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第5章 赤蜥蜴と赤羽根と13の悪夢 第13話、第九の悪夢・戦場 その6

     第13話その6


「「「ちぃぃっ!おぼえておきなっ!」」」

 ドレイクがバッタバッタと女達を叩き斬りなぎ倒していく様子に危機感を覚えたのか、女達の20人ほどが捨て台詞と共にその場から逃走していった。ちなみに残った女達は大半をドレイクに()られ、それ以外もライデン、シェリエル、フリルフレアの手によって倒されていた。

「これで終わりか」

 残った最後の女が黒い粒子になって消えるのを確認し、ドレイクは息をついた。ドレイクから見れば女達の強さは大したことは無かったのだが、さすがに数が多かった。

「ミイィィィ……しんどかった…」

「お前、魔法で一人吹き飛ばしただけだろ」

「そ、そうだけど……」

 ドレイクのツッコミに不満げな表情をするフリルフレア。ドレイクは凄腕だからいいかもしれないが、フリルフレア的には冒険者ランク2の自分が格上と思しき相手を一人倒したのだからむしろ褒めてほしいところだった。

「そういやデンデンと緑の姉御は?」

「あ、お二人ならあっちに…」

 フリルフレアが指さした先を見ると、ライデンとシェリエルが男達の生き残りの方へ行き手を貸していた。ライデンを含め一緒にいた男達は合計7人だったが、今の戦闘で残念ながら4人が命を落としていた。残ったのはライデンを含めて3人である。

「ジョイサー、カリ、アスラン、ローマン……安らかに眠ってくれ」

 今回の戦闘で亡くなった4人に手を合わせるライデン。残りの生き残った二人も同じように手を合わせていた。

「残ったのはこれだけか」

 ドレイクがライデンの方に歩み寄りながら声をかけた。後ろからフリルフレアも続き、シェリエルと共に亡くなった4人に黙とうを捧げている。

 ライデンは「ああ…」と言いながら振り返った。

「生き残ったのは俺を含めて3人だけだ。一応紹介しておくぜ。吊り目の方がオスロット、金髪の優男がバイサンダーだ」

 ライデンに紹介され、二人ともドレイクの方を振り返った。

「ああ、俺がオスロットだ。よろしくな」

 そう言って軽く手を上げるつり目の男……オスロット。20代半ばくらいで茶色の髪と、灰色のつり目の持ち主、革鎧を着こみ腰には小剣を下げている。おそらくは遺跡荒らし(とレジャーハンター)か冒険者の盗賊(スカウト)だろう。

「初めまして、僕はバイサンダーって言います」

 そう言って頭を下げたのはもう一人の男。10代後半くらいで金髪碧眼の優男だ。腰には片手半長剣(バスタードソード)を下げており、金属鎧(プレートメイル)をまとっている。一見すると騎士の様ないでたちに見えるので、騎士かもしくは元騎士の冒険者の戦士と言ったところだろう。

 二人の自己紹介に手を軽く上げて応えるドレイク。

「俺はドレイク、んでこいつがフリルフレアだ」

 そう言って親指でフリルフレアを指差すドレイク。フリルフレアはぺこりと頭を下げている。

「あたいはシェリエル。ライデンのパーティーメンバーさ」

 そう言ってウィンクするシェリエル。その様子にバイサンダーが納得したようにポンと手を叩いた。

「あ、なるほど。皆さんライデンさんのお仲間だったんですね?」

「あー……仲間っつうか……なんつうか…」

 どう説明したものかと悩むドレイク。しかしフリルフレアがあっさりと口を開いた。

「ライデンさんのパーティーメンバーはシェリエルさんだけです。私とドレイクは今回仕事で一時的にライデンさんたちと協力しているだけですよ。まあ、仲間って言えば仲間ですけど」

 フリルフレアの説明に「ほ~う」と納得したような、してないような声を上げるオスロット。

「じゃあ、そう言うお前さんはそっちのドレイクってリザードマンの仲間なのか?」

「ええそうです。よく分かりましたね」

「なんか親しげだったし、お互いに呼び捨てで呼んでたからな。なんとなく分かるさ」

 そう言って肩をすくめるオスロット。フリルフレアは「あ、なるほど」と納得していたが、ドレイクはどうでも良さそうに欠伸をしていた。

「しかし、どうしてシェリエルがここにいるんだ?ドレイクもいるし…。それにフリルフレアの嬢ちゃんは悪夢にとらわれていたはずじゃ……」

 ライデンが状況が飲み込めないと言いたげだった。その様子にシェリエルは苦笑いしている。

「まあライデンは今の状況分かってなさそうだからね。あたいが説明してあげるよ」

 そう言って少し得意げに胸を張るシェリエル。

「ええ……お前が説明すんのかよ」

「ちょっと!何だいその言い草!あたいじゃ不満だってのかい⁉」

 不満げなライデンに対し、眼を吊り上げて食って掛かるシェリエル。どうやらライデンに不満を持たれたこと自体が不満らしい。ちなみにライデンは「いや、そうは言ってないだろ」などと言いつつも眼をそらしていた。

 ふと、そこで唐突にフリルフレアが手を上げる。

「あのですね、ここは実は現実ではなくて悪夢の中なんです。ナイトメアが創り出した悪夢の中なんです」

「あ!フリルフレアちゃん、それあたいが言おうとしてたこと!」

「いえいえ、早い者勝ちですので」

「く、くーー……」

 フリルフレアの言葉に悔しがるシェリエル。どうやら説明したかったらしい。

「それでですね?恐ろしいことに、この悪夢の中で亡くなった方は………」

「実際に死んじまうってことだろ?知ってるけど?」

「へ……?」

 フリルフレアの言葉の最後を遮るようにして発せられたライデンの言葉に、思わず間抜けな声が出るフリルフレア。

「え?……ちょ、ライデン⁉知ってたのかい⁉」

 シェリエルも驚いて眼を丸くしている。

「ああ、あの女共……メヒエって名乗ってたが、あいつらから聞かされた。ここが悪夢の中で、ここで死んだら本当に死んじまうってこと。それにこの悪夢を作り出したのが、あのメヒエってナイトメアだってこともな」

 ライデンの言葉に思わずポカンとするドレイク達。ライデンの言葉が事実ならば、ナイトメアがわざわざ自分達や悪夢の説明をしたことになる。

「なあデンデン、そのメヒ……何とかってのはあいつらの名前なのか?」

 ドレイクが疑問を口にする。それを聞いていたオスロットとバイサンダーが「デンデン…?」と謎の名前に疑問を投げかけていたがとりあえず無視する。

「ああ、あいつら…みんな同じ姿かたちしてただろ?あいつらはみんなメヒエの分身であり本体でもあるんだとさ」

「どういうことだ?」

「なんでも、あのメヒエってナイトメアはいくらでも分身を作れるらしいんだ。そんでその作った分身は全てメヒエ自身で、一人でも残ってればまた分身を作り出せるらしい」

「つまり、あいつら全員を分身する前に倒さなきゃいけないってことか?」

「まあ…そう言うことだろうな」

「面倒くせえなぁ……」

 ライデンの説明を聞き顔をしかめるドレイク。厄介な相手だと思っているようだ。

「でもライデン、なんであんたがそんなこと知ってるのさ?」

「ああ、それはな……あのメヒエから直接聞いたからだよ」

 シェリエルの言葉にそう答えらライデン。そのライデンの言葉を聞いたドレイク達は眼を丸くする。

「どういうことだい?何で敵からそんな話を……?」

 意味が分からないと言いたげなシェリエル。そんな仲間に苦笑いをしながらライデンはため息とともに説明を始めた。

「そもそも俺たちは最初もっと大人数……20人位はいたんだ。それでこの悪夢の中で何が何だか分からない状態でうろついてたんだが……そこにメヒエの大群……最初は100人位いたんだが、あのメヒエたちが突如俺たちの前に立ち塞がってな……この悪夢や自分たちナイトメアの事、そんで自分の分身能力の事を突然説明し始めたんだ」

「突然ですか?意味が分かりませんね」

 フリルフレアの言葉に頷くライデン。

「それで自分の能力の説明を終えたあいつらは俺たちを取り囲んで突如襲い掛かってきたんだ。なんでも、俺たちに絶望を与えてから殺して魔力を奪うんだとかなんとか……」

「奴らもそんなこと言ってたのかい」

「奴らもって…?」

「うん、あたいが前にいた悪夢でもそんなことを言ってたからさ」

「前にいた悪夢?」

 シェリエルの言っていることの意味が分からないらしく、ライデンやオスロットたちのの頭の上にはいくつも?マークが浮かんでいる。

「どうやらデンデン達も記憶の操作はされてないみたいだから、全部説明して大丈夫じゃないか?」

「そうだよね。シェリエルさん、私もドレイクと同意見です」

 ドレイクとフリルフレアの言葉を受け少し考え込んだシェリエル。

「そうだね。もっともあたいよりも旦那とフリルフレアちゃんの方が詳しいだろうけどね」

 そう言って苦笑いするシェリエル。

 そしてドレイク達は、ドレイクが悪夢に突入してから今まで起きたこと、倒したナイトメアや、助け出した仲間たちの事、それに事情を知らないオスロットとバイサンダーのためにアルミロンド集団昏睡事件の事も含めてある程度の事を手短に説明するのだった。


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