伝言犬ココロンの誕生
あるところに金色のミニチュアダックスがいました。
「ココロン」と呼ばれ、女の人と仲良く暮らしていました。
女の人はいつも優しい声でココロンに話しかけてくれました。
“いつか私もお姉ちゃんとお話がしたい”
ココロンはいつもそう思いながら、暮らしていました。
ところがある日、
女の人はお星様になってしまいました。
ココロンは毎日毎日女の人を思い出しては泣いていました。
いつでもどこでも一緒だったのに……。
ずっと一緒だと思っていたのに……。
もう一緒にいられない……。
だけど、悲しい気持ち以上に出てくる思いがありました。
それは、
“お姉ちゃんにありがとうと言いたい……”
という思いでした。
夜、星になった女の人を見つけるため、空を見上げるココロン。
“お姉ちゃんはどこだろう……?ありがとうと伝えたい……”
毎夜、そう思いながら涙を流し、眠りにつくのでした。
そんなある日の夜……。
“起きなさい、ココロン”
ココロンは女の人の優しい声で目が覚めました。
“ん……?お姉ちゃん……?”
“いいえ。私はすべての生き物から「女神」と呼ばれるもの。
あなたにお願いがあって話しかけました”
女神の声はココロンに言いました。
“女神様。私にお願いとはなんですか?”
“私は毎夜、あなたの「ありがとうと言いたい」という嘆きを聞いていました。
そんなあなただからこそ、私はあなたにすべての生き物の「ありがとう」を伝える役目をお願いしたいのです”
“すべての生き物の「ありがとう」を伝える役目って……?”
“すべての生き物は生きている以上、何かの助けがあります。
そして、他のものに感謝の気持ちを持ちます。
だけど……。様々な理由からお礼を言えずに生きているものが大勢います。
ココロン。あなたにはそのことに対して、心苦しく思っているすべての生き物の「ありがとう」をそのものの代わりに伝える役目をお願いしたいのです”
ココロンは考えました。
“では、私はお姉ちゃんにありがとうと言えますか?”
“その役目を果たしたら、あなたの願いを叶えましょう”
“本当ですか?
それなら、私はその役目をお受けします”
ココロンは言いました。
“ありがとう、ココロン。
では、すべての生き物のために働くあなたに私から贈り物を。
すべての生き物の心の声が聞こえる耳。
すべての生き物が見つめられると必ず立ち上がる瞳。
「ありがとうと言いたい……」と嘆いているものの匂いが分かる鼻。
すべての生き物の言葉を話せる口。
すべての生き物に寄り添うことのできる心。
望めばその時間その場所に行ける足”
女神の声が聞こえた後、ココロンの体が輝きました。
“あなたのように「ありがとうと言いたい」と思っているものは多くいます。
少しでもそのような嘆きが減る世の中になるよう願っています。
お願いします、ココロン”
“分かりました、女神様。
そのものの代わりに「ありがとう」を伝える役目を果たします”
ココロンは女神と約束をしました。




