平和を壊すのは勇者
平和って難しいですね
デベール・グラゲンダ統領長は魔王が扉から出ていくのを見送り、
皆を一巡見て言う。
「魔王様の言葉を聞いたな?
我ら其々を想う魔王の気持ちを受け忘れず、
富国強兵を!」
「そうだ!我ら狼人族 も更に兵を増やす!」
「いや、それこそ鼠人族の役目!」
「はは!では我が蜥蜴族と競おうではないか」
「いやいや、豚人族も負けぬぞ!」
誰となく拳を突き出す仕草を皆が真似て議会は一つになった。
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俺は議会を抜けて部屋に戻ると、読みかけの本を読む。
議会がどうなるかわからんが、俺は知識を集めて、
再び封印されないように足場を固めるのが一番だと、
窓の外を見ながら溜息をついた。
その日の夕方にはデベール・グラゲンダ統領長が部屋に来て、
議会は富国強兵で兵を増やし、他国への侵攻は時期が来るまで行う旨と、
既に制圧した地域の中で魔王の信者なる者を育成しつつ、
他国へ偵察という事に決まったと報告に来た。
それが一番だなと、俺は返事をすると彼は深く頭を下げて部屋を出て行った。
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翌日から俺は元ベンダ帝国のキャブ・キャロウェイ”元”魔法局長と、
魔法について何か知識を貰えないか会話したが、
何も得られず自堕落な日々を過ごす事に。
数日に一度会議に呼ばれて、”うむうむ”と返事をし
それ以外は本を読み、牙むき出しの鬼人族の女性にマッサージをされる。
時々、魔王に面会したいという信者?に会っては会話したり。
変化はないが安定した生活だよね?と気がつけば1年程が経過した。
もう魔王様が人族に侵されないようにとデベール・グラゲンダ統領長は
魔王親衛隊など結成したりと頑張ってはいるとは報告を受けたりはしたが。
富国強兵も順調のようだ。
些か民の比率が兵が多すぎるぐらいに。
備えあれば、憂いなし。
変化があったのは木々の葉が落ち始め、
季節が秋になろうかという日の会議だった。
「魔王様、偵察として他国に出している間者からの報告で、
エヤ・グラダの両王国が勇者を召喚したとの事です」
デベール・グラゲンダ統領長が伝えてきた。
え?なに?その勇者って!?ドラゴ●クエストみたいのか?
今まで聞いたことも本にも書いてなかったぞ?
というか召喚なんて魔法あったのか!?
キャブ・キャロウェイ”元”魔法局長のおっさん
何も言ってなかったじゃないか!?
急いで会議にキャブのおっさんを呼ぶ。
「南方諸国の王族にはそういった封印されている
魔法があるとは噂では聞いていましたが…」
ばつが悪そうに答えるキャブおっさん。
デベール統領長にそれで?
現状はどうなんだ?と顔を向けて聞く。
「それが我々もあくまで情報だけで…」
聞くと我が魔国の兵力に恐れを抱いた両王国が、
戦力として未知なる力を有する者を、
次元の狭間から呼び出したという。
民に告知され、平和が近いから
大丈夫だと民の祭りの時に告知があったと。
あ、これは、やばい奴だ。
呼び出すってなんだよ、
召喚って…って、
あれか?チート少年が奴隷ハーレムしながら
突撃してくる予兆だろ。
「その…チート少年というのは分りませんが、
人族には同族を奴隷として扱うというのは聞いております
そしてその勇者というのは女性の従者がいるとか…」
なに!?
俺は椅子から立ち上がる。
「エヤ・グラダの両王国を攻める!両国の民を皆殺しにしろ!」
「魔王よ!どうされたので!?」
「時は来た。それだけだ」
キレてないですよ。俺をキレさせたら大したもんですよ!
「さすが魔王様!我が鬼巨族 もいつでも!」
「狼人族が いち早く両王国は滅ぼします!!」
「かの国の民は我ら鼠人族が食材にしてみせます!」
「いや、我が鬼人族こそ!」
「既にゴーレム兵も国境に配置ずみです!」
俺は言う。
「魔導遠隔兵器を惜しみなく使え!圧倒的な魔術と戦力で皆殺しだ!」




