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勇者のふりも楽じゃない――理由? 俺が神だから――  作者: 藤七郎(疲労困憊)
第七章 勇者地固め編・貴族動乱

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第162話 王都防衛!(その2)

 南門で魔族の大群を撃退したあと、試練の塔へと向かった。

 試練の塔からあふれてきたのは骸骨やゾンビなどのアンデッド。

 食料いらずで待機させられるからだった。


 黄昏時の薄暗がりの中、魔法の明かりで照らされた大通りを人々が悲鳴を上げて逃げていく。

 幸い、骸骨もゾンビも足が速くない。


 しかし、杖を突いた老人が遅れていた。

 必死の形相でのろのろと歩きつつ、振り返って魔物を確認。

 すぐ背後までゾンビが迫ってきていた。

 老人へと腐った手を伸ばす。


「ひいっ!」

 老人が歯の抜けた口から悲鳴をこぼした。


 そこへ剣閃の白い輝きが空間に走る――。


 ザンッ!


 石畳へ着地しながらの俺の一撃で、汚い肉をまき散らしてゾンビが砕け散った。

「大丈夫か、じいさん」

「はひぃ! 勇者さま! ありがとうございます!」

「礼を言う暇があったら逃げろ!」

「はいっ!」


 俺は大通りを駆け抜けながら、うごめくアンデッドたちを次々と倒していった。

 敵が弱すぎるために、太刀が軽く触れるだけで骸骨は砕け、ゾンビは倒れて動かなくなる。



 とおりに面した建物の二階や三階から見ていた人たちは拍手喝采。

「勇者さま、ありがとう!」「ああ、もうだめかと思ったぜ!」「ケイカさまは命の恩人です!」

 逃げ惑っていた人たちが泣きそうな笑顔で称えてきた。


 しかし俺はまともな応対が出来ずに会釈程度で駆け抜ける。

 道にあふれた魔物の数があまりにも多かった。

 ――おかしい。ラピシアを配置させていたはずだが。



 俺は敵を倒しつつ《千里眼》で見た。

 ――なっ!

 俺は驚きの声を上げた。

 試練の塔のある広場はアンデッドが満員電車並に密集していた。

 その中でラピシアが骸骨に囲まれつつも健気に頑張っている。

 

「がーいこっつ、どーん!」

 かわいい声とともに繰り出される小さな拳。

 衝撃破を伴うそれは、周囲のアンデッドをも巻き込んで、無慈悲に爆砕した。


 ラピシアの周りが無人になる。


 が、すぐに埋まる。

 普通の生き物なら、あまりの強さに戸惑うはずだが、アンデッドには恐怖を感じる心がない。

 そのため近くの人間――ラピシアへと殺到した。



 俺は広場までくると、太刀を振るって骸骨を斬り飛ばしつつ、ラピシアの側へ駆け寄った。

 ラピシアが眉間にかわいいしわを寄せて、困り顔で叫んだ。


「ケイカ、へんなの!」

「どうした!?」


「倒したら増える!」

「なに!?」


 ラピシアの言葉どおり、粉々にした骸骨やゾンビが、むくむくと起きあがる。

 時間がたつと自動的に復活するリカバリーボーンかと思った。

 けれども《真理眼》で見たが、普通のゾンビと骸骨だった。

 しかも一匹倒したら3匹に増えていた。


 ――本当におかしい。

 俺は《真理眼》で辺りを見た。

 試練の塔の上にステータスウインドウが現れた。

--------------------

【ステータス】

名 前:クルリグ

種 族:邪水魔族

職 業:魔王近衛隊騎士

クラス:魔法騎士Lv40 悪魔Lv65

属 性:【魔】【濁水】


 攻撃力:1300

 防御力:1100

 生命力:4000

 精神力:4100/5500


【スキル】

スラッシュ

  水裂斬(フィルシィスラッシュ):横一列攻撃。確率で能力低下にする。

 波動水掌(リップルインパクト):防御値無視攻撃。確率で行動不能にする。


 激流矢雨(ジェットレイン):高水圧のジェット水流を雨のように降らす。 

 疫病散霧(ディジーズミスト):激しい病気に感染させる霧。範囲攻撃。

 死魂召喚(デッドサーバント):亡者を手下として召喚する。

--------------------

 ――こいつか!

 精神力をかなり使用している。

 死霊を呼び出したに違いない。



 俺は和服の裾をたなびかせて、試練の塔の上へ飛び上がる。

 円形の屋上はテニスコート二面分ほどの広さがあった。

 そこには宵闇に紛れて、全身真っ黒な悪魔がいた。人型だが手が四本。白い牙が口からのぞく。

 赤く光る目で俺を捉える。

 

「来たか。お前が勇者だな……くくくっ」

「笑ってる場合か? 命乞いでもしたらどうだ?」


 魔族は真っ黒な顔を歪めて、狂ったように笑う。

「すべては魔王さまのため! 命などくれてやる!」


「ならば、死ね」

 俺は、一瞬で魔族の傍へと移動する。


「なっ!? はや――っ」


 ザンッ!


 切断された首が舞う。

 魔族は逃げる間もなく、驚く表情を作る暇しかなかった。


 続いて胴体からどす黒い血が噴出し、そして体が粉のように崩れていった。



 首はまだ屋上に転がっていた。 

 俺が近付くと、ニタニタと笑いかけてきた。

「くくく……っ! さすがは四天王を倒した勇者だな! だが、これで勝ったと思うなよ。俺が死んだら死霊魔法は永遠に持続するのだぁ! ふははっ――ぐふっ」


「教えてくれて助かる。これ以上増えなければ、どうということもないな――ふんっ!」

 俺は太刀を振り下ろす。

「ぐびゃっ」

 ズバンッと勢いよく魔族の頭が破裂した。

 


 俺は屋上の端へ行くと、地上を見下ろした。

 ラピシアが白いワンピースをひるがえして戦っている。

「もぉ! 消えてなの!」

 突然、ラピシアがその場で回転した。長いツインテールが鞭のように旋回する。

 押し寄せるアンデッドが青い髪に触れて粉砕される。


 ――突然、勇者の証が光った。

『パーティーメンバーが新しいスキルを修得しました』

【双髪旋風斬】長い髪を利用して範囲攻撃する。男性が使用すると毛根にダメージ。



「……なんか恐ろしいスキルを覚えたな。まあいい――ラピシア! 倒しても意味がない、穴を掘るんだ!」

 俺を見上げて首を傾げる。

「あな?」


「とても深い穴を掘って、その中にアンデッドたちを投げ込むんだ」

「っ! わかった! ――んんん!」

 ラピシアが地面に手を突いた。



 ここは広場。

 地面がむき出しなのですぐに効果が現れた。


 ボコッ!

 と直径10メートルほどの丸い穴が開き、さらに深くなっていく。アンデッドたちが次々と飲み込まれていく。

 落下した骸骨が、底に当たって砕け……くだ……。


 激突音が聞こえない。

 ――深すぎるぞ。まあ、いいか。



「ラピシア、倒さず投げ込んでいけ!」

「うん!」

 突き飛ばし、放り投げ、次々にアンデッドを始末していった。

 あっという間に広場を片付け、続いて大通りに出たゾンビや骸骨を捕まえては穴へ投げ込んでいく。


「お片づけ、とくいなの!」

「偉いぞ、ラピシア!」

 屋上から呼びかけると、えへへ~と幼い顔をにやけさせた。


「その調子で頑張れ! ここが終わったら、西門だ」

「わかった!」

 ――よし、これであとは任せても大丈夫だな。



 しかし弱い魔物しかいないのが気になった。

 ここから王城へ向かう部隊がもうすぐ出るはずだが……。


 俺は千里眼で王都中央にある城を見た。

 王族たちは最上階の一室に集まってもらっている。

 ところが部屋の前の廊下には騎士たちが剣を抜いて、すでに魔族と戦っていた。

 

 ――くそっ!

 魔族の突入は日が暮れてからじゃなかったか!

 相手はもう、なりふり構ってられないようだな。


 俺はこの場をラピシアに任せて城へと飛んだ。

改稿が……また忙しくなりそうです。

2~3日間隔で更新努力します。

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GAノベルより1月15日に3巻発売します!
何度も改稿してなろう版より格段に面白くなってます!
勇者のふりも楽じゃない
勇者のふりも楽じゃない書籍化報告はこちら!(こちらはまだ一巻)
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