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勇者のふりも楽じゃない――理由? 俺が神だから――  作者: 藤七郎(疲労困憊)
第三章 勇者冒険編・山

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第61話 ダンジョン踏破!(ダンジョン11~15階層)

本日三回目。

 11層目は霧に満ちたダンジョン。

 1メートル先の視界すら、まったく見えない。

 まあ、《真理眼》を使えるから、不意打ちなど全くなかったが。

 《千里眼》を使えば階段の位置も分かるので、あっさり突破した。

 宝箱はなかった。



 12層目は大広間。

 石柱が何本も立ち並び、天井を支えている。

 そこにいたのは、腐りかけの巨大なドラゴン。


「キシャァァア!」と鋭い叫びを轟かせて襲ってきた。

 ただ、俺の前には敵じゃない。なんなく撃破。

【素材:神竜の牙】を何本か手に入れた。レオパーティーと山分け。



 13層目は書庫だった。

 壁がすべて本棚になっていて、本で埋まっている。

 そして本棚で迷路が作られていた。


 敵は骸骨や、中身のないローブの霊体。

 あっさりと倒していく。


 ダンジョン自体は簡単だったが、ここに来てダークが遅れた。

 すべての本の背表紙を見ていくので大変だった。

 仕方ないので、少し早いがここで一泊。レオに謝られた。


 セリカが童話を読んで泣いていた。感受性高いな。

 なんでも王子様に体よく利用された姫は最後に捨てられたらしい。「男なんてひどいですわ」と俺を恨めしげに見ていた。なんでだよ。


 ダークは夜も遅くに奇声を上げた。【異界魔導書】を手に入れていた。数万冊ある本を全部見たらしい。

「うふふ……これでさらなる力が……ふふっ」

 ダークは危ない目をして呟いていたが、放っておいた。



 次の日は朝から攻略開始。


 14層目は溶岩のダンジョン。

 熱くてうっとうしい。

 溶岩溜まりからは、マグマスライムが襲い掛かってきた。高温、高熱のスライム。

 セリカの吹雪が役立って、サクサク進んだ。

 宝箱から【紅蓮の爪】を手に入れる。手の甲につける4本の真っ赤な爪。


 俺の知識的にはティルトが一番似合うと思ったのだが、本人は「オレは拳で殴りてぇんだよ!」と受け取りを拒否。

 最終的には、無理矢理持たせた。



 ここまででセリカがLv30になり【満月切り】を覚えた。真円を相手に刻む。防御値無視攻撃らしい。

 ミーニャは舞闘師Lv21、盗賊Lv10、料理士Lv20になった。

【明鏡止水】自身にかかる負の効果を打ち消す、と【忍び足】敵に気付かれずに行動する。を覚えた。


 俺も【雷炎光破ライトニングブレイズ】を覚えた。【雷火破サンダーフレイム】の上位版。

 勇者だけが操れる炎と雷の魔法らしい。使わないだろうけど。


       ◇  ◇  ◇


 そして、15層目。

 とても静かなダンジョンだった。5メートルぐらいある通路に、石でできたゴーレムが音もなく徘徊している。

 ひるむことなく、戦いながらダンジョンを進んでいく。

 むしろ俺の下駄のほうがうるさい。


「でやぁっ!」 

 俺は太刀を振るう。

 ゴーレムをぶった切る。

 ゴーレムの心臓部である【動力中枢コア】を粉砕。

 ガラガラと音を立てて瓦礫に戻った。


 ふと足の裏だった部分を見るとラバーが張ってあった。

 静音性もばっちり。回収しておく。



 ――と。

 つい、つい、とミーニャが和服の袖を引っ張ってきた。

「ん? どうした?」

「ゴーレムのコア、売れる」

「ああ、そうか。壊さずに取り出したらいいんだな」

「うん」

 こくっとうなずくミーニャ。尻尾が嬉しげにわたわたと揺れた。


 それからは中枢を傷つけないように倒していった。

 おかげでゴーレムの心臓部である【動力中枢コア】を何個か無傷で手に入れる。



 そして一番奥にあるT字路まで来た。

 左に行けば上へと続く階段。

 右の突き当たりは部屋になっており、今までとは雰囲気の違うゴーレムがいた。


 《真理眼》で見ると。

--------------------

【ステータス】

名 称:ギガント

種 族:魔銀人形マジックゴーレム

属 性:【硬地】【魔光】


 攻撃力:4800

 防御力:3500

 生命力:6000

自動回復:1000


【スキル】

   粉砕:身を隠す岩や鎧ごと粉砕。

圧し掛かり:体で押しつぶす。範囲攻撃。

爆裂撃エクスプロードクラッシュ:爆風を伴う範囲攻撃。遠距離攻撃可。

回転撃スピニングアタック:両手を伸ばして回転して攻撃。連続攻撃。

--------------------

 桁違いに強いな。

 しかも自動回復つき。

 倒さず逃げるのが正しい攻略法だろう。

 しかし、部屋の奥には金色の宝箱があり、千里眼でもってしても中が見れない。


「右に行けば、異常に強いゴーレムがいる。おそらく防御値無視攻撃以外、通用しない。ただ金色の宝箱を守っている」

「面白そうですね」

「やってやるぜ!」


 

 全員のやる気を受けて、右へと向かった。


 ティルトが首をこきこきと鳴らしつつ対峙する。

「さぁ~て、一丁やってやろうじゃねーか」

「あ、ティルトは攻撃通じないから援護に回れ」

「なんだってぇ~!」


 わめくティルトは無視して指示を出す。

「レオとセリカが防御値無視攻撃。ダークは魔法で援護。ラピシアは防御低下デクラーンを唱えまくれ。ミーニャは撹乱しつつ、隙を突いて宝箱を開けろ。ティルトも撹乱な」

「了解です!」「わかりましたわ」「そうしよう」「わかった!」「がんばる」「ぶふぅ~」

 一人だけ不服そうにいじけていたが気にしない。



 そして俺たちは戦いを挑んだ。

 レオとセリカの剣がきらめき、ダークが防御や速度アップの魔法を唱える。

 ラピシアは一生懸命、防御低下を唱えまくる。一回唱えるたびに、一割ずつ減らしていった。


 ミーニャとティルトは素早さを生かして、ゴーレムを翻弄。


 俺はその戦いをじっくり見ていた。

 何も遊んでいるわけではなく、千里眼でゴーレムの核を探していた。

 魔法銀で作られた巨体。これだけの重たい体を動かすには、相当魔力の高い核が使われているに違いなかった。

 稼動してくれないと魔法銀が邪魔で核が見えなかったのだ。


 そして魔力の流れを見抜く。

 足の太ももにそれぞれ2個。腹の右寄り――人で言えば肝臓辺りに一つ。


 すらりと太刀を抜くと、おもむろに歩き出した。

「――《水刃付与》」

 斬撃を横一閃。

 ゴーレムの胸の辺りから切り飛ばした。


 下半身だけになっても動き回るゴーレム。

 さらに足の付け根で切り分ける。


「ハァッ!」 

 太刀の先が魔法銀をえぐった。

 肝臓辺りの核が転がり出す。


 さらに太ももを狙う。

「セリカ、満月切りで太ももを狙え!」

「はいっ、ケイカさま!」


 二人同時に太ももの核を抉り出した。

 ゴーレムは、シュゥゥン……と動きを止めた。



 ダークが呆れて言う。

「魔法銀を石より柔らかく切り裂くとは」

「まあ、ラピシアが防御力下げてくれてたからな」

 俺は適当な返事でごまかした。


 するとすでに宝箱に取り掛かっていたミーニャが言った。

「開いた」

「おっ、どれどれ?」


 全員が宝箱に顔を寄せた。

 開くと中に入っていたのは虹色の光を放つ、柄の長い巨大なハンマーだった。

【クリエイトハンマー】製作武器に魔力を込められる。攻+100



「クリエイトハンマーらしい。誰か使うか?」

 俺の問いかけにダークが答える。

「鍛冶屋垂涎の一品ですね。私はいりませんが」

「私も。こちらのパーティーとしてはもう充分です」


「俺たちも要らないな。売って金に換えるか」

 そういうと、ラピシアがいきなり金切り声を上げた。

「売っちゃ、やだ!」


「ん? ラピシアが使うか?」

「いらない、でもそれ売っちゃだめ!」

「誰も使わないのに、持ってても仕方ないだろ」


 俺が諭すと、ラピシアは寝転がった。

「やー! だめー! いやぁぁあ!」

 じたばたと駄々をこねるラピシア。ダンジョンがぐらぐらと揺れた。


 ――なにこれ、面倒くさい。

 ただ、今までラピシアは宝の分配にまったく興味を持たなかったので、なにか理由があるかもしれないと思った。神として? それとも大地関連か?

「レオ、ハンマーをラピシアにあげていいか? その分の金は払う」



 レオが微笑みながら首を振る。

「いえ。お金は充分稼がせてもらいましたから、ラピシアちゃんにあげてください。素材だけで一年は遊んで暮らせる額が入りましたからね」

「そうか。すまないなレオ――ほら、ラピシア。自分で持っとけ」

「わーい!」

 きゃっきゃっと喜んで、巨大なハンマーを背負うラピシア。10歳の少女が巨大武器。ロマンはあるが、使いこなせる気がしない。

 絶対ハンマーキックやハンマーパンチを繰り出す。


 ハンマーの頭を見上げながらラピシアが笑う。

「色がきれー」

「気に入ったのは虹色の光か!」

 まあ、いいか。

 ここまで頑張ったんだからご褒美ということで。



 俺は部屋を見渡した。

 ミーニャとティルトはゴーレムのコアと魔法銀を鞄に詰めていた。


「じゃあ、そろそろ行くか」

「はいっ」



 俺たちは次の階層へと向かった。

 階段を登ると、日の光が見えた。


 ダンジョンを突破したようだった。


       ◇  ◇  ◇


 山頂。

 青空が広がり、強い風が吹きぬける。

 眼下には白く輝く雲海。


 俺は、安堵の吐息を漏らした。

「ようやく抜けたな……」

「お疲れ様です、ケイカさま。大変でしたでしょう」

「難易度自体は簡単だったが、さすがに長かったな」


 レオが半笑いで首を振る。

「どう考えても最難関でしたが」

 ダークも長身をそらしつつ、肩をすくめる。

「本来なら突破率10%以下なんですがね」

「呆れてものも言えねぇぜ……」

 ティルトも両手を上げて肩をすくめた。



 ミーニャとラピシアが言う。

「お風呂、入りたい」

「ふろ、ふろ!」

「あー、はいはい。帰ったらな――ん?」

「ケイカお兄ちゃん、なに?」


 ミーニャの言葉には答えず、俺はラピシアの持つたまごを見た。

 たまごは真っ黒い玉だったはずなのに、今はぎざぎざの白い線が入っていた。すいかのような紋様。


「ラピシア、たまごになにかしたか?」

「んぅ? 温めた!」

「そうか」



 俺はたまごを見た。

 名称【進化のたまご】の説明は変わらなかった。

 しかし《千里眼》で見ると中身が変わっていた。


 スロットマシンのリールのように目まぐるしく変わる真っ黒い魔物は相変わらずだったが、その中に白い生き物が混じっていた。

 ――ペガサス、白竜、セラフィム。

 ラピシアが神だから、中身が影響されているのか?


「面白いことになってきたな。ラピシア、もっとたまごを温めろよ」

「うん、わかった!」

 ラピシアは軽く答えると、たまごを抱えてくるくると踊った。



 そこへレオが青髪を風で乱しながら言ってきた。

「さあ、ケイカさん。ドラゴンはあちらです」

 指差す先には、とても大きな両開きの扉があった。表面には火を吐くドラゴンのレリーフがある。


 俺は首を回すと言った。

「さあ、さっさと終わらせるか」

「はいっ」「わかった」「行きましょう」



 俺たちは扉を押して、中へと入った。


ようやくダンジョン抜けました。

書庫階やマグマ階も仕掛け考えてたのですがカットで。

明日からはまた一日一回更新です。

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