第14話 悲劇
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ルビが振れなかった事、謝罪申し上げます。
とりあえず教室へ向かう。
「雫様、今日は頑張りましょう。」
「頑張ろうね。」
「ああ、そうだな。」
時間になって席に全員が座る。まずは教室で全員持ち物チェックをされ、その後教室を移動してテストを受ける形になる。
移動は持ち物チェックが終わった生徒からだんだんと行う。
俺は25番目だ。一人あたり3分ほどだからかなり待つのが辛い。これだけで一時間ほど取られる。
その一時間は暇すぎるのでスキルの獲得方法などを確認したりする。
そんなことをしているうちに俺の番になる。先生が隅々までチェックした後、魔法具で最終チェックを行う。勿論引っかからないのだが。
結局何もなく通った。なので試験会場へ向かう。
そんな時、少しの違和感を覚えた。
なんというか、廊下の雰囲気がピリピリしている、だけでなく窓側にみんなが集まっている。
何があったのだろう?俺も窓へ近づく。
窓からは外の様子が見えた。騎士のような見た目の軍団がいる。騎士団だろうか?
【聖教会の騎士です。】
聖教会といえば魔族に酷く恨みを持っているんだったか。そんな人達がなんのようでここへ…。
トト先生が騎士団が待機している校門へ向かっていく。
「我々は聖教会の騎士団である。聖教会からの命令で人魔共同学園を魔族への加担をしていると判断し潰すことが決定した。」
騎士団の先頭に立っているいかにも騎士団長という見た目の男が言う。辞書でも詳細が鑑定できない装備を持っている。
「それは困ります。人魔共同学園は神の意思です。歯向かうなら許されませんよ?」
「はっ。神など絶対ではない。この世では強き者が絶対。歯向かうなら潰す。今ならまだ命だけなら保証してやろう。」
「これでも校長なんでね。生徒は守らせてもらうよ。」
いかにも悪役感満載のコメントを言う。絶対モブキャラだろ…。
「君たち、逃げるんだ!」
トト先生や他の先生の指示で生徒たちは避難を開始する。
みんな先生が勝つと思っているのか妙に落ち着いている。
「全軍、攻撃開始!魔法砲撃大勢へ入れ!」
「「「はいっ!!!」」」
そう団長が指示すると騎士団は一斉に魔法を唱え始める。
「「「防御魔法│〈聖結界〉《セイクリッドガード》」」」
「「「砲撃魔法│〈聖砲〉《セイクリッドキャノン》」」」
「防御魔法│〈多重結界〉《サイトガード》」
「炎魔法│〈炎地獄〉《インフェルノ》」
トト先生もすぐ魔法を詠唱する。
このままでは魔力切れまで続く戦いとなるだろう。そうなったら神であるトト先生の方が有利だ。
その間にも速やかに、冷静に避難の準備を行っていた。そう、トト先生の声が聞こえるまでは。
「くっ…。」
「はっ。敵の将である学問の神トトを討ち取った。この学園の生徒、教師を残らず殺せ。」
は……?
全員困惑している。トト先生が負けた?あり得ない。でも実際トト先生はいない。
「先生っ!先生っ!いるなら返事をしてください!」
そんなみんなの声に返事は返ってこない。
トト先生は死んだのだ。
全員の表情が絶望に染まった。
「雫様!今は絶望している時ではありません!逃げましょう!」
「そうだよ!逃げよう!」
アリスとマインは冷静に逃げる事を考えている。確かにそうだ。今は絶望するよりもしなければならないことがある。何もかも逃げてからだ。
「「砲撃魔法│〈聖砲〉《セイクリッドキャノン》」」
「えっ……?」
その魔法が発動したのと同時に目の前にいたマインが真っ赤に染まっていく。
は…?マインが死んだ…?
なんで?なぜマインが死ぬ必要がある?
「雫様!!落ち着いてください!今から言う事をちゃんと聞いてください!私が足止めするのでその隙に逃げてください!」
「ダメだ!アリス!一緒に逃げるんだ!!」
「ごめんなさい雫様。その命令は聞けません。」
「ダメだっ!」
「申し訳ありません雫様。また会いましょう。走ってくださいっ!」
「時魔法〈空間圧縮〉」
「「「砲撃魔法│〈聖砲〉《セイクリッドキャノン》」」」
アリスの魔法が発動したのと同時に騎士団の魔法も発動する。
さっきも見た色が視界に広がる。
それでも俺は今は冷静だった。逃げなくては、逃げなくては、逃げなくては。
「地獄」を後ろにして俺は行く宛もなくただ走り続ける事しかできなかった。
絶望