第18話 マリンゴブリン
お久しぶりです。
受験期なこともありまして更新が遅くなっております。
できる時を見つけて更新していくのでこれからもよろしくお願い致します。
マリンゴブリンの集落は、ゴブリンの集落がある森を抜けた沼地にあった。
【ファラス沼地です。】
さすが辞書だ。すぐに補完してくれる。
森にはモンスターはいないようで、動物達が多くいた。
まあ、仮にモンスターがいたらゴブリンは住めないだろうからな。
俺はマリンゴブリン達はてっきり襲い掛かってくるものかと考えていたが…
「ようこそおいでくださいました吸血鬼様。」
意外と良い待遇であった。
「お前らの族長に合わせてくれ。」
「畏まりました。お呼び致します。」
しかしここからが問題だ。
ゴブリンとの縄張り問題だけでなく、俺の配下とするためにはどうするか、を考えなければならない。
マリンゴブリンさえ支配してしまえば森、沼地共に俺のものとなる。
ここを拠点として奴らに復讐をするのだ。
そんなことを考えていると族長がやってきた。
「これは遠路遥々ご苦労様です。ゴブリンの族長殿、吸血鬼様。私はマリンゴブリン族長、サファイアでございます。」
性格の悪そうな老人だ。一人称は私だがれっきとした男だ。
「なぜ俺がここに来たかは分かっているだろう…?」
「察しはつきます。領地問題ですね?」
「察しが良くて助かるよ。」
なかなかに頭の良いやつだ。
「生憎ですがこちらは譲る気はありませんよ。それに貴方達、今時分たちがどういう状況か分かりませんか?」
「何を言っている…?」
「愚かな…。殺せっ!」
サファイアがそう指示を出すと周りに隠れていたのかマリンゴブリンが現れ、襲ってきた。
「し、雫様!?どういたしましょう…!?」
「はぁ…。めんどくさいなあ…。」
見た感じレベルは100未満、数は20程度だ。
炎魔法│[炎地獄]では殺しかねない。
「雷魔法[雷撃]」
俺はただその一言でこの場を制した…。
襲ってきたマリンゴブリンは俺の雷魔法[雷撃]の前で皆、気絶している。
たかがマリンゴブリンが、俺の復讐までの道を邪魔するからだ。
「は、は…、は…。」
サファイアは驚いている。
「ふふふ…。まさかここまでとは…。恐れ入りました…。」
「そういうのはいい。今死にたいか?それとも俺の配下としてゴブリンと仲良くするか…?」
俺は魔力を手に込めて脅す。
「まさか!歯向かうなんて愚かな事はしませんよ!喜んで配下になりましょう…。」
「それでいい。」
案外容易いものだな。
「私達マリンゴブリン一族、雫様に忠誠を尽くしましょう。」
魔族というのは案外単純だ。
自分より強いものには歯向かわず、態度をすぐ変える。生物とはそんなものなのだろうが。
命の危険を感じてこんなに態度がすぐ変わるとは…。まったく…。
まあ何にせよマリンゴブリンも配下にできたのだ。