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勇者のふりも楽じゃない――理由? 俺が神だから――  作者: 藤七郎(疲労困憊)
第三章 勇者冒険編・山

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第69話 本当の神話と魔王(第三章エピローグ2)


 深夜の星空の下。

 広い世界樹の切り株の端にリリールと並んで座り、どこまでも広がる砂漠を見ていた。

 俺の腕の中でラピシアが眠っている。


 リリールが手を伸ばしてラピシアの頭を優しく撫でる。

「可愛い寝顔ですね。まるで昔の私みたいです」

「ええ~」

 俺は半目になってリリールを見る。


 するとリリールがパシッと俺の肩を叩いてきた。

「なんですか、その目はっ。姉さんとは双子なのですから、姪とも似てて当然ですっ! ルペルシア姉さんと会われたんですよね。よく似てませんか?」

 ずいっと顔を近づけてくる。

 キラキラとした粒子が漂うかのような輝く顔。絵画の中の女神のように美しく整っている。女神だけど。

 ていうかこの性格が地なのだろうか。



「いや、ルペルシアは呪いで消耗して、輪郭がおぼろげだったな」

「そこまでひどい状態だったのですか……姉さんを救ってくださってありがとうございます」

「ルペルシアとはほとんど話せなかったからな。ラピシアを託すと言われても、どう育てていいかわからなかったし」


「そんな状態で、よくこれほどの成果を残されてきましたね。本当に凄いと思います。――聞きたいことがたくさんあるでしょう? 私に答えられることはすべてお話します」

 清楚に微笑むリリール。

 


 俺は眉間にしわを寄せた。

「聞きたいことが多すぎるんだが……。まず簡単なところから。ラピシアのレベルアップはどうすればいい? 次は『空を知る』だったな」

「う~ん。姉さんがラピシアのために設定したはずです。たぶん空と大地のつながり的なことを教えればいいのではないでしょうか? 空なしには大地が潤わないこととか」


「アバウトだな。まあいい次。俺は知ってのとおり異界の神だが、勇者になって勇武神を目指すのは問題ないよな?」

「はい、この世界のルールに則ってますから問題ありません。むしろお願いします」

 ――よし。主神クラスの2人から許可を得た。これで好き放題だ!



「リリールの持ってるたまごはどこで手に入れた?」

「ダフネス王国の東のほうですね。落ちてたので拾いました。たぶんグレウハデスが落としたんでしょう。彼、慌てて追いかけてきましたから」


「脳筋だからたまごの重要性を理解してなかったんだろうな。だから東方軍司令官が北の国境の森にいたのか」

「おそらく、そうでしょう」



 俺は本題に入る。

「あとは、魔王は何者か。どこにいるのか。俺どころかリリールでも倒せないと言ってたが、どうやったら倒せるのか。その辺を教えてもらえるか?」


 とたんにリリールの美しい顔に影がさす。

「それらを答えるには、長くなりますが、よろしいですか?」

「ああ、かまわない。できるだけ詳しく話してくれ。今日みたいに意外な見落としがあるかもしれないからな」


 リリールは星空を見上げ吐息を漏らした。白いベールがふわりと揺れる。

「わかりました。ではまずは魔王の正体を明かしましょう。魔王は、ただの魔物の王ではありません。別の名を勇神ヴァーヌスと言います」

「え!? 一番信仰を集めている魔物退治の神か!?」


「そうです。そもそもの始まりは、お母さまが私たちを生んで世界を作り上げたあとに起こります」

「お母さまは創世神か」


「はい、創造神とも呼ばれています。私たちは褒めてもらおうととても頑張って世界を作り、生き物を増やしました。でも、頑張りすぎたためにお母さまのすることがなくなってしまったのです。暇になったお母さまはある日、素敵な男性を連れてこられました。恋人として。それがヴァーヌスでした」


「人だったのか?」


「ヴァーヌスがどこの生まれかはわかりません。でもとても美しく、優しく、気配りができて、素晴らしい方、だと思っていました。お母さまも大変気に入られて神格を授けました。その時はまだ誰も反対しませんでした」


「本性を隠して近付いたのか」


「その頃、世界には多くの問題が出てました。生き物が増えすぎて互いに殺しあうようになってきたのです。時には大規模な戦争が起きて大勢が死に、せっかく作った世界が荒廃してしまうことも。そんな時、ヴァーヌスがとある提案をしました」


「ふむ」



「全生物の共通の敵を作って、それと対抗するために互いに協力させればどうか、と」


 俺は頷く。

「なるほど。それが魔王か」


 リリールも頷く。

「その通りです。世界の管理に音を上げそうだった私たちは半信半疑で取り入れて見ました。するとどうでしょう。戦争開始直前だった2つの国に魔物の群れを襲わせれば、たいした被害も出さずに2国が手を取り合い、協力するようになったではありませんか」


「まあ、そうなるな。戦争準備していたから容易に追い返せるだろうし」



「そして、ヴァーヌスは姿を変えて魔王として君臨しては、魔物を操り脅威を与え続けました。人々は一致協力し、数も増え、脅威の中での平和を得ました」


「そこまではいいな」


「この功績を認められたヴァーヌスは神代行となりました。魔物退治の神ヴァーヌスとなって勇者制度を作り、魔物の脅威による絶望から民を救うという教義を広めたのです」



 俺は顎を撫でつつ言った。

「完全な自作自演。マッチポンプの完成だな……しかし、それだけならヴァーヌスはただの神じゃないか。脅威じゃない」


「そうです。私たちもそう楽観してました。――でも、ヴァーヌスは、その前の魔王になる段階で、密かにお母さまから『とある権限』をもらっていたのです」


「……嫌な予感がする」


「それが 『逆信者設定』 でした」


「逆信者?」



「私たちとは逆に、人々が魔王を嫌ったり、恨んだり、恐れたりすると、私たちのような信者と同じように力が加算される設定でした」


「――なっ! じゃあ、魔王を恐れた民がヴァーヌスを崇めると、それだけで2人分加算されるのか!」


「その通りです。しかし私たちは世界の運営がうまくいってることに安心して、注意を怠りました。気が付けば世界のすべては魔王の脅威に怯え、ヴァーヌス神は私どころか太陽神を超える力を蓄えていたのです。二重取りによって」


「で、本性を現したわけか」



 ところがリリールは首を振った。白いベールが力なく揺れる。

「彼が次にやったことは、内部分裂でした」 

「ほう」


「太陽神は元々、とても力のある神だったのですが、そのせいで傲慢に振舞っていました。自分の事しか考えない嫌な神で他の神からあまり快く思われていなかったのです。世界の始まりからそうで、俺は偉大だから辺境大陸をすべてもらう、お前たちはもう一つの大陸を分けてろ、それで充分だろ。という感じでした」

 ――う。何か、心に痛いな。



「そこをヴァーヌスに狙われました。太陽神の悪いところばかり噂になり、彼は孤立。しかし後で知ったのですが、ヴァーヌスは太陽神にはあなたは偉大だ、もっと信者を増やすべきだとささやき、その気にさせていました」


「それで?」


「ある時、太陽神が私たちの信者の住む大陸までよこせと言ってきました。当然、反発します。激しい口論から、喧嘩となりました。怒った太陽神は、私たちと戦うとともに、力ずくで奪わせようとすべて信者を大陸にけしかけてきました。神々同士の戦いも地上戦も、太陽神が優勢でした」


「すごい力だな」


「そこでヴァーヌスが太陽神を倒す方法を提案しました。その方法とは魔物を大量につぎ込んで太陽教信者を減らすこと。私たちは了承しました。しかし魔物をつぎ込みすぎて辺境大陸は滅びました。信者をすべて失った太陽神は力を失い、封印されました。太陽教全滅には驚きましたが全員で決めたことであるし、悪いのは太陽神だと思っていたので、ヴァーヌスはお咎めなしでした」


「一番の対向者を葬ったわけか。腹立つぐらい狡猾だな」


「その後は、じわじわと一柱追放されたり、失われたりと。徐々に神の数が減っていきました。そして、魔の手はルペルシア姉さんにまで及びます」



「ラピシアか」


「はい。人と付き合って子を成したことをお母さまに告げ口して、子供を殺すようにしむけたのです。姉さんは反対。私たちはお母さまには逆らえず。孤立無援になった姉さんはおかしくなって呪われた神となりました。多くの神が石化しました。ヴァーヌスが祟りを鎮めるには子供の力を借りるしかないと言って、姉さんをラピシアの眠る棺に封印しました。でも、呪いは解けるどころか、激増しました。きっとヴァーヌスは呪いを浄化されたくなかったのでしょう」


「あの一撃は、本気で死ぬかと思ったからな」



「よく生きてましたね……さすがケイカさん。いくら楽観的な私たちでもさすがにおかしいと気付きました。でも手遅れでした」


「すでに咎人システムは完成して、人間社会は裏から牛耳られていた。そうだな?」



「その通りです。お母さまにすべてを話しましたが、裏切られたというショックで引きこもってしまいます。世界を見捨てたのです。……あとはもう私たちには戦いの道しか残されていませんでした。残った神々で力を合わせ、ヴァーヌスに戦いを挑みました」


「そして、負けたと」


「はい。しかもラピシアの棺を使って、呪われた姉さんの持つ石化の力で次々と神を石化しました。私もなりました。きっと殺せば世界が死んでしまうからでしょう。こうしてヴァーヌスは世界のすべてを手に入れたのです」



「……なるほどな。すべてはヴァーヌスの目論見どおりというわけか。よく石化をとけたな?」


「同じ姿をした双子だから手加減したのか、それとも双子だから効果が薄かったのか。あるいはその両方かもしれません」


「それはあるだろうな。ただ疑問があるぞ。どうして石化を解いたリリールを、ヴァーヌスは捕えなかった? また、神を石化させる棺を試練の塔なんかに安置したんだ?」



「棺の移動はヴァーヌスの意志ではなく、部下の四天王によってでしょう。むしろ棺がそんなところにあったなんて盲点でした。ずっと探していたのですが」

「なるほど。勇者を目指さないと出会えないものな」


「あと、ヴァーヌスが動けなかったのは、生き返った私が不意を付いて一撃を入れたからです。致命傷を負わせましたが、彼は笑いながら糸を吐いて絶対防御の繭の中に閉じこもりました。【進化の繭】という名前でした」



「いつのことだ?」

「10年ぐらい前でしょうか」


「ほう。それで魔王は行動ができなかったのか。今は誰が動かしてる?」

「四天王のエビルスクイッドと死霊術師ゲアドルフが共同で管理していたはずですが、今はゲアドルフのみでしょう。魔物たちだけでは魔王の作り上げたシステム維持するだけで精一杯のようでした」



「いろいろほころびがあったものな。それでリリールは魔王を倒すこともできず、放浪していたわけだ」


「姉さんを探し、魔王を倒す方法を探して……」


「大変だったな。それで魔王を倒す方法は見つかったのか?」



 俺が尋ねると、なぜかリリールは泣きそうな顔になった。悪戯を見つかった子供のような顔。


「じ、実は……見つけたのです」

「教えてくれ」

「その、怒らないで聞いていただけますか?」

「ん? なんでそうなる? 聞いてから考える。それともそんなに難しいのか?」


「はい。ヴァーヌスは神であると同時に魔王でした。だからこそ神を倒す『天臨の聖剣』と、魔王を殺す特殊なスキルを同時に使って攻撃しなければいけません」


「なるほど。そういうことか。特殊なスキルは、勇者スキルの『魔王撃滅閃アルテマスラッシュ』だな。――剣はどこにある?」



 尋ねると、リリールは「うぅ……」と唇を噛んだ。整った顔立ちが困り泣きになる。


「言ってくれ。でないと対策が立てようがないだろ」


「うぐぅ……本当にごめんなさい――天臨の聖剣は……進化の繭の中、です」



 俺は動きが止まった。砂漠を渡る風が黒髪を撫でていく。

「……――は? ――まさか……さっきの一撃を加えたって!?」


「はぃ……スキルが同時に必要とは知らず、剣だけで刺してしまいました。そしたら、繭の中に一緒に取り込まれて……」



 俺は、思考が停止した。

 呆然と隣に座る絶世の美女を眺める。

 彼女は、心底困った顔をして、うー、と唸っていた。


 俺は思わず手を伸ばし、彼女の頬を摘んだ。白磁のような頬がむにっと歪む。

 片手だけじゃ足りず、もう片方の頬も摘んだ。

 この世のものとは思えないほどの美貌を四角く伸ばす。


「いっ、痛いでひゅう……っ」



 彼女の哀願なんか却下して、むにむにと柔らかい頬を弄ぶ。

 そして、心から絶叫した。


「お……お、お前、何やってんだぁ! ――馬鹿か! 馬鹿なのか! あああああ!!」

「ひゃぁぁ! ごめんなひゃい! 知らなかったんでひゅ~!」



「ラスボスを倒せる唯一の武器が、ラスボスを倒さないと手に入らないって、完全に詰みじゃねぇかあああ!! これ、ゲームオーバーて言うんだよ! リセット押して最初からやりなおすレベルだよ! そりゃ創世神も世界見捨て引きこもるわ! どうにもできねぇじゃねーかぁ!」

 俺の心からの叫びは、はるか砂漠の向こうにまで虚しく響いた。


「ううう……ぅ! ごめんなひゃぁい! 世界のすべての人、ごめんなひゃい!」

 リリールの謝罪と懺悔もまた、夜空に虚しく響き渡った。



 俺はひとしきり女神の頬を弄ぶと、手を離してがっくりと肩を落とした。

「つまり、このあとどんなに頑張っても、アルテマスラッシュ覚えても、俺は魔王を絶対に倒せないって訳か……ああ~、高天原に帰りてぇ~」

 なんのために頑張ってきたのか。

 この世界に来てからの俺、完全に道化じゃないか。


「こ、こんなことになるなんて、思わなかったのです……」


「ああ、もう。ドジっ子てレベルじゃねーからな。……昼間、信者数76万で少ないなと言ったが、撤回する。お前には信者3人でも多いわ。このドジ神」

「ひっ、ひどいですわ……」

 頬を押さえて涙目になるリリール。

 知らん。

 四天王を窒息させてやると戦いに向かって死に掛けたのも、ドジっ子だからじゃないかと思えてきた。



 ――はぁ。進化の繭は絶対防御で開けられない。出てきたときには、剣は魔王が所持してるだろう。

 もう、どうしようもないな……。


 俺は顔をうつむけた。

 すると、すやすやと眠るラピシアが目に入った。

 無邪気な寝顔。見てるだけで癒される可愛らしさ。

 ……でも、ラピシアは諦めず頑張ってるんだよな。大地母神として。母に会いたいのに、必死で我慢して。


 それなのに俺が諦めちゃダメか。

「あがくしかない……まだ何かないか?」

 某ゲームだって、勇者の剣は砕かれてオリハルコンの塊になってたが、打ち直して元の剣になったんだし。

 何か可能性があるはずだ。


 ――そうか! 同じものは作れないのだろうか?



 リリールが言う。

「私も失敗に気付いて絶望しました。でも、少しでも可能性をと思って、上級職を生み出し、光属性を保護して回りました。なんとか、ならないでしょうか……」


「その剣、材質はなんなんだ? 特殊な物か?」

「はい。とある珍しい宝石を圧縮して成分抽出、神竜の牙の粉と合わせて打ち直したものになるようです。でも宝石の鉱山はすべて魔王が押さえていて一切出回りません」


「そりゃそうか……でも、材料がわかってるだけマシか。神竜の牙はあるな……ん? 珍しい宝石? ――まさか旧エーデルシュタイン王国か?」



「ご存知で? さすが勇者です、その国になります」


「――なるほど。占領する価値のない小国を、ただ宝石が見つかっただけで攻めるのはおかしいと思ってた。そういう理由があったのか。これはセリカのためにもぜひ取り返さないとな。……いや、まてよ?」


「なにか?」

「まさか、剣は勇神ヴァーヌスが作ったと言うんじゃないだろうな? それだと詰みだぞ。お前を殺したいから剣作ってくれなんて、ただの喜劇だ」

「いえ、熟練の鍛冶師でも可能です。ですが、聖剣を作製できる道具はすべて破壊され、次元の彼方に消し飛ばされました。創世神が天地創造のときに使った道具ですから」



 俺は呆れ過ぎて笑ってしまった。

「ははっ。世界のどこかでまだ産出するかもしれない原料を探す手間や、新しく生まれてくる鍛冶屋を殺す手間より、数少ない道具を破壊したほうが確実だよな。さすが狡猾な魔王。どう考えてもやっぱり詰みじゃ――――あ!」

「え!?」


 俺はリリールの持つラピシアの荷物を見た。

 虹色に輝く巨大なハンマー。


  ク・リ・エ・イ・ト・ハ・ン・マ・ー!!


「クリエイトって創るって意味だけじゃなく、創造神の意味を含んでたのかぁああ!!」

 俺は一人で爆笑した。もう、笑うしかなかった。

 ――ラピシアの本能に。大地母神の無意識に。

 この世界を一番助けようと頑張ってるのは俺でもリリールでもなくラピシアかもしれない。


 隣のリリールは戸惑うばかり。

「え、えっ!? なにが? え、まさか!?」


 俺はニヤッと笑いかける。

「よかったな、リリール。この世界、首の皮一枚でつながったぞ。ラピシアに感謝するんだな」

 軽く事情を話してやった。


 リリールは目を丸くしつつ、ハンマーを手にとって確かめる。

「ああ……本当です! 人がまねて作ったものではなく、柄の裏にお母さまの手書きで文字と番号が……予備の道具に間違いありません!」

「よかったな」



 リリールは今度こそ涙をこぼしながら、すやすや眠るラピシアの頭を撫でた。

「ラピシア、世界のためにありがとう。もうババアと呼んでもでもかまいませんからね」


 俺はラピシアを抱えて立ち上がる。

「さあ、するべき事はわかった。帰ろう!」

「はい、ケイカさんっ……あ、でも」

 リリールは荷物を持って立ち上がりながら言いよどむ。


「なんだ?」

「今のままでは、力が足りません。信者数が最低でも10万必要です」

「じゅ、10万?!」

「あ、ラピシアが信者になってるから5万でもいいかもしれません」

 手のひらを見た。信者数はエルフが500人加算されて、人間もじわっとっ増えて300人ぐらい。



「5万……あと4万9200人ぐらいか。多くはないが、少なくもないな。猶予はどれぐらいある?」

「魔王が繭から出てくるまで……あと1年でしょうか」


 俺は顔をしかめた。

「それは、さすがにきつい」

「わかってます……頑張りましょう。私も名を広める手伝いをしますから」


「そうだな、やるしかないな。となると、まずは宝石よりも鍛冶師だな」

「え? 宝石は莫大に必要です。採掘のストップした鉱山を取り返さないことには、一年では間に合いません」



 俺は口の端を釣り上げて笑った。

「宝石は一つあればいい。だって、すでに宝石の塊は手に入れたようなもんだろ?」

 俺は寝ているラピシアをリリールに見せた。

「ああ! 地質変更を使うのですね! 盲点でした!」


「その通り。神竜の牙はあるから、あとは鍛冶師だけだ。優秀な奴は知らないか?」

「鍛冶の神は石化してどこかに封印されましたし……知っている者たちはもう死んでしまってます」

「そうか。戻ってエルフやセリカに尋ねてみるか」



 俺たちは土になった地面を歩いて帰った。

 ラピシアのツインテールが腕に触れてくすぐったい。

 リリールの白い修道服が、夜風を浴びていつまでも美しく揺れていた。



 リリールはドジっ子女神さまでした。

 そして物語の大きなターニングポイントを迎えました。

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GAノベルより1月15日に3巻発売します!
何度も改稿してなろう版より格段に面白くなってます!
勇者のふりも楽じゃない
勇者のふりも楽じゃない書籍化報告はこちら!(こちらはまだ一巻)
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