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第5章 赤蜥蜴と赤羽根と13の悪夢 第20話、最後の悪夢・悪夢の子 その14

     第20話その14


「もういいよ………遊びは終わりにしよう…」

 苛立たしげにドレイクとフリルフレアを睨んでいたウッドレンホニーだったが、急に暗い表情になると静かにそう呟いた。

「ほう?今まで遊んでたのかよ?そうは見えなかったがな」

「そんなことは無いさ。今までは遊んでたんだよ。だって君たちに恐怖と絶望を与えなければいけなかったからね」

「それでテメエの分身をけしかけてきたって訳かよ」

「そうだよ。大量のナイトメアに蹂躙されて恐怖と絶望を感じてもらう予定だったんだけど………上手くいかないものだね、残念」

 そう言って肩をすくめるウッドレンホニー。ふざけているようにも見えるが、新底残念がっているのがなんとなく分かる。だが………ウッドレンホニーのそんな余裕の態度がドレイクには気に入らなかった。

「俺達に絶望を教えたいんなら、分身なんか使わねえでテメエ自身がかかってくりゃ良いじゃねえか。高みの見物してる余裕あんのかよ?」

 ドレイクはまるで「かかって来いよ」と言わんばかりに指をチョイチョイと動かしウッドレンホニーを挑発する。だがウッドレンホニーはそれを安い挑発だとばかりに鼻で笑って聞き流した。

「分かってないなぁ……僕がその気になったら、君らなんて恐怖を感じる間も無く殺されてしまうんだよ?」

「大した自信じゃねえか。だが安心しとけ、そう易々とくれてやるほど俺の命もフリルフレアの命も安くねえんだよ」

「君こそ大した自信だね……この僕を……ナイトメアチャイルド・ウッドレンホニーを前にそんな戯言がいつまで続くかな?」

「戯言じゃねえって………試してみるか?」

 ドレイクとウッドレンホニーが睨み合い視線が火花を散らす。そんな中ドレイクの後ろにいたフリルフレアは既に魔法を撃つべく精神を集中させていた。そしてウッドレンホニ―もそのことにすぐに気が付く。

「おや?不意討ちかいフリルフレア?まあ、いくらでも撃ってきて構わないんだけど」

「バカにしないで!不意討ちなんかしなくてもあなたなんか倒して見せるんだから!」

「言うねえ……じゃあ、かかってきなよ!」

 そう言いながらウッドレンホニーが衝撃波を放つ。そしてそのままドレイク達の方へ突っ込んできた。それに対しドレイクはフリルフレアを後ろに庇いながらとっさに防御態勢をとる。

ドゴオォォン!

 衝撃波の直撃を受けるドレイク。だが、直前で両腕で防御し、さらに炎の翼で身体の前面を覆うことでさらに衝撃を緩和させることに成功していた。そしてその隙にフリルフレアが飛び出していく。

「これでどう!『フェザーファイア!』」

ズドドドドドドドドドォォォォォォン!

 フリルフレアから無数の炎の羽根が撃ち出される。だが、ウッドレンホニーは構うことなくそのまま突っ込んできた。

「え⁉」

 止まるどころか怯む素振りさえ見せないウッドレンホニーに驚きを隠せないフリルフレア。確かにフェザーファイアは直撃したというのに………。だが、次の瞬間フリルフレアはウッドレンホニーがフリルフレアの魔法をものともしない理由を理解した。

 ウッドレンホニーの身体はフェザーファイアでボロボロになっていたのだ。だが、その傷は瞬時に再生してしまう。カッドイーホから奪った超再生能力のおかげでこのくらいのダメージはものともしないのだった。

「くっ……」

 すっかり超再生能力の事を失念していたことに気が付き、思わず歯噛みするフリルフレア。そして次の瞬間にはウッドレンホニーがフリルフレアの目の前に来ていた。

「それじゃ、あっさり殺してあげるよフリルフレア」

 その瞬間ウッドレンホニーの右手の中に黒い魔力が収束していく。そしてフリルフレアに対して手をかざすと次の瞬間には黒い魔力が光線の様に撃ち出されていた。

「キャアアアァァァァァ!」

 黒い光線に胸を撃ち抜かれ悲鳴を上げて地面に向かって落ちていくフリルフレア。

「フリルフレア!」

 叫んだドレイクが思わずフリルフレアの方へ飛んでいこうとする。だが次の瞬間……。

「くっ………大丈夫だから!ドレイク!」

 落下していたフリルフレアだったが、叫びながら空中で体勢を立て直した。そして翼を羽ばたかせてドレイクのすぐ横まで上ってくる。

「お前……大丈夫なのか?」

「任せて、スーパーフリルフレアちゃんは無敵だから!」

 そう言ってガッツポーズして見せるフリルフレア。確かにフリルフレアは服の胸元が円形に焼け焦げて無くなってはいたが、特に胸を貫かれた様子は無かった。

「この姿になると攻撃力だけじゃなくて防御力も上がるみたい。今のだってそれほど大したダメージじゃなかったよ」

 得意げにそういうフリルフレア。そのまま胸を張っているが、服の胸元に穴が開いているのでちょっとエロそうだ。ちなみにドレイクがちょっとだけガン見していたが、さすがに戦闘中なのでそれ以上見るのは泣く泣く諦めた。

「へえ………今ので死なないなんて…相当パワーアップしてるんだね」

「そうよ!なんてったってスーパーフリルフレアちゃんなんだからね!」

「ネーミングセンスは壊滅的みたいだけど。ダサい名前だね」

「ムカッ!」

 挑発と分かってはいても思わず反応するフリルフレア。そんなフリルフレアを軽く小突いてドレイクも拳を握りしめた。

「挑発に乗んな、それより………行くぞ!」

「うん!」

 叫びながら翼を羽ばたかせて突撃するドレイクとフリルフレア。それに対抗するようにウッドレンホニーの周囲に黒い魔力の球体が大量に現れる。

「そういう考えなしの突撃をするのがバカってことだよ」

 その瞬間ウッドレンホニーが周囲に浮かぶ大量の黒い魔力球をドレイク達に向けて撃ち出してくる。

「舐めんなぁ!爆火双球!」

 その瞬間ドレイクは拳に氣を纏わせ、そのまま炎のブレスを吐きかける。そして再び氣と炎が混じり合った火球がドレイクの拳を包んでいた。

「烈!オラアアアアァァァ!」

 さらに次の瞬間叫びながら両手の火球をぶつけるドレイク。そしてぶつけた瞬間火球が弾けて無数の小さな火球となってウッドレンホニーの方へ撃ち出されていった。

ドガガガガガガガガガガガァァン!

 ドレイクの撃ち出した無数の小さな火球がウッドレンホニーの撃ち出した黒い火球を撃墜していく。そしてそれに合わせるようにフリルフレアもドレイクの少し後ろから両手を突き出すように構えていた。

「『フェザーファイアアァァ!』」

ズドドドドドドドドドドドドォォン!

 ドレイクの爆火双球・烈に続くようにフリルフレアのフェザーファイアが撃ち出されていく。フリルフレアの撃った炎の羽根はドレイクの爆火双球・烈が撃ち漏らした黒い魔力球を破壊していくと、そのままウッドレンホニー自身も撃ち貫いていた。

「うおっ⁉……なんの、まだまだ!」

 炎の羽根をその身に受けながらも怯まないウッドレンホニー。やはり瞬時に受けた傷が再生していく。それと同時に自らの周囲に再度黒い魔力球を無数に生み出すとそれを撃ち出すべくドレイクとフリルフレアの方を見た。だが………。

「遅せえ!そんな攻撃何発も喰らうかよ!」

 その瞬間叫びながらドレイクがウッドレンホニーの眼前まで一気に突撃して来ていた。フリルフレアのフェザーファイアの後ろに隠れて接近してきたのである。ウッドレンホニーの方の黒い魔力球はいつでも撃てる状態だった。だが、ドレイクの接近速度がウッドレンホニーの反射神経を上回っていたのだ。そしてそのまま突き出したドレイクの拳がウッドレンホニーの頬を撃ち抜く。

「ブベロッ!」

 頬を殴られ思いっきり吹っ飛ぶウッドレンホニー。衝撃で周囲の黒い魔力球は消えていた。そして……ドレイクは更にウッドレンホニーに一気に接近すると、そのまま頭上で両手の火球同士をぶつけていた。その瞬間、両手の火球がぶつかり合い融合し一つの巨大な火球になる。そしてドレイクはその巨大な火球を頭上に掲げると、そのままウッドレンホニーめがけて一気に振り下ろした。

「くらえよ……。これが、爆火双球(ばっかそうきゅう)…………(さい)だあぁぁぁ!」

 その瞬間、ドレイクの振り下ろした巨大な火球が、ウッドレンホニーを飲み込み大爆発を起こしていった。


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