第5話 魔法
「今日は適正武器による魔法適正あるなしに関わらず、誰でも使える魔法についてやるわ。今日は炎魔法〈火炎〉をするわ。まず魔法を学ぶ方法は大きく分けて二つあるわ。一つ目は理論の理解。これは辞書レベルや性能によって取得期間が変わるわ。取得は難しいけれど魔法の調整が簡単よ。ニつ目は水晶を使った取得よ。これはすぐに覚えることができるけれども水晶の値段は高い上に調整が難しくなるのでオススメはしないわ。学園では一つ目の理論の理解の方法でやるわ。この方法は基本的に魔導書を使ってやるの。魔導書も水晶も変わらず辞書が魔法術式を理解することで使えるようになるのでしっかりと理解できるように頑張って。ちなみに適正属性や辞書レベルによっては最初から使える魔法もあるわ。」
適正か辞書レベルのおかげで使えたのか。
「次に調整ね。消費MPを変えることで調整できるわ。理論の理解をしていた方が調整はしやすいわね。でもこればっかりは感覚よ。今から水晶を使ってMPを消費するトレーニングをするわ。とりあえず一人一個取ってって。」
生徒達は教卓へ行き、水晶を取る。
「その水晶は触れている間、MPが吸われ続けるわ。それで感覚を覚えて。」
それから二時間、生徒達はひたすら水晶でMPをイメージしていた。中にはMP切れで倒れる子もいたが、先生が回復薬を使っていた。
俺はMP調整がなかなか出来ずに困っていた。元の世界から考えるに感覚じゃ難しいんだよな…。吸われる感覚は分かってもこの量を減らす感覚が思いつかない…。なんだかんだで二時間やり続けて、三割ほどカットすることに成功した。普通なら八割はカットできておいたほうがいいらしいが、暫くは無理そうだ。
「大体みんなコツは掴めてきたようね。午後は実技の予定だったんだけど…無理そうね。午後魔法についての説明をして、明日実技をするわ。とりあえずは休憩ね。午後まで自由にしてていいわよ。じゃあ、解散。」
「「「ありがとうございました。」」」
そう言って生徒達は教室から出て行く。どこに行く用事もないので教室に残っているとアリスとマインが近くに来た。
「し、雫さん。お昼一緒にどうですか?」
「私もご一緒させてください。」
あぁ、そういうことか。昼食の時間だからな。
「勿論、どこで食べるんだ?」
「あ、あの学食が凄く美味しいらしいんですけど…。」
「じゃあ行ってみようか。」
「あ、ありがとうございます!」
「アリスもそれでいいか?」
「勿論です。」
俺達は学食へと向かう。
「結構人いるなぁ。」
「そうですね。並んで待ちましょう。」
「は、はい。」
なんかマインは変に敬語使うよなぁ。まあ本人がそれでいいなら文句は言えないけどさ。
「そういえば雫さん。MPカットするの…できましたか?」
「あぁ、俺は三割くらいしかカットできなかったけど。」
「三割もカットできたんですか!?私なんて一、二割程度しかできなくて…。」
「いやそれでも十分凄いじゃないか。俺は魔法に適正があるだけだよ。」
「なんかコツとかありますか?」
「辞書と対話する感じ…ていうのかな。自分の力だけじゃなく辞書に頼るといい。あとはたくさんやってみるしかないな。」
「辞書に頼る…。今度やってみます!」
「あぁ、頑張れよ。」
なんかアリスがニコニコしながらこっちを見てる。なんか苛つくな…。
「アリス、何食べる?」
「私は日替わり定食でお願いします。」
マインも日替わり定食を選んでいる。勿論俺も日替わり定食にした。定食なのか…。
俺達は日替わり定食を持ってテーブルへ向かう。今日のメニューはカツらしい。この世界にもカツがあることに驚きだ。
「本当に美味しいな。」
「そうですね!タダですし、美味しいって…。私この学校に入ってよかったです!」
「美味しいですね。」
マインとアリスも美味しいと感じているようだ。
「ところでそろそろ時間ですよ。」
「あ、本当だ。」
俺達は急いで食べ、また教室へ向かった。