第218話 エルフ親子と勘違い
聖剣が出来上がるまでの間、魔王の所在を求めていろいろ手を打った。その他の問題にも糸口をつけた。
夜中のケイカ村。
俺はセリカと共に屋敷の自室にいた。
ベッドに寝転がって天井を見ている。何か忘れたような気がしていた。
隣に寄り添うセリカが金髪を揺らして首を傾げる。
「どうかされましたか、ケイカさま? まだ眠らないなんて悩み事でもあるのでしょうか」
「何か忘れているような気がしてな……なんだったか」
「聖剣が出来るまでは派手な行動はできないはずですが……村のことでしょうか?」
「今日見て回ったのは、屋敷と旅館、それに小学校――ああ、そうか思いだした。リィだ」
「リィさんがどうかされたのですか?」
俺はベッドから下りつつ言う。
「リィの能力値がおかしくなっていた。このままだと、また精神を壊しかねない」
「まあ! それは大変ですわ! すぐに治療してあげてくださいませ」
「ああ、行ってくる」
部屋を出て薄暗い廊下を歩いた。板張りの床がキシキシと鳴る。
エルフの親子は屋敷の東側の部屋に住んでいた。
ドアをノックしてから入る。
「夜遅くすまない。入るぞ」
ドアを開けると部屋は真っ暗だった。親子はすでに寝ているらしい。暗闇にかすかな呼吸音が響いている。
間取り自体は俺の部屋と変わらないので、リィの寝るベッドへと近付いた。
ベッドは二つ並んで置かれていた。
――すると。
リィの寝るベッドとは反対側から、ぐいっと和服の裾を引っ張られた。
「ん? ――フィオリア、起きてたのか」
「お待ちしてました……ケイカさま」
フィオリアの声はなんだか熱っぽい。薄暗闇の中でも頬が紅潮しているのがわかった。
エルフ特有の長い耳が揺れている。
フィオリアはさらに俺を引っ張り、ベッドへと引き入れた。
あっと思う暇もなく、手馴れた手つきで和服の帯を解かれる。
「え? どうした……?」
彼女は答える代わりに激しく抱きついてきた。すべすべした肌と、溢れんばかりの巨乳が押し付けられる。
――ていうか、フィオリアの奴、全裸じゃないか。
子供を生んだとは思えないほどの美しい肢体。
滑らかな曲線。セリカよりも大きな胸。
すべてが夜の闇の中にさらけ出されていた。
「ああ……っ、ケイカさま……」
彼女の吐息が情熱的に熱い。そして俺の上に跨りつつ、唇を重ねてきた。
とろけるような甘い唇。舌が別の生き物のように動く。
――いや、ちょっとまて。
夜這いをしに来たわけじゃない。
なので、彼女の華奢な肢体を押して離した。
フィオリアは俺の拒絶に泣きそうな顔をすると、荒い呼吸を繰り返した。
俺の上にしなだれかかり、潤んだ緑の瞳で俺を見下ろす。
「ずっと、寂しかったのです……もう、ケイカさま以外、満たしてくれる人はおりません」
「いや、まて。俺は――んっ」
またしても口を塞がれた。緑の髪が垂れて肌を撫でる。
このままでは話が進まないので、彼女の張りのある腰と、華奢な肩に手をかけた。
「よっと」
勢いよく、体勢を入れ替えた。
フィオリアをベッドの上に押さえつける形になる。
大きな胸が円を描くように揺れ、緑の髪が広がった。
彼女は俺の下で、少女のように頬を染めながら嬉しそうに微笑む。
「ケイカさま……男の子が欲しいですわ」
「――あ。そういうことか」
今朝会った時、俺の子供が欲しいと言っていたのか。
これは約束したことになる、のか? 約束したのなら神は約束を守らねばならない。
いや、しかし。
むむむ、と俺が唸っているとフィオリアが首を傾げた。
「どうされました、ケイカさま?」
「勘違いとは言え、約束したと考えないといけなさそうだ。――だが、日時までは答えていない。今はしなくてはいけないことがある。待っていてくれるか、フィオリア?」
フィオリアの美しい顔が悲しげに歪む。
「しなくてはいけないこと……」
「リィがまたおかしくなっている」
「えっ!?」
フィオリアが口を手で覆って息を飲む。
それから肩を落とした。
「申し訳ありません、ケイカさま。足音が聞こえたときから、私はてっきり子供を授けてくれるものとばかり……」
「気にするな。わかってくれたらいい――さあ、リィの治療をするぞ」
「はい、よろしくお願いします」
俺たちは体を離してベッドを降りた。
花のような香りを散らしつつ、隣のベッドで眠るリィに近付く。
肩で切り揃えた髪が乱れて頬にかかっている。
すやすやと根息を立てているが、瞼の裏で目が動いているのがわかった。
――起きてる。
まあ、隣で激しく求め合ってたら普通は目を覚ますか。
「フィオリアは服を脱がせてやってくれ。寝てる間に終わらせてしまおう」
「はい、ケイカさま」
フィオリアは裸のまま、娘の服に手を掛けて脱がせていく。
母親とは正反対の、成熟しきっていないスレンダーな肢体が露わになる。
――美人母娘エルフが目の前で裸でいるってのは、それだけで怪しい雰囲気が漂うな。
そんな考えを振り払いつつベッドに上がった。リィの隣にあぐらをかいて座る。
「さて。どうするか」
よくよく考えてみれば、リィは異常に覚えが早かった。
最初は【精霊術師Lv8】だけだったのに、ハーヤの仕事を見ただけで【魔道具技師Lv1】を覚え、続いてフィオリアの仕事を見ただけで【庭師Lv1】を覚えた。
その後は見てなかったから知らないが、村の人々と関わるうちにクラスを次々と覚えていったのだろう。
「大丈夫なのでしょうか……」
フィオリアは大きな胸を揺らしつつ娘を心配そうな顔で見下ろしていた。
緑の髪が垂れて胸を隠す。
俺は彼女に尋ねる。
「なあ、フィオリア。見ただけで仕事を覚えてしまうスキルかクラスはこの世に存在するか?」
「見ただけで……? 精神共霊術師、という相手の魂に共鳴してスキルをラーニングする職業があると聞いたことがあります」
「あっ!」
俺は一番初めにリィを見たときを思い出した。
その時の表記はこうだった。
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【ステータス】
職 業:#精$%霊使い
クラス:精T霊術&師-8
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これを精霊使い、精霊術師に修正したんだが、それ自体が間違えていたんだ。
「すまん。俺のミスだ。一番最初に直したときに間違えていた」
「えっ! まさか、リィが精神共霊術師だったのですか!?」
「おそらくそうだ。仕事を見ただけで次々と覚えて言ってしまっていた。けれど修正が間違えていたから、本来種族的に覚えられないものまで覚えておかしくなっていた」
フィオリアは大きな胸に手を当てて首を振った。
「まあ、そうだったのですか……ケイカさまのせいではありません。母親の私ですら気付いていなかったのですから……そう、この子が……」
俺はリィを《真理眼》で見る。
今はこうなっている。
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種 族:ハ|フエ=ルフ
職 業:精霊使E 庭視R教師
クラス:精霊術師Lv10 魔道具技師Lv2 庭師Lv1
教師Lv5 剣士Lv1 魔法(使いLv1 給仕Lv1
農民Lv1 手仕事師Lv3 死V霊術*てLv1
獣S?%戦士Lv1 騎士豪Lv1 剣舞~巫P女Lv1
僧T侶Lv1 料理人Lv1 O盗賊Lv1 淫#魔Lv1
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どこから直すか。ほんとひどいな、これ。
……とりあえずはハーフエルフに戻そう。
リィの胸に指を当てて中心に向かって這わせた。
ささやかな胸が柔らかく歪む。
すると、彼女の長い睫毛がぴくっと震えた。
見ていたフィオリアの目が丸くなる。
「とりあえず、読み上げていくから、エルフがなれないクラスを教えてくれ」
「はい――頑張って、リィ」
フィオリアが囁くように言った。
リィは寝たふりを続けているが、目がキョロキョロと動いていた。
俺はフィオリアに尋ねながら手を動かす。
胸から脇腹へ、キュッと引き締まった小ぶりなお尻を掴み、背筋に沿って首筋へ。
絹のようにすべすべすた肌に、指先を滑らせる。
リィの華奢な体を、頭からつま先まで撫でてステータスを改変していった。
彼女は眉間にしわを寄せ、歯を食い縛って耐えている。
しかし手足の細い体は指の動きに答えるように震えていた。
できるだけ刺激を与えないように触れるか触れないかの手つきで触っているつもりだったが、想定したよりも反応していた。
――と。
真理眼で見ていたステータスに変化があった。
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種 族:ハーフエルフ
職 業:精神共霊使い 精霊使い
クラス:精神共霊術師Lv10 魔道具技師Lv2
庭師Lv1 教師Lv5 剣士Lv1 給仕Lv1
農民Lv1 手仕事師Lv3 騎士豪Lv1 剣舞~巫P女Lv1
僧T侶Lv1 料理人Lv1 O盗賊Lv1 淫#魔Lv2
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……淫魔のLvが上がったんですけど。
【魅‘了¥】なんてスキルを覚えた。
「やばいぞ、これ。暴走するかも」
「えっ!? 大丈夫なのでしょうかっ!」
「わからん――考えてみたら、転職はLv20になってからじゃないとしないものなんだよな」
精神共霊術師はLvによって覚えられるクラスの上限が決まっている。Lv10なら5つだ。
「いったいどうしたら……」
「片手じゃだめだ。少し荒いが両手を使ってすぐに終わらせるしかないな」
「お願いします、ケイカさまっ」
フィオリアは髪を乱して懇願してきた。裸体をサラサラと流れる。
「ああ、わかってる。その願い、聞き届けた――やるぞ」
リィを荒々しく持ち上げた。折れそうなほどの細い体。あぐらをかいた俺の上に座らせつつ抱く。
そして彼女の全身を内へ外へと揉みしだいた。
「ひゃあっ! ――はぁはぁ」
ついにリィの可憐な唇から悲鳴が上がった。甘く喘ぐような呼吸を繰り返す。
淫魔を消したが影響は続いているらしい。
少し強引にしなやかな曲線を撫でてステータスをいじっていく。
「これで最後だ」
「――あぁんっ!」
改変の痛みのためか、リィは一際高く叫ぶと共に、肩で切り揃えた髪を振り乱して俺の首にしがみついてきた。
それから、もたれかかったままぐったりと動かなくなる。
気絶したようだが、喘ぐような熱い呼吸だけは繰り返していた。
直接触れ合うすべすべした肌が、しっとりと汗ばんでいる。
フィオリアは心配そうな声で呟く。
「だ、大丈夫でしょうか……?」
俺は真理眼で見た。
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【ステータス】
名 前:リィ
性 別:女
年 齢:72
種 族:ハーフエルフ
職 業:精神共霊使い 精霊使い
クラス:精神共霊術師Lv10 魔道具技師Lv2
庭師Lv1 教師Lv5 手仕事師Lv3
属 性:【木】【光】
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まあ、こんなもんだろ。
気を失ったリィをベッドに寝かせつつ言う。
「もう大丈夫だ」
「ありがとうございます、ケイカさまっ」
フィオリアは飛びつくように腰へ抱きついてきた。顔を埋めるように押し付けてくる。
柔らかな息が肌にかかってくすぐったい。
娘が心配だったのだろう。
しばらく髪や背中を撫でて落ち着かせる。
途中からは彼女を促してベッドを移動し、好きなようにさせた。
大きな胸の震えや腰の動きが収まると、寄り添うフィオリアに言う。
「じゃあ、部屋に戻る」
「本当に、ありがとうございました」
満足そうな笑顔で答えるフィオリアの声を背に、俺はセリカの待つ部屋へと戻った。




