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第4章 赤蜥蜴と赤羽根と翼人の里 エピローグ

     エピローグ


「だーかーらー!あのザンブリエルは私がやっつけたの!」

「はいはい、分かった分かった」

「ムキー!なにその言い方!絶対信用してない!」

 ホーモン集落の出口付近で馬車に乗り込もうとしていたドレイク達。そこで癇癪を起こして地団太を踏みながらそう叫ぶフリルフレアを見ながらドレイクは「信用してる信用してる」と手をパタパタ振りながらため息をついていた。

 フリルフレアが謎の力を発揮し、ザンブリエルを浄化してから2日ほどが経過していた。

 フリルフレアがザンブリエルの浄化した後、ドレイク達は全員集落の者たちによって発見された。

 ザンブリエルの放った炎はかなりの集落の建物を焼き、倒壊させたが、幸いにも住人の犠牲者はほとんどいなかった。後で聞いた話によると、ドレイク達とザンゼネロンの戦いの騒動を聞いて先に避難を開始していたらしい。よってザンブリエルが炎を放った時には既にほとんどの住人が避難を終えた後だったのだ。犠牲者が少なかったのは不幸中の幸いと言わざるを得なかった。それでも犠牲者が0人という訳にはいかなかったが、幸いにもフリルフレアが安否を気にしていた少女は無事だったためフリルフレアはホッとしていた。

 またドレイク達はことの顛末が分かっていなかった。

 ドレイク達が集落の住人に発見され起こされた時、彼らはほぼ無傷……と言うより、治療された後のような状態だった。実はドレイク達の傷を癒したのはフリルフレアなのだが、当のフリルフレアが疲労困憊で顔面から地面に倒れ込んで気絶しており状況が全く分からなかった。またフリルフレアの姿は一見すると元に戻っていたが、心なしか以前よりも髪の赤みが増しており、深紅の翼は半回りほど大きくなっていた。もっともその時点でその事実に気が付いた者はいなかったのだが……。

 そして、ドレイク達はザンブリエルがいないことを確認すると消火活動の手伝いを申し出、そのまま消火活動や復旧活動の手伝いをしていたのだ。

 そのまま丸1日手伝いをしたドレイク達は、ある程度集落が落ち着いたと判断し帰路につくことにした。そしてその時に、ザンブリエルが一体どうなったのかという疑問が上がり、それに対してフリルフレアが「私が倒したんだよ!」と手を上げて答えたのだが、ドレイク達全員がその言葉を信用しなかった。特にドレイクは「俺に倒せなかった奴がお前に倒せるわけないだろ」と馬鹿にしたため、フリルフレアはその言葉に腹を立てて癇癪を起したのだった。ちなみにドレイクはともかく、ローゼリット達はフリルフレアの言葉を「可愛いウソ」だと認識しており、どこか微笑ましげに見ている。ザンブリエルに関しては「ザンゼネロンとファブリエルが強引に融合した不安定な存在だったため、力を使い過ぎ存在を維持できなくなって消滅したのではないか?」というアレイスローの意見にドレイク達が一応納得した形になっていた。

「まあまあフリルちゃん。お姉ちゃんはフリルちゃんの言葉を信じてるからね♡。だからその時の話を二人っきりで詳しく……うぇへへへへ」

 スミーシャがそう言ってフリルフレアのほっぺたにスリスリしている。ちなみに言葉の最後に欲望だだ漏れの笑い声が入っていたため、下心があることがバレバレである。とにかくそんな感じでしつこくほっぺたにスリスリしてくるスミーシャに若干鬱陶しそうな視線を送っているフリルフレア。そのまましつこいスミーシャの頬を押しのけるとそのままキッパリと言い放った。

「もう!私はドレイクに言ってるんです!スミーシャさんはどうでも良いんです!」

「ガーーーーーン!………どうでも良いって言われた」

 ショックのあまり両手両膝を地面につくスミーシャ。あまりのショックに全身がプルプルと震え、涙目になっている。

「お~よしよし。かわいそうになぁ」

「ふぇ……ふえぇぇ……ろ~じぇぇ……」

 スミーシャが少々不憫だったのか、しゃがみ込んで頭を撫でてやるローゼリットと、そんなローゼリットの胸にガバッと飛び込み、泣きながら甘えるスミーシャ。やっている本人たちはどうだか知らないが、傍から見ると何とも間抜けな光景である。

「とにかく!私がスーパーフリルフレアちゃんに変身して、あいつをやっつけたの!」

「何だよそのスーパーフリフリ何とかって?」

「フリフリ何とかじゃなーい!スーパーフリルフレアちゃん!」

「ああ、そうか。そんで?そのスーパーお前がなんだって?」

「ムキーーー!やっぱりドレイク!私の言う事信用してないでしょ!」

 再び癇癪を起して地団太を踏むフリルフレア。どうやら何としても自分がザンブリエルを倒したことをドレイクに認めさせたいらしいのだが、当のドレイクは全く彼女の言葉を信用していない。疑うどころか、最初から嘘だと決めつけて頭から馬鹿にしている。

「そもそも、そのスーパーフリフリレアチーズケーキって一体何なんだよ?」

「スーパーフリルフレアちゃん!何よスーパーフリフリレアチーズケーキって!なんかフリフリしたのが付いたレアチーズケーキを想像しちゃって、ちょっとおいしそうだなって思っちゃったじゃない!」

「……いや、美味そうか……?」

 スーパーなんちゃらチーズケーキを美味しそうというフリルフレアの感性に若干の疑問を抱くドレイクだったが、今の問題はそこではない。

「…それで…結局…スーパー…フリル…って…何?」

 ドレイクとフリルフレアの寸劇(コント)に付き合っていると話が全く進まないと思ったのかフェルフェルが口を挟んでくる。そして、それを聞いたフリルフレアは待ってましたとばかりにドヤ顔をしていた。

「よくぞ聞いてくれましたフェルフェルさん!スーパーフリルフレアちゃんって言うのはですね!……え~っと……その…」

「「「??」」」

 勢い込んで語り始めた割には急に歯切れが悪くなるフリルフレア。そのまま「えっとね」とか「う~んと…」とか言っていたが、何か閃いた様にポンと手を叩くと再びドヤ顔をドレイク達の方へ向けてきた。

「スーパーで凄いフリルフレアちゃんの事だよ!」

「「「…………」」」

 ドヤ顔で言った割には漠然としていると言うか、むしろアホっぽいフリルフレアの言葉が虚しく響き渡る。そして全員の無言の視線がフリルフレアに突き刺さった。

「スーパーアホなフリルフレアちゃんの間違いじゃねえか?」

「ミイイィィィ!アホじゃないもん!本当にスーパーだったんだから!」

 ドレイクの言葉に、ムキになりながら腕をブンブン振り回して主張するフリルフレア。しかし、実はフリルフレア自身、ザンブリエルを倒したという事実は覚えていても、それをどのようにして成し遂げたかは実はまともに憶えていなかった。特に、ドレイクが死んだと思い込み、叫び声をあげたあたりから記憶が曖昧になっている。ただ、その中でも自分が何か普段と違う姿になり、その力でザンブリエルを浄化したことだけは覚えていた。

「そんな姿になれるんなら、今変身して見せろよ」

「え⁉…ええっと…それは~……」

 ドレイクが言うもっともな意見に、思わず視線を逸らすフリルフレア。実はフリルフレアはあのヒラヒラした羽根の付いた姿に変身できずにいた。消火、救護活動の合間に何度も試してみたのだが、どうやってもあの姿に変身できない。思わずあの姿は自分の妄想だったんじゃないかと疑ってしまうほどだったが、いくらなんでも妄想だったとは考えにくい。だから変身できるはずなのだが、残念なことにフリルフレアが何度繰り返してもあの姿には変身出来なかった。そして、変身出来ないせいでドレイク達に疑われたままなのである。

「ほれほれ、変身できるんなら変身して見ろよ。何なら変身ベルト付けるか?」

「むむむ~……ベルトなんていらないもん!」

 小馬鹿にしてくるドレイクに、悔しそうに頬を膨らませるフリルフレア。涙目でドレイクを睨み付けるが、変身出来ない以上自分の功績を証明することも出来ない。

「おいおい赤蜥蜴、そのくらいにしといてやれよ。嬢ちゃんがかわいそうだろ」

 その時それまで黙って事の成り行きを見ていたベルフルフがニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら口を挟んできた。そして「そうだよなぁ嬢ちゃん」などと言いながら馴れ馴れしくフリルフレアの肩に手を回し、さりげなくドレイクから引き剥がす様に抱き寄せる。そしてフリルフレアの耳元に口を近づけた。

「俺様は信用してやるからな嬢ちゃん。嬢ちゃんがザンブリエルを倒したところも俺様はちゃんと見てたからな」

「え⁉」

 耳元で小声で囁くベルフルフに驚きの表情を向けるフリルフレア。てっきりあの時全員気絶しているものだと思っていたため、ベルフルフの言葉は意外だった。

「なあ、それでよ嬢ちゃん。俺様から提案なんだが……嬢ちゃんの言う事を信用しないあいつらなんか放っておいて、俺様と組まねえか?」

「へ?」

「だからよぅ、赤蜥蜴とのコンビなんざとっとと解消しちまって俺様と新しくコンビを組まねえかって話だよ」

「わ、私とベルフルフさんがコンビを……?」

 まさかベルフルフの口から自分とコンビを組もうなどという言葉が出るとは思っていなかったため、驚きのあまり思わず呆然と呟くフリルフレア。そんなフリルフレアにわざとらしい笑顔を向けて言葉を続けるベルフルフ。

「嬢ちゃんの能力と俺様の力があれば向かうところ敵なしだぜ?相手が魔王だろうが竜王だろうが敵じゃねえって!そうすりゃ俺たちゃ英雄だ!今回の貰い損ねた報酬なんざ気にならないくらい莫大な財産が手に入るぜ!」

 興奮気味にそうまくしたてるベルフルフ。言いたいことは分からなくもないが、だいぶ誇張表現されている気がしてならない。そしてフリルフレアはそんな言葉の中の一つに引っかかりを覚えていた。

「貰い損ねた……報酬…?」

 その言葉でフリルフレアはあることを思い出した。ベルフルフは今回の仕事を集落の長であるホーモンから受けていた。しかしそのホーモンはザンゼネロンに憑りつかれ命を落としている。そのため、実はベルフルフに対して報酬を支払う人間がいなかったのだ。集落全体を見ても復旧のために金も時間も相当必要になってくる。とてもではないがベルフルフに対して報酬を支払っている余裕などない。まして集落の人々は直接の依頼人ではない。あくまで依頼人はホーモンなのである。よってベルフルフに対しては結局報酬が全く支払われていないというのが現状だった。ちなみにドレイク達はそもそもフェニックスの卵の探索のためにの集落に立ち寄ったため、集落からもらう報酬はない。最寄りの町に行って冒険者ギルドでザンゼネロンの討伐報酬をもらうだけである。

「それに、あのザンブリエルって奴を倒したのは嬢ちゃんだろう?ならギルドで討伐報酬をもらう資格があるのは嬢ちゃんだけだろう。何、俺様はその報酬から一部だけでも分けてもらえば……」

 そんなことを言っているベルフルフに、どこか冷ややかな視線を送るフリルフレア。

「ベルフルフさん…………私と二人でギルドに行けばザンゼネロンの討伐報酬にありつけるからって、ちょっと露骨すぎますよ」

「い、いや…ちょっと待て嬢ちゃん!俺様は別にあの魔獣の討伐報酬目当てで嬢ちゃんに声をかけた訳じゃ……」

「本当に報酬のことは全く考えてなかったんですか?」

「え⁉……そ、そりゃあ少しは考えてたが………」

「ほらやっぱり目先のお金目当てじゃないですか」

 肩に回された腕を振り払ってベルフルフを睨み付けるフリルフレア。一方のベルフルフは若干媚びるように下手に出ている。

「いやいや待てよ。俺様が嬢ちゃんの能力を評価してるのは本当でだぜ!それに、もし嬢ちゃんさえ良ければ夜のお供だって……」

 ベルフルフがそう言った瞬間、フリルフレアは両手で自分の身体を抱きしめると急いでベルフルフから遠ざかった。

「よ、夜のお供って……ベルフルフさん、私の身体が目的だったんですか⁉」

 顔を真っ赤にし、そのまま急いでドレイクの後ろに隠れるフリルフレア。そしてドレイクの背中から顔だけを出してベルフルフにジト目を送る。

「や、やっぱりベルフルフさんは変態です」

「ちょ、ちょっと待て嬢ちゃん!俺様はだな……」

 誤解だと言いたげにフリルフレアに迫るベルフルフだったが、それは全くの逆効果でありフリルフレアは余計にドレイクの後ろに隠れてしまう。

「フリルフレアは嫌だとよ。諦めるんだなこのロリコン変態犬野郎」

「誰がロリコン変態だ!俺様はストライクゾーンが広いだけだ!」

「じゃあ、熟女好きの変態犬野郎」

「熟女好きじゃねえええぇぇぇぇ!てめえ赤蜥蜴!喧嘩売ってんのか!」

「おう!うちの相棒に手を出そうとする奴にはいくらでも売ってやるぜ!」

「んだとこの野郎!やんのかテメエ!」

「上等だ!いくらでもやってやるぜ!クソ眼帯犬!」

「テメエ!爬虫類の分際でいきがってんじゃねえぞ!」

「誰が爬虫類だ!リザードマンは竜の眷属だボケ!お前こそ出来損ないのコボルトみたいな顔しやがって!」

「コボルトじゃねえ!俺様はウルフマンだ!次コボルトって言ったらぶっ殺すぞ!」

「テメエこそ次爬虫類扱いしたら殺す!」

 ドレイクとベルフルフの罵詈雑言が辺りに響き渡る。そしてしまいにはどこぞのヤンキーの様におでこ同士をぶつけてぐりぐりとしながら「やんのかザコ蜥蜴!」「調子に乗るなボケ犬!」などと幼稚な言い争いに発展していった。

 そんな二人を静観していたアレイスローだったが、二人の不毛な言い争いが終わる気配を見せないのでため息をついて仲裁に入った。

「ドレイクさんもベルフルフさんも落ち着いてください。さっきからただの口喧嘩になってますよ。それに、どちらの相棒になるか、決めるのはフリルフレアさんでしょう?」

「「う…」」

 アレイスローのもっともな意見に思わず言葉に詰まるドレイクとベルフルフ。しかしドレイクはすぐに自分の後ろに隠れているフリルフレアを引っ張り出すと、しゃがんで視線の高さを合わせて彼女の両肩に手を置いた。

「フリルフレアは俺の相棒だもんな!俺達と一緒に行くだろう?」

「…………」

「な、何で黙ってるんだよ!」

 ドレイクの問いかけに対し黙って何も言わず、ジッとドレイクを見つめるフリルフレア。その様子に不安を覚えたドレイクは思わず上ずった声を出していた。そしてそれを見ていたベルフルフはニヤリと笑みを浮かべてフリルフレアの頭に手を置く。

「嬢ちゃんはどうやら俺様と一緒に行きたいらしいな」

「そ、そんなはずないだろ!なあフリルフレア!」

 自分が優位と思ったのか、得意げに言うベルフルフ。それに対してドレイクの声はさらに上ずっている。

 しかしそんな中、フリルフレアは一人ニヤリと若干嫌な笑みを浮かべると、自分の頭の上に置かれているベルフルフの手をパアン!と勢いよく払いのけた。

「へ⁉」

 手が払いのけられるとは思っておらず、思わず間抜けな声を出すベルフルフ。しかしそんなベルフルフのことなど気にも留めず、フリルフレアは少し勝ち誇ったような笑みを浮かべながらドレイクの手に触れた。そしてその笑みを浮かべたまま一言。

「じゃあ、信じてくれるよね」

「………は?」

 フリルフレアの言っている事を理解出来ず、思わず間抜けな声が漏れるドレイク。そんなドレイクに対し、フリルフレアはドレイクの両手を握りしめると満面の笑みを浮かべながら言葉を紡いだ。

「ドレイクは、私があのザンブリエルを倒したって信じてくれるよね?」

「え?いや、今その話は関係無……」

「信じてくれるよね?」

「………わ、分かった。…信用する。あの魔獣野郎はお前が倒した…」

 フリルフレアの満面の笑みから発せられる凄まじい圧力に思わず屈するドレイク。どうやら、今まで通り相棒でいてほしかったら自分がザンブリエルを倒したという話をちゃんと信用しろと言いたいらしい。そしてドレイクはフリルフレアの言葉をあっさり信用することにしたのだった。

「ムフフ~!よろしい!……という訳でベルフルフさん、申し訳ないですけど私、ドレイクの相棒なんで諦めてください」

 そう言ってベルフルフにニッコリと微笑みかけるフリルフレア。それに対しベルフルフは苦い顔をしながら「チッ」と舌打ちをした。

「振られちまったか。しょうがねえな」

 ベルフルフはそう言うと、ため息をつきながら集落の出口から外に出て行った。そしてそのまま歩きながら手だけを振ってくる。

「じゃあ、もうここに居る理由もねえな。じゃあなの前ら、あばよ」

 それだけ言い残すとベルフルフはそのまますたすたと歩いて行ってしまった。あっさりとした、あまりのもあっさりとした去り際に思わず全員がポカンとベルフルフの後ろ姿を見送っていた。

「さて、それじゃ我々も帰りましょうか」

 ベルフルフの姿が見えなくなったころ、アレイスローがそう言って馬車に近寄っていった。

「…そろそろ…虎猫亭の…御飯が…恋しい…」

 そんなことを言いながらフェルフェルがアレイスローの背中を押して一緒に馬車に乗り込んでいく。

「フリルちゃんが赤蜥蜴の相棒だってー。あたしの相棒になってくれないよー」

「はいはい、お前の相棒は私だからあきらめろスミーシャ」

 フリルフレアがドレイクの相棒だと言ったのがショックだったのか半ベソかいてるスミーシャと、彼女の手を引きながらため息をつきをついて馬車に乗り込むローゼリット。荷台に乗り込むと、そのままスミーシャも引っ張り込んだ。

 現在馬車の荷台にはローゼリットとスミーシャ、アレイスローとフェルフェルの4人が乗っている。後は全員の荷物を入れればいっぱいだ。そのまま荷物を積み込むと、馬車の御者台に飛び乗るドレイク。次いでフリルフレアもその隣にちょこんと座り込んだ。

「それじゃ早く帰ろう、ドレイク」

「お前…帰りも一週間位かかるって分かってるか?」

「分かってるわよ。でも早く帰りたいんだからしょうがないじゃない」

「どうせ早く帰ってオムレツ食べたいとかだろ?」

「いや、オムレツもだけど、それよりお風呂入りたい」

「そういやお前風呂入って無かったな。匂うぞ?」

「ミイィィィ!匂わないもん!ドレイクの方が臭いもん!」

「はいはい」

 匂うとか匂わないとか正直どうでも良いと思うのだが……。女子の見栄というものは分からないものだと思うドレイク。

(まあ、どうでも良いか)

 そんなことを考えながらドレイクは手綱を握り馬車を走らせ始めた。正直腹も減っている。ラングリアに帰ったら虎猫亭でエールでも飲みながらたらふく飯を食おうと思うドレイクだった。




                      赤蜥蜴と赤羽根と翼人の里     完


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