第104話 レオと村!
船は東にある辺境大陸へと向かっていた。
乗員は4名増えた。
ルーナ、マーリン、プルラ、そして人魚のクリスティア。
人魚は大陸まで早く行ける海流を知っていたので案内してもらっていた。
ただクリスティアは選ばれたのではなく自分から案内に立候補した。俺とガーランドの話に割って入ってまでして。
子供たちだけを旅立たせるのが忍びなかったらしい。
まあ、海流に乗れたおかげで人魚の里に寄り道したのに、2週間の予定が10日まで短縮されそうだった。
船旅は続く。
魔物が来たときはとどめをルーナにやらせた。
逆に魔物が来ないと暇だった。
ルーナはアサシンLvが20に達した。一人前なレベル。何か条件があるのか神獣Lvは6だけ。年齢が上限かもしれない。
進化決闘バトルの効果か、育つのが異様に早い。スキルも尋常じゃなく増えた。【双技撃】【致命光破】【麻痺雷撃】【HP自動回復】【岩盤防壁】【各種属性抵抗:中~大】【毒耐性】【呪い耐性】など。あと40個ぐらいある。
エビルスクイッドが各種属性が無効だったのも勝ち抜いてスキルを奪いまくったからだなと理解した。
使えるのはやはり【双技撃】だろう。2つのスキルを同時に発動させるというユニークスキル。必殺技でも可能なので戦いに幅がでそうだった。
逆にルーナにとってはあまり意味のない【淡水耐性】【陸上移動】【無泳呼吸】なんてのも取得した。最後のは泳ぐのを止めると呼吸できなくなるマグロから得たと思われる。
今はスキルが多すぎて使いこなせていなかった。慣れるには時間がかかると思われた。
装備は変えてあげた。
シーメタルグラディウスの角を少し使ってナイフを作った。
本職じゃないので刃が波打ってしまったが、俺とラピシアの魔力を加えたため砂刃嵐の効果を得ていた。海は水属性抵抗を持つ魔物が多いから風と土は非常に有効だった。当然折れないし、手入れいらず。
一度、試しにエビルスクイッドのスキルをルーナに教えてみたが、【触手乱舞】しか覚えなかった。でもスキル名と説明を書いた紙は大切に腰のポーチへ仕舞っていた。
赤いクラゲ頭を震わせつつ、小さな声で「ありがとう……」と呟いていたのが印象的だった。
段々育つのが面白く感じていた。
ちなみに経験値がもったいないので勇者パーティーに入れておいた。
ミーニャとセリカもLvが上がった。俺は大回復を覚えた。
母親のクリスティアは弟妹たちに魔法を教えていた。ついでにラピシアも習わせた。
◇ ◇ ◇
そんな順調な船旅が続いていた頃、ふとレオたちはどうなったか気になった。
ナーガたちの護衛は上手く機能しているだろうか。新事業になりそうか?
上手くいくなら世界の港町に勇者ケイカの名は広まる。
俺は自室のベッドに座って西を見た。
千里眼と多聞耳を使ってシュガル諸島を調べた。レオに持たせたケイカお守りがあれば所在がわかる。
見ると、大小さまざまな島があった。百ぐらいか。小さいものは暗礁程度。大きいものでは四国ほどあった。
その一番大きな島の端が天然の湾を形成して外洋船でも接岸できていた。
船はもう出港したかと思ったが、まだ荷物の上げ下ろしをやっていた。
船の周りをナーガたちが警備している。
島の人々は怖がっているようだった。
しかしレオの姿が見えなかった。なぜか島の内陸部のほうから反応がある。
銀髪と白い肌を晒したイエトゥリアがいたので心話で尋ねる。
『イエトゥリア、レオはどうしたんだ?』
『ぬ、ケイカさまか。魔物が出るというので退治しに行ったのだ』
『そうだったのか。では引き続き頑張ってくれよ。……住人の拒否反応が辛いかもしれないが』
『なにを言う。我らはナーガ。変な目で見られるのは慣れておる。――それに、時間を掛ければドルアースのように打ち解けられるかもしれぬからな』
『そうなるといいな。頑張ってくれ』
『任せておくのだ』
俺は視線を内陸へと移した。
レオとダークはサトウキビ畑の外周をばらばらに歩いていた。
腐った狼ゾンビや6本腕の骸骨騎士を倒している。
ティルトは畑の中でイノシシを倒していた。
3人とも目を覆う仮面をつけていた。怪しい。
見ていると女性が首なし騎士に襲われた。レオが颯爽と駆けつけて倒す。
白い歯を見せて微笑みかける。
「怪我はないですか」
「は、はい……あなたは?」
「……名乗るほどのものじゃありませんよ――あなたの美しい顔に傷がつかなくて本当に良かった。さあ、お逃げなさい」
――俺はそんなこと言わない。
女性は頬を赤らめつつ、走っていった。
村に逃げ帰ると、村人に片っ端から「あの人、誰!? かっこいい!」と声高に尋ねまわっていた。
彼女が勇者ケイカの名を知ったとたん、信者が増えた。
複雑な気持ちになる。
俺は溜息を吐いたが、向こうも順調なようでなにより。
アンデッドばかりなのが気になったが。
「まあ、あの3人に任せておけば大丈夫か。ナーガたちもいるし」
俺はベッドにごろっと寝転がった。
信者数は2000人を突破していた。
勇者ケイカの活躍が相当広がったらしく、毎日どころか毎時間増え続けている。
これで今考えている方法が成功すれば、もっと増えるはず――。
あとはそのチャンスの訪れを待つばかり。
――と。
突然、切実な願いが頭に響いた。
『神様、勇者さま! 助けて! みんなを助けて! 誰か、お願い――ッ!!』
参拝客ではなかった。しかし聞き覚えのある声。
お守りを通じた願い。
俺は声の聞こえたお守りを千里眼で探した。
ダフネス王国の西の平野にある小さな村。
その村のあちこちから煙が上がっていた。
汚い剣や鎧を着た男たちが暴れまわっている。
男は切り殺され、綺麗な女は肩の上に抱え上げられていた。農作物が荷台へ運ばれていく。
禿げ上がった男が村の入口で叫ぶ。
「がはは! 抵抗する奴は男も女も切り殺せ! 金も麦も全部奪え! 俺たちのもんだ!」
「お頭、老人や子供はどうしやすかい?」
「全部買い取ってくれるそうだ。全員見つけて連れて行け!」
「へい!」
手下が村へと駆けていく。
盗賊団だった。
事態を知ったところで、距離が遠すぎて俺には何もできない。見ているしかない。
ケルキラの町にいる守備騎士隊も間に合わないだろう。
今までなら。
俺は村を見て回った。
納屋の麦わらの下で震える少女を見つけた。いつか参拝に来たララだった。
丸く縮こまり、手にはお守りを握り締めている。
『助けて、助けて!』
声を立てない。しかし目からは止めどもなく涙が流れて頬を伝う。
俺はお守りを通じて語りかける。
『村を助けたいか?』
「ふぁ!?」
ララの体がびくんっと撥ねた。麦わらが動いてしまう。
通りかがった盗賊の男が足を止めた。
「ひひっ! いるな、隠れてるな……風もねえのに麦わらが震えてるぜぇ……」
男は黄色い歯を舌で舐めた。欲情した目付きを麦わらの下にかすかに見える細く白い足に注ぐ。
『助かりたいなら、命をかけろ。村長宅にある勇者の像に手を触れて祈るんだ!』
『勇者の像に……』
『男が納屋に入ってきてもまだ動くな。怯えて隠れ続けるんだ。近付いてきたところで麦わらをぶつけて、駆け抜けろ!』
『そ、そんな……』
『できなければみんな死ぬ。お前の勇気に掛かっている』
ララの震えは止まらない。しかし、歯を噛み締めていた。
男はズボンに手を掛けてベルトをカチャカチャ言わせながら麦わらに近付く。
「そこに隠れられるなんて何歳ぐらいかなぁ? 小さい子なら死んじゃうかなぁ? 男の子なら最高だなぁ。俺が見つけたんだから俺が一番に楽しませてもらうぜぇ……うひひっ」
『今だ!』
ララが両手で麦わらを掬い上げつつ立ち上がる!
ザアッ! と麦わらが煙幕のように広がった。
男はズボンを下ろそうとしていたため、対応が遅れた。
「くそっ! なめたまねすんじゃねぇよ!」
手を伸ばすが、間一髪でララはしゃがんで通り抜けた。
男の横を駆け抜けてララが外へと駆け出した。小道を走る。
『左の細い路地に入れ!』
中央通りには盗賊たちが多い。路上で楽しんでる盗賊までいた。
男は素早くズボンをはきつつ、怒鳴りながら追いかける。
「待ちやがれ、このガキ! ただじゃおかねぇ!」
男が駆けると、体についた麦わらがはらはらと落ちていった。
ララは必死で走った。しかししょせんは子供の足。
素早い盗賊の足には負ける。
『右手の家に入って窓から出ろ!』
ララは家に飛び込む。すぐに小さな窓から出る。
男が家に入ってきた。家の中を一瞥し、子供の隠れられそうな樽や棚を引っくり返す。ベッドの下を見る。
男はベッドを殴りつけた。バキッと音を立てて半分に折れた。
「ちっ! どこ行きやがった! 出て来い!」
その時、開いた窓から裏通りを走るララの姿が見えた。
「ふざけやがってえぇぇ!」
男は怒りで顔を赤くしながら、窓へと向かった。しかし、小さすぎて大人が通れないのに気付いてますます顔を怒らせつつ入口へ回る。
その間、ララは手を振って懸命に走り続けた。
大きな屋敷が見えてきた。
しかし後ろから猛然としたスピードで男が追い上げてくる。腐ってもさすが盗賊だった。
「お前だけは楽に死なせねぇからな! あらゆる楽しみ方して死なせてやる!」
ララの顔に怯えが走る。それでも走って、敷地に入った。
目指すは庭にある勇者像。
ララの目は像だけを見ていた。
そのため、あとちょっとのところで庭石を踏んで転んだ。
「ああっ! 勇者さまぁ!」
追いついた男が飛びかかる。
「ぎゃはは! 何してんだお前、銅像に助けなんて求めて!」
うつぶせに倒れたララの上へ体重をかけて跨った。
かはっ、とララが悲鳴にならない息を吐く。
男は欲望と嗜虐で目を輝かせながら言った。
「お前の馬鹿さ加減には笑わせてもらったぜぇ。お返しに、すぐには殺さねぇ。助けを求めた銅像の前で、たっぷりと可愛がってやるからよぉ!」
きひっ、と顔を歪めて笑いながら、びりびりっとララの服を破った。日に晒される幼い肢体。
ララは泣きながら、それでも細い手を伸ばした。
「お願い、助けてぇ――っ!!」
「銅像が助けるもんかよ! おらおら!」
男がララをあおむけにして、スカートをめくり上げた。小さな下着がさらされる――。
おかげで体が少し動いた。
――少女の指先が、冷たい銅像に触れる。
瞬間、指が光った。流れ込む魔力の輝き。
『我が名にかけて、汝の願い、聞き届けた!』
――ドスッ!
「え? へ?」
男の頭に角が生えた。
青銅製の太刀が頭に刺さっていた。
ギシギシと音を立てて銅像が動いた。太刀を抜く。
「そん……な」
男は下半身丸出しのまま、横に倒れて死んだ。
ララの小さな体は震えていた。お守りだけはしっかりと握り締めて。
「勇者、さま……」
『隠れていろ』
「はい、勇者さまぁ……!」
ひっく、ひっくと泣きながら、それでも半裸のまま地を這うようにして庭の茂みに移動した。
俺は歩き出す。
ずし、ずし、と地面を揺らして歩いていく。
銅像を依り代として降臨した。
神をかたどった像に降臨させられるのは実証済み。
そう。
収穫祭のときに女神像へルペルシアを降ろしたのは、このための予行練習だったのだ。
ただ、俺がルペルシアを降ろしたときと違い、使用された魔力が圧倒的に弱く少ない。
だから、姿は変わらず銅像のままだった。
それでもいい。
盗賊どもを倒せる力さえあれば。
まずは村長宅へ入った。2階建ての大きな屋敷。
すでに千里眼でどこにいるのか知っていたので、まっすぐに向かった。
ミシミシと床がきしむ。
厨房で若い女を殴りつける太った盗賊がいた。
パンを食いながら笑っている。しかし殴る蹴るは止まらない。
「なあおい、オレのこと好きって言えよ、愛してるって言えよ。そしたら抱いてやるからさぁ! 俺は無理矢理は好きじゃない、愛のある行為が好きなんだ……。さあ、早く言えよ!」
盗賊の振り抜いた拳が、ゴツッと青銅の太刀を叩く。
「いってぇ~! って、うわぁ! なんだこれ! ゴーレムか!?」
『豚に教える必要などない』
太刀を返して、無造作に斬る。
ザンッ! 首から肩へと斬り捨てると、丸太のような腕とパンが床に転がった。
女が震えながらも微笑んだ。
「ああ……勇者さま。ありがとう……」
俺は次に階段を上がった。
中年の村長は盗賊2人がかりで責めを受けていた。
「祭りの資金、どこに隠した! 言え!」
「来年の種籾もだ!」
「……そ、それだけは……」
ゴッと殴り飛ばされる村長。
顔が紫に腫れ上がっていた。
俺は部屋へと踏み込んだ。
驚いて振り返る盗賊ども。
「うわ!」「なんだ!?」
大股で1人に近寄り、太刀を振り下ろす。
ザシュッと肩から腹まで切って盛大な血しぶきを上げた。
仰向けに倒れる盗賊。
「ひぃ!」
残った盗賊は短剣を抜く。
しかし俺の踏み込みが早かった。
横なぎに一閃。
短剣ごと腕を斬り飛ばし、胸をえぐった。
「そ、そんな……ばかな……」
ゴボッと口から血を吐いて盗賊は倒れた。
腫れ上がった目で俺を見上げる村長。
「おお……っ! 勇者さま……!」
俺は踵を返し屋敷を出た。
道へ出て、中心の通りを歩く。無抵抗な村人たちを縛って座らせている盗賊が5人。
俺の足音に気付いて顔を上げた。
「な……! なんだ、これ!」
「魔法か!? ゴーレムか!?」
『死ね』
ブゥンッ! と太刀を振った。
重い青銅製ということもあって、薙いだだけで棒立ちだった盗賊の首が3つ、吹っ飛んだ。
『やはり、体重が乗ってるな。非力さが補われている』
残った2人が剣を持って襲い掛かってくるが、しょせん型のない闇雲な攻撃。
一刀で斬り捨てる。
縛られた村人の縄を切る。
村人は、信じられないものを見る目付きで俺を見ていた。
「ゆ、勇者さまの像が……」
「勇者さまの……お力?」
商店から裸の女を抱えて盗賊が出てきた。
「な、なんだ!? おい、お前たち、どうした!?」
俺は、ズシンッと音を立てて盗賊へ向かう。
盗賊は驚いていたが、すぐに女を放り出して斧を構えた。
「ば、化け物! 死にやがれ!」
上段から振り下ろしてくる。体重の乗った一撃。武芸をやっていたのか、早い。
体が重くて避けられない。
俺は頭を突き出しつつ踏み込んだ。
下から太刀を斬り上げる。
ゴッと頭に斧が刺さる。しかし銅の塊に意味はない。
太刀は止まらず、男を下から真っ二つにした。
血を吹き上げて地面に転がる。
ここには、もう1人いるはず。
商店の中へ入って、金を袋に詰めている男の後ろに立つ。
「お頭かい? こいつ聞いてた話よりへそくり溜めまくってやが――あが!?」
真後ろからぼさぼさの頭を叩っ斬った。金貨が赤い血に染まる。
さっさと出ると、異変に気付いた盗賊たちが通りに集まってきた。
体格のいい禿げた男がいる。お頭と呼ばれていた男。
手には鈍器を持っていた。
「動きはそこまで早くねぇ! 囲んでやっちまえ!」
俺を半円に取り囲む盗賊たち。頭を含めて10人いる。
『手間が省けたな』
「やっちまえ!」
「へい!」
掛け声とともに襲い掛かってくる盗賊。
3人斬った。2人は避けた。しかし2人が背中を、1人が足を、2人の斬撃は左手で防いだ。
指が欠けた。
欠けた指はもう動かなかった。
腕を切り飛ばされたらまずい。
ズシッと足音を響かせて俺から踏み込んだ。
2人を斬る。そして胸と顔を斬られる。右肘にはメイスが当たった。動きが鈍くなる。
「関節だ、関節を狙え!」
頭の声に、盗賊たちが両肘、両膝を狙ってくる。
また1人斬り捨てたが、右肘と左膝に打撃を受けた。
『くそっ、ただの盗賊じゃないな』
俺は左手で太刀を構えた。
残り4人。少しまずい。
盗賊たちが騒ぐ。
「いけるぞ!」
「やれ!」
「やっちまえ!」
一斉に襲ってきたので、右の盗賊を切りつけながら、後ろへ飛んだ。
しかし槍の一撃が、左足を壊した。
残り3人。横1列になって襲ってくる。
「奴はもう動けねぇ。俺が剣を止めるから、お前たちは左右から襲え!」
「「へい!」」
近付かれたらやばい。
右足1本で立ったまま、太刀を横に構える。
『いけるか? ――《烈風斬》』
左手だけで太刀を横一文字に払った。
――ザァンッ!
巨大な風の刃が、駆け抜ける!
盗賊たちを胴から真っ二つにした。
「ぎゃあ!」
「んな!」
「ひでぇ!」
盗賊たちは血まみれになって地面に転がる。
俺もグラッと揺れた。姿勢を保てないまま左側へと倒れ込んだ。
村人が駆けてくる。
「おお! 勇者さま!」
「ケイカさまの奇跡!」
「ありがとうケイカさま!」
魔力を使い切ったので銅像はもう動かない。
村長宅の庭からララが駆けてくる。
「勇者さまぁ! ありがとう、本当にありがとう!」
半裸のまま銅像にしがみついて、わんわん泣いた。
銅像がさらさらと崩れ始める。存在としての力まで使い切ってしまったらしい。
『ララよ。よく頑張ったな……ケイカ村に頼んで新しい銅像をもらっておくんだ』
「はい、勇者さま!」
ララはお守りを握り締めつつ、周りの大人たちに説明する。
大人たちは驚いていたが、すぐに納得したようだった。
その後ララは父親と抱き合って泣いた。
村人たちは被害の確認と警備を始めた。
連絡を受けたケルキラの町の騎士隊が準備を始める。
もう大丈夫だと思われた。
俺は意識を船室に戻す。落ち着いた波の音が響いてくる。
いつのまにか立ちっぱなしだったので、ベッドへ倒れ込むように横になった。
「ああ、疲れた……」
慣れない依り代での戦闘がここまで負担になるとは。
いろいろと不完全だったのもある。要研究。
しかしこれで勇者ケイカの名はさらに広がるだろう。
信者は確実に増える。
勇者が倒すより、銅像の方がインパクトは大きいはず。
しかも勇者は危機が過ぎればいなくなるが、銅像なら村をずっと見守ってくれるのだから。
銅像を持たない村はみんな欲しがるはずだ。ケイカの名は称えられ続ける。
わざわざ等身大の銅像を各村に作らせたのが役に立った。
長い仕込みだった。
俺は、はぁ~と長い溜息を吐いた。
――あとでハーヤに言って、もっと動きやすく、魔力結晶を埋め込めたものに改造させよう。あ、簡易召喚術式を中に刻んでおくのもありか。いくらなんでも重すぎたもんな……。
そんなことを考えていたら、自然とまぶたが下りてきて寝た。




