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第4章 赤蜥蜴と赤羽根と翼人の里 第5話、蘇生の炎 その4

     第5話その4


 夜通し消化、救護活動をしていたドレイク達は作業が一段落した朝方になってようやく寝床につくことが出来た。当然の様に全員疲れ切っていたのでそのまま泥のように眠りについた。そして昼頃に起き出すと、朝食と昼食を合わせた食事を済ませ、皆思い思いに時間を過ごしている時だった。おもむろにフリルフレアがオズオズと口を開く。

「あ、あのさドレイク……結局昨日、私に何が起きたの…?」

 どこか不安げにそう言うフリルフレア。自分の身に何が起きたのか非常に気になる。そんなフリルフレアを見ながらドレイクは腕を組んで考え込んだ。どうもフリルフレアの様子からすると、彼女は自分が一度死んでその後蘇ったという事実を認識していないように思える。恐らくそのあたりの記憶が曖昧なのだろう。だが、とりあえずはフリルフレアがどこまで覚えているのか確認しておく必要があった。

「その前にフリルフレア、お前昨日のこと何処まで覚えてるんだ?」

「何処までって?」

「あ~、だから……お前がバードマンの子供を助けてからその後の事だよ」

「私が子供を助けてから……」

 そう言ってフリルフレアは顎に人差し指を当てながら何かを思い出すように虚空を見つめていた。そして「ん~……」とか唸りながら眉をひそめている。

「そう言えば、私子供を助けて……その後あの獄魔獣に捕まれた気が……?」

 そう言いながらまたも「ん~…」と唸り首を傾げるフリルフレア。そしてそのまま散々唸りながら頭をひねっていたがその表情が晴れることはなかった。どうやらその辺りまでしか覚えていないみたいである。

「やっぱりそこまでしか覚えてないや。その後は気が付いたら寝てた感じ?」

 そう言って「てへ」と舌を出すフリルフレア。

「そこまでしか覚えてないんだな?……ん~…何て言えばいいか…?」

 こちらも腕を組んだまま唸り声を上げるドレイク。真実をありのままフリルフレアに伝えた方が良いのか非常に悩むところだ。それにフリルフレアが、自分が一度死んだ事を知ったときショックで倒れたりしないか不安もある。いや、それどころか真実を知ることで再び屍に戻ってしまわないかと言う不安さえ感じた。

(これは……言葉を選ぶ必要があるな…)

 そう思いながら良い言い方はないかと手助けを求める様に仲間を見回すドレイク。ドレイクの様子に頭に?マークを浮かべているフリルフレアと詳しい事情を知らないフェルフェルは置いておいて、アレイスロー、ローゼリット、スミーシャの順に視線を送ると、事情を察したのか、アレイスローとローゼリットは何か考え込むそぶりを見せていた。そしてスミーシャは明らかに何も考えて無い勢いでフリルフレアに抱き付くと、その耳元に唇をよせていく。

「大丈夫よフリルちゃん♡昨日の夜何があったのかはお姉ちゃんがちゃぁんと教えてあ・げ・る♡。いい?昨日子供を助けたフリルちゃんはそのままあの魔獣に捕まっちゃったの。そしてフリルちゃんはあたしに助けを求めたのよ!『助けて!スミーシャお姉ちゃん!』tって!その時あたしの隠された力が覚醒し魔獣を追い払ったのよ!そしてフリルちゃんは泣きながら『スミーシャお姉ちゃんありがとう!大好き!』って言ってあたしに抱き付いてきたの!それを抱き止めるあたし!そして二人は見つめ合って永遠の愛の誓いとして熱いベーゼを……」

 早口にそうまくしたてると淫魔のような笑みを浮かべながらフリルフレアの頬に熱いベーゼをかまそうとするスンミーシャ。若干嫌そうにそれを防いでいたフリルフレアは「え……?私そんなこと言いましたっけ?」と頭の上に?マークを浮かべている。

 そんな嫌そうなフリルフレアを不憫に思ったのかローゼリットがため息をつきながらスミーシャの頭を両手で掴むとそのままボキ!と嫌な音を立てて彼女の首を横にねじった。

「ぐわ!ちょ…ローゼ?…首めっちゃ痛いんだけど…有り得なくない?」

「いや、有る事無い事吹き込むお前の方があり得ないし」

 そう言って相棒の猫耳娘を冷やかな眼で見下ろすローゼリット。そしてそのままスミーシャをフリルフレアから引き剝がすと「お前はこっちに座っていろ」と言って自分の隣に座らせた。

「赤蜥蜴、私はフリルフレアならちゃんと事実を受け止められる。そう思うぞ」

「金目ハーフ……」

 自分なりの考えを言うローゼリット。そしてドレイクの視線を受けると「だから後はお前の判断に任せる」と言って腕を組んで目を閉じた。

「…弐号、お前はどう思う?」

「私もローゼリットさんと同じ意見ですよ。ドレイクさんの判断に任せると言う事も含めてね」

 そう言って肩をすくめるアレイスロー。もう自分の言うべきことはない。そう言いたいらしかった。

 ローゼリットとアレイスローの意見を聞き、ドレイクも決心した。やはり包み隠さず話すべきだろう。

 意を決してドレイクが口を開こうとした瞬間だった。

「おい、邪魔するぜ」

 表でそんな声がした。そしてそのまま無遠慮にズカズカと足音が小屋の中に入り込んでくる。そしてそのまま広間に入ってきたのはベルフルフとホーモンだった。

「おや、ベルフルフさんとホーモンさんどうされたんですか?」

 突然の来客に立ち上がるアレイスロー。だが、それに対して手だけで座るように合図したホーモンは人の良さそうな笑みを浮かべながら口髭を弄っていた。

「皆さんには怪鳥の撃退と消化、救助活動の協力をしていただきましたからな。お礼を申し上げておこうと思いましてな」

 そう言って「フォッフォッフォ」と笑うホーモン。

「いえ、こちらも冒険者として当然の対処をしたまでです」

 アレイスローの言葉に頷くドレイク意外。

「おいおい爺さん。俺たちは冒険者、慈善団体じゃないんだぜ?お礼なら……なあ?」

 一人頷かなかったドレイクはそんなことを言いながら指で輪っかを造った。どうやら金と言いたいらしい。

「ちょっとドレイク!集落にだってすごく被害が出たんだよ⁉それなのにお金を取るなんてあんまりじゃない⁉」

 ドレイクの態度に怒るフリルフレア。当のドレイクは気にもしていないのか口笛など吹いている。

「ハ!金金金、あさましい野郎だな」

「あ?集落が襲われた時に不在だった能無し用心棒がなんか言ったか?」

 ベルフルフの物言いにカチンときたのか睨み付けるドレイク。

「生憎だったな、不在だったんじゃなくて別件の対処をしてたんだよ」

「別件だと?」

 てっきりベルフルフが罵詈雑言を言い返してくると思ったドレイクだったが、思いのほか真っ当な返答が帰ってきたことに驚いた。

「今日はその別件の事でお前らに話があって来たんだ」

「そうなのか?」

 言い返してこないベルフルフに肩透かしを食らう形になったドレイクは、そのままフリルフレアに視線を向けた。

「ワリィ、フリルフレア。お前の話は後で良いか?」

「うん……それは良いけど…」

 少し残念そうなフリルフレアだったが、ホーモン達を待たせるわけにもいかなかった。

「すまないな。……それで?爺さんは礼を言いに来たんだったな?」

「ええ、怪鳥を追い払っていただきありがとうございました。本来ならばお礼を用意したいところなんじゃが……集落の復興費とベルフルフさんの報酬も払わねばならんで、今懐が厳しいんですじゃ」

「さっきのは冗談だから気にしなくていいぜ?」

「しかしそれでは申し訳ない。何かワシで皆さんのお力になれればいいのじゃが……生憎といろいろと知識をため込んだくらいしか取り柄がありませんでな」

 そう言って肩を落とすホーモン。しかしその言葉を聞いてドレイクはあることに気が付いた。ホーモンは知識をため込んだのが取り柄と言った。ならば、フリルフレアの身に起きたことも何か知っているかもしれない。

「おいフリルフレア。昨日の夜起きた事、この爺さんにも聞いてもらっていいか?」

「ホーモンさんに?別に構わないけど?」

「よっしゃ」

 ドレイクはそう言うとホーモンの方を向いた。

「なあ爺さん。お礼の代わりと言っちゃなんだが……俺たちの話を聞いてくれないか?」

「話…ですかな?」

「ああ。それであんたの考えを聞かせてほしいんだ」

「ほう……わしの知識で役に立つのでしたら構いませぬが」

「助かるぜ」

 そう言って頷くとドレイクは部屋の皆を見回した。そして一か所で視線を止める。

「いや、お前は出てけよ」

「何だよ。なんか面白そうじゃねえか、俺様にも聞かせろよ」

 腕を組んで壁に寄りかかったまま動こうとしないベルフルフ。ドレイクはフリルフレアの方を向くと「こいつにも聞かせていいか?」と確認した。

「まあ、別に良いけど…」

 若干渋々といった感じで了承するフリルフレア。それを見届けたドレイクはフリルフレア、フェルフェル、ベルフルフ、ホーモンに向けて昨日の夜の出来事をなるべく事細かに話して聞かせたのだった。


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