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伝言犬ココロン  作者: 宮羽つむり
6/7

ありがとうを伝えます

少女が思いの丈を話した後、

ココロンは少女をじっと見つめ言いました。

「そんなあなたに未来のあなたからの伝言を私は伝えに来ました」

今度は気のせいではないと気づいた少女は、

「い、犬がしゃべった!」

ココロンをなでようとした右手を引っこめました。

「私はココロン。

さっきも言ったけれど、

私は未来のあなたからの伝言を伝えにきました」

「え、どういうこと?未来の私からの伝言って?」

少女はびっくりしたままですが、

未来の自分からの伝言が気になるようです。

「私は色んな理由で「ありがとう」を言えずに心苦しく思っている全ての生き物の代わりに「ありがとう」を伝える役目を与えられたものです」

ココロンはじっと少女を見つめて言いました。

「それだと……、未来の私が今の私にお礼を言いたいってこと?

逃げてばかりの私にだよ?

そんなのありえない」

体を強ばらせて少女は言いました。

「どうして逃げるのがいけないのか、

私には分からないです。

私達動物は全力で何事もやるけれど、

無理な時はやめたり、力をためるために逃げる時もあります。

改めて立ち向かう力をためるためには、

1回がんばって逃げることも必要だと思います。

力がないまま、がんばると更に体も心もつらくなると思います。」

少女はココロンの言葉を聞いて、

強ばらせていた体の力を抜きました。

「逃げるのも大切なこと、なの……?」

「今までダメな自分だと思い込んでいたけれど、

振り返ってみれば、ここまでがんばっていたんだ。

過去の自分ががんばってくれたから、

今の自分がいるんだ。

過去の自分にお礼を言いたい。

未来のあなたがそう思って、

「ありがとう」と言っていたわ」

ココロンがそう言うと、

少女の瞳からポロポロと涙があふれ出てきました。

「わ、私のことを未来の私がそう思っていたの……?

み、未来の私は元気そうだった……?」

「ええ。未来に向かってがんばろうとしているわ」

ココロンが言うと、

少女は優しく笑いました。

「よかった……。

未来の私にこちらこそ、ありがとうと言っていたと伝えて欲しいんだけどいいかな?」

「もちろん、いいですよ!」

「あと、私は未来の私が笑顔でいられるために、

がんばって1回逃げて力をためるから、

未来の私も更に未来の私のためにがんばってって伝えて欲しいんだけど……」

「いいですよ。

あなたからの伝言を伝えるために、

私はこれで戻ります」

ココロンはそう言って、右前足を踏み出しました。

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