消えた希望
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魔国に占領されたエヤ王国とグラデ王国の国境を跨ぎ、魔国の軍と人族の軍がそれぞれ戦いに備えて陣を張った。その距離は徒歩で5日の距離と離れていたが、日を追うごとに兵力や兵器を拡大させて距離を縮める。両陣営とも持てる兵力を集め戦いに日に備えていた。
魔国の軍は勇者が率いる力を恐れて兵器を日々配備する。勇者の”近くに寄れば身動きが出来なくなり残忍に殺される”という話は既に魔国の軍に知れ渡っており得体の知れない恐怖が進軍を鈍らせる。
人族の軍からすれば、圧倒的な戦闘能力で戦いを挑んでくる魔国の兵の怖さを知っているため、兵器を装備するだけなく、デエアラ公国やオーラエ国へ再三に渡り援軍を催促しながら国内の民を兵力へ増殖させるため進軍が進まない。両陣営とも対戦する痛みを想像しながらもジリジリと近づいていく。
一方、エヤ王国からの必死の想いで脱出した人族の難民は、勇者率いるグラデ王国の軍に助けを求め、合流し、戦える者はその軍に加わっていく。
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いよいよ明日には両軍が対決するかもしれないという緊迫した中、勇者率いる人族のグラデ王国の軍は決戦を前に奮起すべき夜会を開く。けたたましい太鼓の音や奮起する兵士の声の中、勇者は壇上に立ち、大きな声で兵士に応える。
「皆さん!私達は強力な力を持っています。
魔国の兵など敵ではありません!」
その声に兵士は更に歓喜する。
勇者の力があれば悪しき魔国の兵は動きが取れず、我々は無敵だと。その騒ぎは魔国の兵を脅す意味を兼ねて夜遅くまで続いた。
夜も静かになった頃、黒髪の黒目の少年少女達と騎士達が大きな天幕に一同に集まり、話し合いをする。
「いよいよ今夜だな、裕子頼むぞ!」
「そうだ!裕子の力と隆の力があれば俺達は無敵だな」
「でも、怖いわ。1回の発動で持って40秒ぐらいだし、今回は魔国の兵も多いって聞くわ、」
「健二と美津子のマナ回復があれば、大丈夫だろ?それに今回グラデ王国の騎士も多いし」
「いよいよ俺のスペシャルスキル”メテオ”を出せるし!」
「おいおい、あんまり威力出すなよ」
「問題は魔国の軍までどれだけ安全に近づけるかだな」
「安心してくだされ、勇者様!我らの早馬と護衛で必ず守ります!」
グラデ王国首都を奪還した実践を経験した彼らは勝利を確信していた。秘密裏に計画された作戦で魔国の軍を完膚無きまで叩き潰す作戦。
作戦名夜明けの光
それは単純な奇襲攻撃。
夜明けに屈強な騎士と共に魔軍に近づき、勇者の力で時を止めて、メテオやエクスプロージョンなど凶悪な広域攻撃魔法をぶっ放すというもの。攻撃成功後、人族の軍が一気に侵攻して駆逐する。
天幕の一同が誰とも無く乾杯と言い、緊張をほぐす為、果実酒を飲む。
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数刻後、勇者達の生首が次々とドロドロ血を垂らしながら床に転ぶ。そして、殺戮聖団の少年少女が床に倒れている勇者と騎士の首を次々と刈って行く。
「こいつら本当に勇者か?毒入り酒ぐらい分かるだろうに」
「無駄口叩かないの!ほら、そこアイツはまだ生きてるよ!早く」
「分かったよ!」
「お…おまえら…この前きた難民兵だろ、なんでこんな真似を」
夜明けに勇者の天幕は燃え上がる。
その煙を合図に魔国の軍が一斉に進軍を始める。
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