第24話 【勇者の証】の謎(情報収集3)
夜。
食事を終えた俺はセリカと宿屋の部屋にいた。
二人だけで話があったので、ラピシアはミーニャに任せた。
ベッドに並んで座った。セリカが心なしか体をくっつけてくる。柔らかい体温を感じる。
俺は懐から【勇者の証】を取り出すと、じっくりと見た。
「まあ今日一日歩き回ったが、どこでもフリーパスだったな」
「各地通行許可がありますもの。それに勇者の訪問を断ったら、悪いことをしてるんじゃないかと疑われますから」
「だろうな。魔王に関する事柄に対して、警察と検事と裁判官の権限持ってるからな」
「けーさつ? ケンジ? なんでしょう」
「ああ、すまない。気にしないでくれ。それより、パーティー機能があるよな。どうやって設定するのか」
俺は手のひらぐらいの平べったい銀色の円盤を弄り回した。
すると、矢印と文字が浮かび上がった。
「お、出た。『パーティーに加える人を選んでください』とある」
矢印をセリカに向けて、決定。
「あっ、今なにかパチッとしました」
すると【勇者の証】の裏側に、小さな文字でセリカの名前が刻まれた。
8人か10人ぐらいまで登録できるようだった。
「おー。これでパーティー組めたのか」
「でもよろしいのですか? 確か経験値が人数割りになってしまいますが」
「俺は充分強いからな。セリカやラピシアが強くなってくれたほうがいい」
そもそも神なので、信者数を増やす以外のパワーアップ方法がない。
セリカが真剣な顔でうなずく。
「わかりました。恩恵を受けさせていただきます」
「ふむ。パーティーメンバーがどこにいるかも調べられるな。あとでラピシアも参加させておくか」
「子供ですから、その方が安心ですね」
セリカが、くすっと笑う。
俺はまた【勇者の証】を見た。
「次は、勇者専用のスキルツリーだな。修得できるようになっている……はずなんだが」
「なにか問題でもあるのでしょうか?」
「うーん」
俺は《真理眼》を発動して自分の【スキル】画面を見る。
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【スキル】
刀切り:刀で切り付ける。
刀突き:刀で突く。
居合い:防御値無視+確率で即死効果。
烈風斬:風の刃を飛ばして切る。横1列。
疾風乱刃:複数の風の刃を乱れ飛ばす。横複数列。
轟破嵐刃斬:風の刃の嵐を呼ぶ。範囲攻撃。
水月斬:水の刃を飛ばして敵を切断する。縦1列。
瀑布轟破:滝のような水圧で持って敵を押し切る。縦複数列。
魔鬼水斬滅:清浄なる水の力を刀に宿して悪鬼を滅ぼす。敵1体に大ダメージ。
【未修得スキル】
切り・(豪戦士)
大圧斬撃
大地斬
天空斬
天地轟破斬
突き・(聖騎士)
烈風突き《ゲールスティング》
致命光破
多重光刺
聖光強烈破
爆火・(聖導法士)
火風弾
聖光雨
劫火炎柱
聖炎大爆光
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俺は首を捻る。
正確には「切り・突き・ ・爆火」と並んでいて、どう見ても一つあいてるんだよな。
これが真理眼で目を凝らしても見えない。
しかもスキルツリーになっていて、切りのどれか、突きのどれかを修得すると、それ以外のスキルは修得できなくなる。
その時点で勇者ではなく「豪戦士」や「聖騎士」のクラスになるのだろう。
セリカが首を傾げるので説明した。
「俺が装備すると勇者の未修得スキルとして表示されるのが3つのスキルツリーだけで、一つ空白が出る。可能性としては俺が光属性じゃないからだと思う」
「え……まさか」
俺は、勇者の証をはずして、セリカの首にかけた。
「試してみるぞ」
俺は目を細めてセリカを見た。
セリカは恥ずかしそうに、少し身をよじった。大きな胸が揺れた。
――おっと、セリカのステータスいじったままだった。直さないとな。
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【ステータス】
名 前:セリカ・レム・エーデルシュタイン
性 別:女
年 齢:17歳
種 族:人間
職 業:咎人 (=====)
クラス:騎士Lv5 =====Lv17
属 性:【光】
【パラメーター】
筋 力:10(1) 最大成長値25
敏 捷:17(3) 最大成長値30
魔 力:19(4) 最大成長値75
知 識:12(2) 最大成長値50
幸 運:02(0) 最大成長値03
【スキル】
切り:剣で切る。
突き:剣で突く。
二連突き:素早く突く。二回攻撃。
【未修得スキル】
切り・突き・かばう・爆火
かばう・(勇者)
無効一閃:敵の補助系効果無効。味方へは低下や異常効果無効。
聖導切り《ジャスティススラッシュ》:防御値無視の聖なる攻撃。
慈愛聖域:一定時間絶対無敵領域。ただし敵味方攻撃不可。
魔王撃滅閃:魔王を消し去る一撃。
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俺は叫んだ。
「出た! 基礎スキルが【かばう】で――最終奥義が【魔王撃滅閃】と書いて《アルテマスラッシュ》! 字面からして魔王を倒す専用のスキルみたいだなっ」
やはり、光属性がキーだったか!
魔王が徹底的に光属性を排除した理由もこれでわかった。
よほどこの奥義を恐れていたらしい。
――逆に言えば、必ず倒せる技だと教えてくれているようなものだ!
セリカが青い目を丸くして震える。
「ケイカさまはひょっとして……能力やスキルが見えるのですか!?」
「ああ、見える」
「導師の力まで持っておられたのですね! なんてことでしょう!」
「どうし? なんだそれは?」
「導師というのは、昔いた人々のことです。村に一人はいて、人の本来持つ能力や才能を見抜いて、人生の進むべき道を教え導いてくれる人なのです。子供の頃は賢くても、実は戦士に向いていたり、僧侶よりも学者が向いてると教えたり」
「スキルやステータスが見える人間がこちらの世界にはいたのか。でもどうして見てもらっていない? セリカなんて騎士より魔法使いの才能があるのに」
セリカは眉を下げて悲しげな顔をした。泣きそうな声で言う。
「や、やはりそうだったのですか……これでも子供の頃は、力も強くて足も速かったのです……」
「だろうな。Lvが4つ上がってるから、その分を引くと『筋力6、敏捷5、魔力3、知識4』が初期値。子供の頃は騎士や戦士のほうが向いてるように思えたはずだ。成長率が『筋力1、敏捷3、魔力4、知識2』で魔法の能力が高い。敏捷が高いから僧侶や神官もありか」
セリカは苦しそうに顔をしかめた。
「ああ、もっと早くケイカさまにお会いできていたらっ。最近自分の力に限界を感じていました……でも導師の力を持つ人は魔王によって皆殺しにされてしまったのです……」
「転職したらいいじゃないか?」
「昔はウーモの神殿で転職ができましたが、そこも魔王の手によって滅ぼされてしまいました……」
セリカは力なく言った。
俺は内心、思う。
ステータスが見れなくて自分に合った職業が選べない。
間違った職業を選んだら転職できず、強くなれずに終わる。
光属性だと咎人システムで殺される。
生き延びても勇者にはなれない。
【勇者の証】を手に入れてもスキルが見れないから、違うスキルを育ててしまったらアウト。
俺は思わず笑ってしまう。
「この世界の難易度、ルナティックやインフェルノってレベルじゃねーな。普通はクリア不可能だ」
「はい……」
セリカが力なく俯いた。金髪がさらりと頬に垂れる。
俺はセリカから【勇者の証】を外し、自分の首にかけた。
「まあ、俺が光属性になればいいことだな」
俺はステータスを呼び出して、自分の手のひらをちょいちょいと摘んで【微光】を【光】に書き換えた。
蛍が住むような川の神だから【微光】の方が合ってるんだけどな。しょうがない。
手のひらを見る。
未修得スキルに【かばう】が発生していた。
「オッケー。これであとは間違えずに育てたら【魔王撃滅閃】を覚えられるな」
セリカが青い瞳を見開いていた。
「ま、まさか……ケイカさまって大神官の転職能力もお持ちなのですか……!?」
「んー? まあ、似たようなことはできるな」
するとセリカは俺の胸にしがみついてきた。青い瞳に涙を浮かべてすがりつく。
「お願いです、ケイカさま! わたくしをもっと強くしてくださいっ!」
「お前の願いはすでに聞いたと思ったが「もっと生きたい」という」
「そ、そうですが……わたくしも強くなりたいのです! ケイカさまのお力になりたいです」
「もう充分力になってくれてるけどな……でもお願いは別だ。賽銭――なにか奉げてくれないとな」
「う……もうわたくしには何もないです……」
「何かを奉げてもらわなければ、できないな。まあ、諦めろ。大丈夫、俺が守ってやるから」
「いやですっ! ――わ、わたくしを、ささげますから、役に立てるぐらい強くしていただけませんか? ……ダメ、ですか?」
俺は腕組みをして考えた。
セリカにはいろいろ世話になってるしな。
この先、一緒にいて危険な目に遭うこともあるだろう。
少しでも強い方がセリカの安全にもなるか。
俺は頷いた。
「まあ、いいだろう。じゃあ、服を脱いでベッドに寝ろ」
「え、いきなり…………は、はい……」
セリカは顔を真っ赤にして、服を脱ぎ始めた。
ブックマーク100越え。ありがとうございます!
次回は今夜更新ですが。
ステータスをいじるために裸のセリカを触りまくるのです。
さすがにR-15タグを付けたほうがいいのでしょうか。




