第11話 生産その1
スキルの事も聞いたが、今の俺には出来そうもない事だ。
なので今はただ、学園での授業に集中する事にした。
今日は「生産」についての授業をするらしい。
異世界で生産って聞くと大体はドワーフとかがやってる鍛冶とか魔法で物を造ったりするのとかを思い浮かべる。もしかしたらアリスが使っていた創造魔法も生産の部類なのかもしれない。
そんなことを考えながらアリスと教室へ向かう。
「今日は生産についての授業らしいですね。」
「ん?そうだな。」
アリスが授業内容について言ってくる事はあまりないので少し驚いた。
「アリス、生産に興味があるのか?」
「あ、えーと…。」
「正直に言っていいよ?」
「正直興味あります…。」
そうだったのか。まあ将来アリスがそっち系で働きたいならそうさせあげるのも主人の役目だよな。
「将来そっち系で働きたいなら遠慮なく言えよ。手配はしてあげるから…。」
「ありがとうございます。」
そんな話をしていると教室へ着く。
「「おはようございます。」」
「雫さん、アリスさんおはよう。」
軽く挨拶をして自席へ座る。
「さて、みんな揃ったわね。今日は生産についての授業をするわ。将来生産系で働きたいっていう人には必須の授業だからそういう人は良く聞くように。それ以外の人も戦闘への応用も可能だから良く聞くようにね。」
戦闘への応用か。障害物とかを作ってに戦闘って事かな…。
「ではまず生産とは何か、について説明するわ。生産には大きく二種類あるの。一つは鍛冶や建築、もう一つは魔術による創造よ。鍛冶や建築はドワーフとかがやっている、大まかを物理によって構築するものを指すわ。これは単純ね。必要なのはスタミナ、力、手先の器用さなどステータスに由来するものよ。」
なんとなく理解はできる。元の世界の建築と変わらないってことだろう。ところどころ機械が無いからか魔法で補っていたりするのだろうか。異世界人がいるのだからそういう機械や道具がある可能性も高いが。
「次に複雑なのが創造よ。これには色々種類があるわ。分かりやすく一例を取るなら創造魔法│〈小屋作成〉《クリエイトハウス》ね。これは自らの魔力を材料に変えてから更に形を構築するの。ただ普通の建築と違うところがいくつかあってね。魔法で創造した物には核と呼ばれる物が一つあるの。材料などはこの核によって構成されている。つまり核から切り離されれば消滅するのよ。例えば創造魔法│〈小屋作成〉《クリエイトハウス》で作った木の家から木材を切り取ったらその木材は消滅するわ。」
ふむ…。核を中心的に作られた物質ということか。多くの材料からできているように見えて実際は一つの物質でしかないということか。
つまり建築による妨害は核を破壊すればすぐに防げる…のか。
「また、核を破壊されたら消滅するわ。核が破壊されない限りは魔力を注ぎ込むことで半永久的に形を保てるけど核を破壊したら終わり。だから戦闘応用しても核がバレれば膨大な魔力を消費するだけの諸刃の剣なのよ。」
やっぱりか。
「でも核の場所を隠す魔法などもあるわ。かなり高位の魔法だから戦闘応用はあまりされていないの。」
つまり結局は戦闘応用は難しい…と。慣れが大事っていうことか。
ステータスに由来せず、慣れに由来する。たしかに複雑で面倒だ。