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コラルド戦記  作者: 油兄貴
魔国創世
48/52

勇者のくせに生意気だ

適度に更新

誤字脱字ありましたら、ご指摘くださいませ。

「恐ろしい強さの人族が5名、

 現在神殿入り口にて我ら護衛隊と交戦中です。

 魔王様!すぐ非常口よりお逃げくださいませ!」


鬼人族(オーガ族 )の護衛が慌てるように膝を付き報告をする。


いやいや大丈夫だ、慌てるなと手を翳して言う。人族とそれ以上戦わず、負傷している者や神殿内にいる信者を無事に逃すように伝え、無事に脱出次第、入り口を封鎖せよと指示を出す。ですが…という彼に強くいうと渋々交戦している方へ向かった。


報告の人族は5名。魔術を使うという。

まだ数キロ先にいると思われるが、ビンビン感じるぞ。

うん、強い。多分俺勝てない。


自分より禍々しい格好の魔王人形を作り出しを王座に配置。

奥の脱出口へ身を隠し内部の様子を探る。


------------------------------------------------------------------


「裕也さぁ、案外楽勝じゃね?」

「あぁ、最初は数で手こずるかな?と思ったが、

 途中から皆逃げていくからな」


長剣を肩に担いだ少年と斧を持った少年が会話する。


「でもさぁ、罠とかあるんじゃねか?

 さっきから壁に魔力を感じるぞ」

「そうよね、気になって調べたけど、コレ封印系だよ?

 もともと魔王が封印されていた場所なの?」

「知らねぇが、俺達は魔王を殺せばいいだけだ」


5人の少年少女がゆっくりと神殿を進む。

そして彼らはこの旅の振り返りそれぞれの思いを胸にする。


エヤ・グラダの両王国が召喚した5人の勇者。

チート級の強さを秘め、幾度かの”魔物”を倒しながら、

この神殿に辿りつく。だが、敵の数の多さに山間を抜け

何十日も掛けてここに辿り着く。


王に言われた言葉を思い出す。


”行け!勇者よ!

 魔王を倒し王国に平和をもたらすのだ!”


呼び出された時、5人は戦争道具だ、本当は人族が悪いだろ?と思案試行と戸惑いを得ながらも残虐な魔国軍の行いに感化され辛い修行を越えここまでやってきた。


「ねぇ…たかし。魔王を倒したら…私達」

「ああ!一緒になろうな」

「んひゅー!妬けるなぁ!」

「裕也も私の事!」

「ああ!もちろん」

「ちぇ、独りは俺だけか!」

「何いってんだよ王女とラブラブなんだろ?」

「あは!バレたか!」

「「「「「あははは」」」」」


そんな緊張感の無い会話で王座に辿り着いた時、

奥から低い声が聞こえた。


「おい、お前らお遊びは そこまでだ!」


5人はそれぞれ手にした武器を構える。

王座に鎮座する禍々しい姿。

山羊のような大きくカーブを描くドス黒い角、

人の血で染めたような漆黒のローブ。

覗かせる指先から見える鋭利な刃物のような爪。

そして邪悪な顔とゆっくりと粘液を垂らしながら覗かせる牙。


「オマエが魔王か!悪いが死んでもらう!」


「お主らが召喚された勇者か…?

 お主ら人族からこの戦を始めたのを知ってるのか?」


「な!?なにを!!」


え?なにそんなブラフで動揺すんのか?少年少女達。

非常口から覗きながら口元にゴーレムに繋がる拡声器で小芝居中。

うん、まあこれくらいの楽しみはいいかな。

あと、封印をする時間も稼ぐ必要もあるしね。


「あー、あれだ、我も異世界より呼び出された者、

 お前ら人族が我ら同志を…」

 

 「嘘だ!」

 

勇者が叫ぶ。


「うん、嘘、そして死ね」


ゴゴ…と唸り声を上げて壁のレリーフに偽装した警備ゴーレムが動き出す。その数30体。まぁ、どうせ負けると思うけど時間稼いで欲しい。


「たかし!右のゴーレムを頼む!」

「おう!任せた!」

「加奈子はバインドで奴らの動きを!」

「わかったわ!」

彼らのナイスチームプレーの掛け声が聞こえる。

すごい強いな、奴ら。


その時、神殿入り口から封鎖完了の念話が入る。

入り口は数キロに渡って封印の術を含む石材や土砂で封鎖したと。


こちらもいいかと考えて、

非常口をしっかりと外から施錠して天井の仕掛けを発動する。

天井が崩れ封印の術が仕掛けられた土砂が降り注ぐ。


悪いな勇者。

俺の時の封印と違い、

そこは時が止まらない。


転移も出来ない。

魔術で内壁は壊れない。


-----------------------------------------------------------



「 裕也!ゴーレムは全部倒した!」

「加奈子!怪我は!?」

「大丈夫!それより…たかしは大丈夫!?」

「ああ、問題ない!」

「由衣は大丈夫か?」

「大丈夫!」

「おいおい、俺も心配してくれよ!」

「お前は死なねぇだろ!」

「「「わははは・・」」」


「さあ!魔王!命をもらうぞ!…ん?あれ??」


一同は禍々しい魔王を見つめるが、倒れる魔王人形。

状況が掴めない勇者5人。

暗くなっていく神殿内。


「どういう事!?」

「とりあえず光を!加奈子!光魔法を頼む!」


光を灯した勇者は周囲を探り。

閉じ込めれた事に気付くのにそう時間が掛からなかった。

収納の魔法の袋から食料や天幕を出し脱出できないか模索する。


この神殿内では内壁に埋め込まれた術のせいで、転移の魔法が使えなかった。急いで入ってきた神殿の入り口まで戻るが、天井が崩れ進めない。歩いた距離から1キロ以上は土砂で埋まっていると彼らは気付く。


内壁を削ってどうにか転移の魔法使えるように努力するが、幾重に埋め込まれた封印削るのは困難だった。勇者達は僅かな望みをかけて入り口の土砂を少しずつ運ぶ。


鼠や虫は入る隙間があるが、人が通れるまで土砂を運ぶのは至難の技だった。だが少しづつでもと作業を続けた。


ここから出るために。


この神殿の恐ろしい点は魔力が回復しないという事。

幾ばくかの回復飲料があるが、それも有限。


勇者達は絶望と希望を残して日々土砂を運ぶ。



勇者達の収納の術から食料が無くなる。

水魔法で水のみで凌ぐ。

時々見つかる虫を火で炙り口に入れる日々が続く。


王座の後ろのある非常食と思われるものを口に入れようとしたが、仲間が毒があると感知し、手を付けなかった。だが空腹で仲間のひとりが食べ、数日で血を吐いて死ぬ。どうせ死ぬならと生き残った仲間がそれぞれ手を繋き、毒入りの非常食を食べる。


魔力が切れ、暗く闇に閉ざされた闇で

勇者達は冷たくなっていく。



------------------------------------------------------

「魔王様、内部の人族が息絶えたと、

 鼠人族(ラット族)より連絡がありました」


うん、よくやった!

それにしても結構持ったな…

5ヶ月は生きてたぞ奴ら。

土砂どかして出てくるかとヒヤヒヤしたぞ。


まぁ、結果オーライ。


そして取り敢えず魔王()の平和が守られた。





















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