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2話「やばい奴だ」

お久しぶりです・・・悪罵、罵倒、下表現ありありです

苦手な方はご用心ください。しばらくこの表現あります

いつの間にか目の前から消えていたスクリーンに書かれていた事を思い出してはどうしたものかと嘆息する。


それをすでに数十回は繰り返していた。


(魔王を倒すったって、こんなフワフワした状態じゃ何も出来んしなぁ・・・)


幽霊でもちゃんとした形くらいは欲しい。というか落ち着かない。


今の自分は魂だけの存在らしいので、自由に形を変えることは出来るのではないだろうか。




ためしに自分の右腕をイメージしてみる。



(指は少しごつごつしていて・・・そこまで毛深くはなくて・・・たしか人差し指を怪我して絆創膏をまいていたっけ・・・)


死ぬ前の自分の腕の特徴を少しずつイメージしていく。


(筋肉はある程度はついてて・・・少し日焼けしてたかな・・・)


すると、虚空にいきなり右腕だけがにょきっと生えてきた。



(うおっ!?)


二の腕まで右腕は存在しており、切れ目の部分はイメージが無いからなのかモヤのようにピンボケしているが、気色悪い光景には変わりがない。


(と、とりあえず上手くいったし、他もやっちまおう・・・)



数分後。


形のない靄だけが漂っていた場所には、この世界にはあまりにも似合わない紺色のブレザーの制服を着た人間が立っていた。


もっとも、首から上がモヤになっているホラー系ではあったが。



あとは顔。顔である。



元いた世界での自分の顔は決してイケメンでは無かったがデブだったりチビだったりしたことはない。もちろん髪もフサフサだ。




身長が少し高い以外はこれといった特徴のない容姿だったといえよう。


いじめられた事はないが、モテ期なんか生まれてこの方一度もない。


そんな退屈な容姿がなんという事だろう。自分の自由自在にカスタマイズできるのだ。


(さてどうしたものか)



現在裕太は頭の中に有名イケメン俳優の顔を多数思い浮かべていた。

あまり身長に差があってもアンバランスなので、とりあえずは自分の身長に近い人にしたい。


それにしても都合の良い体になったものである。



(よし、ここは定番の山〇賢人でいってみよう)


元の世界では様々な年代の女性に大人気だった俳優だ。

その顔面偏差値は文化の違うこちらの世界でも通用するだろう・・・。


す、するよね?



嫌というほどテレビで見た山〇賢人の顔をイメージする。


山〇賢人・・・山〇賢人・・・





「これでいいのか?」


その口から出た声はまさに山〇賢人そのものである。


成功した。成功したのだ。



これで藍和裕太、もとい山〇賢人の異世界で魔王を倒すためのモテと冒険の物語が始まるのだ・・・!


いや、顔の詳しい造形は分からないがうまいこといっていると信じよう。信じなくては心が折れる。




「よし、念願のモテ顔、もとい山〇賢人になれた所でさっそく魔王を倒すための冒険の旅へ・・・!」






「1人でゴチャゴチャうるせーってんだよ。次は喉ち〇こじゃなくて下のち〇ぽ切り落としてやるからなーってんだ」





あれー?




ーーーーーーーーーーーーー



ヘイ待ってほしい。



今起こったことをありのままに話すぜ。


山〇賢人にもなったし決意新たに魔王ぶっ倒すかーってなってたらですね。



いきなり首が落ちましてね。



つまりせっかく作った山〇賢人が使い物にならなくなったんですよ。




しかもなんか明らかに女(しかもかなり若い)の声でいきなり下ネタが聞こえてきたんですよ。




幻聴か・・・まぁ浮かれすぎてたな・・・次の顔は松坂〇李くらいにしておこうと思い、目の見えない状態で立ち上がった俺・・・。





「あ?こりねー奴だってんだな。次はソノ主人公性ホウケー取り払って元々ゴミみたいな男のプライド落として体も中身もメスにしてやるってー言ったんだよ、聞こえなかったってんですか?」


うん、幻聴じゃないね。





とりあえず何も見えないと俺の大事な息子とバイバイするハメになりそうなので見慣れた自分の顔をササッと再構築する。


イメージがしっかりする事に目の前がモヤが晴れるようにクリアになっていく。


ふふん、これでも視力は両目Aだ。





目の前にいたのは聖女であった。






何度でも言おう。「聖 女」である。




聖女というとアレだ。


オルレアンの美少女とかだ。




神に仕え、人々を癒す美しい職業。

下ネタなんて言葉すらしらない、清らかで優しい女性・・・それが聖女。



しかし残酷な事に目の前にいる下ネタを連呼した少女の格好は確実に聖女であった。



「あ?ずいぶんさっきの顔よりブサイクだってんだな。勇者サマってんのにパッとしねー顔だな。いっそ死ぬか?死んでやり直すか?アタシが楽にイかせてやるけどどうなんですかーって聞いてんだよ」


無表情。無感情。ただただ言葉のイントネーションなど途中途中に下ネタを織り交ぜながらこちらを罵倒してきている。


見た目はかなりの美人で、年は恐らく15、16くらいだろうか。

髪は濃い緑でバサついたセミロングであり、聖女なのに何故か血がこびりついたナイフを持っている。



ヤベーヤツだ。


・・・でも美少女に直球で顔をディスられると心にくるものがあるな。


「あれ、っていうか今『勇者』っていった?」



俺が勇者という事を知っているのは現時点では俺だけかと思っていた。



まさか、俺が勇者だって全世界に広まってる?俺、スタートからちやほやされる感じ?



「アンタいま都合の良い妄想しやがりませんでしたかってんだ。アタシがカミサマにお仕えしてやってやがる聖職者で勇者サマの力になるべく選ばれた存在だからこそ知ってるってもんだよ。分かったならさっさと這いつくばって謝罪しろやホーケー」




あ、今俺の目が死んだな。


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