マルもバツも
あなたの意見は正しいです。 あなたの意見は間違いです。世界に溢れる正解不正解、それによって生まれる衝突。
それは当然で必然。 僕が正しいと思うことを世界中が正しいと思うことはない。その逆も然り。 僕が好きな物を世界中が好きだと思うこともない。当然その逆も然り。
この世に考えは人の数だけ存在する。 つまり一個の正しい考えなんて存在しない。 だから争うのは当たり前、衝突するのは想定の範囲内。
でもね。 たまに疲れちゃうでしょ? 何が正しいか、何が間違いかを考えるのって。 自分の意見が正しくなくて、なんで向こうの意見が正しくなるのかって。 考えてもわかんないんだよ、だって自分の考えを正しいと思っているんだから。 どこかで相手をおかしいと思ってるんだから。
そんな時。 それもとても暇な時。 僕は二枚の紙にマルとバツを書く。 正解と不正解の書かれた紙を両の手のひらに乗せて、自分の目線の高さまで持っていく。
そしたらね。 ほら、正解も不正解もなくなった。 マルだろうとバツだろうと、横から見ればただの線だ。
目の前にあるのは二つの線だけ、これを見ると僕はなんだか自分をバカだと思う。 こんなことしてるってこともあるけど。 こんなちっぽけなことであれこれ悩んでイライラしてたのかって。
別に自分の意見が通らなかったことから不満が消えるわけじゃないけど。 あんなに否定してた相手の意見も、結局僕と同じ物なんだって、思えるんだ。