいるフリルフレアに睨むような視線が送られている。

「なんか文句あんのかよ?」

「ミイィィ……ネーミングセンスゼロだって言ったんです」

「…………………言うじゃねえか嬢ちゃん」

「いえいえ、それほどでも……」

「褒めてねえよ」

「………………………」

 睨みつけてくるドレイクだったが、フリルフレアの方も完全に呆れたようなジト目でドレイクの方を見ていた。

「そんなら嬢ちゃんはどんなネーミングが良いって言うんだ?俺のつけた名前に文句を言ったんだ、さぞカッコイイ名前を考えてくれるんだろうな?」

 額に怒りマークをいくつも浮かべてそんなことを言うドレイクにフリルフレアは「ミィィ……そうですね…」とか言って考え込みながらアッサリと口を開いた。

「燃える剣だから………『劫火の太刀』…とかどうでしょう?」

「豪華なダチ?」

「劫火の太刀です。豪華なダチって………お金持ちの友達でもいるのおじちゃん?」

「え?友達?………………………友達ってなんだっけ?」

「ミイィィ………その話題はもう良いです…」

 何かドレイクの悲しい交友関係の話になりそうな雰囲気だったのでその話題をいったん区切るフリルフレア。

「劫火の太刀………つまり、全てを焼き払う炎の太刀…ってことです」

 フフンッと少し鼻息を荒くしてドヤ顔をしているフリルフレア。言葉にこそ出していないが「どう?カッコイイでしょ?」と言いたそうなのが表情に出ている。そしてそんなフリルフレアを見てルーベルとエクレアが何やらコソコソと言い合っている。

「どうでも良いですけど、この状況で名前のダメ出しって……必要ですかね?」

「いえ、絶対いらないと思います」

 エクレアはジト目でフリルフレアを見ており、ルーベルはため息をついていた。

(と言うか……この状況でこれだけ余裕があるって……この娘、最初の印象よりもずっと肝が据わっていますね。………いえ、むしろこの状況に慣れてきたんでしょうか……?)

 フリルフレアをそう分析するルーベル。実際の所はどうだかは分からないが、実はもともと肝が据わっており、更に順応性が高く今の状況に恐怖を感じなくなってしまったのかもしれない。どちらにしろ大したものだと感心するルーベル。

 そんなルーベルとエクレアをよそに、フリルフレアの考えた『劫火の太刀』というネーミングとその意味を聞いたドレイクは………。

「ほ、ほう…………なるほど………な、なかなかいかしたネーミングじゃねえか…」

 ちょっとウキウキした感じでそんなことをほざきながら燃え盛る大剣を掲げて見せるドレイク。

「な、なるほど………『劫火の太刀』か……」

 そう呟いたドレイクの瞳が結構爛々と輝いている。どうやら『劫火の太刀』というネーミングをかなり気に入ったようだ。そしてどうでも良いことだが、普段はこういった名前を全く憶えないくせに、こういう自分が気に入ったことだけはすぐに覚えるドレイクだったりする。もっとも、今そのことに気が付いている者はドレイクを含めて誰もいなかったのだが………。

「おっしゃ!んなら、この劫火の太刀で叩き斬ってやるぜ!覚悟しな魔神ラズベリー!」

「魔神ラゼリですよ」

「何言ってんですかこの人?」

「ミィィ……おじちゃん、それじゃフルーツになっちゃうよ?」

 ルーベルとエクレアだけでなくフリルフレアにまで突っ込みを入れられたドレイク。「え………そうだったっけ…?」とかとぼけているが、内心では(うっせ~なぁ……別に名前なんかどうでも良いだろ…)とか愚痴っていた。つくづく興味の無い物の名前を覚えない男である。ネーミングセンスが無いのも頷けるかもしれない。

 とにかく、改めて燃え盛る大剣を構え魔神ラゼリへと向き合うドレイク。

「これで終わりにしてやるぜ魔神野郎!」

「ミィィ……どう見ても男の人には見えませんけど……」

「うっせえ嬢ちゃんだなぁ……」

 ドレイクの『魔神野郎』という言葉に突っ込むフリルフレア。野郎がだめならば『魔神アマ』とでも言えばいいのだろうか?とにかくフリルフレアのツッコミにげんなりしながらドレイクは光の球の暴発でボロボロになり、苦悶の叫びをあげている魔神ラゼリへと改めて向き直る。そしてダァン!と激しい音を立てて地面を砕くほどの勢いで駆けだしていった。

「魔剣よ!炎を吸い取れ!」

 直感的に魔剣の使い方を感じ取ったのか、走りながらドレイクは大剣を振り回し周囲で燃え盛っている炎を刀身に吸い込み纏わせていく。そして大剣を振り回して炎を吸い取り続けた結果、ドレイクが魔神ラゼリの目の前に達した時には火の海だった辺り一面の炎はほとんど消え去っていた。

「そ、そうか!そんな消火方法があったんですね!」

「ドレイクさんナイス!」

 驚くルーベルとグッジョブと言いたげに親指をグッと立てるエクレア。そして、とりあえず酸欠の心配がなくなったフリルフレア達が見守る中、ドレイクの持つ大剣の炎はまさに最高潮と言えるほど燃え上がっていた。

「っしゃぁ!やってやるぜ!」

ダガァン!

 まさに地面を踏み砕くほどの踏み込みで魔神ラゼリへ向けて一気にジャンプするドレイク。燃え盛る大剣を水平に構えて一気に飛び込んで行く。

「グギイィィィ⁉」

 さすがにそれほど接近すれが苦痛に悶えている魔神ラゼリも当然ドレイクの接近に気が付く。そしてドレイクの構える大剣が激しく燃え盛っているのを眼にし、それが自身にとって危険な物であることを感じ取っていた。

「シギイイイイィィィアアアアァァァァァァ!」

 苦悶の叫びか雄叫びか、叫びながら右腕を振り上げる魔神ラゼリ。ダメージのせいか、それとも魔力攻撃を連発してきたことによる魔力切れか、とにかく光の球を出すのではなく右腕自体に魔力を纏わせる魔神ラゼリ。もしかしたらドレイクの魔剣の炎に対抗するためだったのかもしれないし、あるいは先ほどの光の球の暴発の後であったため、接近したドレイクに再び光の球を破壊されて暴発させられるのを恐れたのかも知れない。とにかく光の球による魔力攻撃ではなく魔力を右手と爪に纏わせ直接攻撃を選んだ魔神ラゼリ。そのまま飛び込んで行くドレイクに向けて鋭い爪を伸ばし魔力を込めた右腕を一気に振り下ろした。

「シャアアアアアアァァァァァ!」

「チェェェストオオオォォォォ!」

バガアアァァァン!

 ドレイクと魔神ラゼリが激突、交差しその瞬間激しい衝突音が響き渡る。

 そして………

ザァッ!

 交差した魔神ラゼリの背後に着地したドレイク。大剣を水平に振り抜いた姿勢のまま微動だにしない。その大剣も炎をこの一撃で全て使い切ったのか、刀身には一かけらの炎も残っていなかった。

ブシュゥッ!

 次の瞬間ドレイクの身体中からいくつもの血が吹き出す。見ればドレイクの身体には魔神ラゼリの爪に斬り裂かれたであろう傷が何本もついていた。

「おじちゃん!」

 フリルフレアの悲痛な叫びが響き渡る。あまりのドレイクの出血量に反射的に出ていきそうになるフリルフレア。

「いけませんフリルフレアさん!」

「魔神に狙われちゃいますよ!」

 とっさにフリルフレアを押さえるルーベルとエクレア。しかしフリルフレアは二人に押さえつけられながらジタパタもがいている。

「おじちゃんが!おじちゃんがぁ!」

 泣きそうな声で叫ぶフリルフレア。だが、ルーベルとエクレアもドレイクを心配していない訳では無かった。フリルフレアが魔神ラゼリに狙われないよう、柱の陰から飛び出して行かないよう押えはいるか、二人とも不安げにドレイクの方を見ている。

 そして、三人の視線の先のドレイクは………。

「くっそ、いってぇなあぁ……」

 そんなことを言いながら大剣を振り抜いた姿勢からゆっくりと身体を立て直す。そして、そのまま大剣を一振りし地面に突き立てた。そしてその次の瞬間………。

ザバシュッ!

 ドレイクが地面に大剣を突き立てるとほぼ同時に魔神ラゼリの胴体から大量の血が吹き出す。そして魔神ラゼリの身体はちょうど腹部の辺りで上下に両断され、そのままその巨体が激しい音を立てて倒れ込んだのだった。


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