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コラルド戦記  作者: 油兄貴
第3章 戦争の始まり
43/52

災害は起きないと分からないという事

「何を戯言を!能なしの鬼人族(オーガ族 ) 如き。

 その攻城兵器もベンダ帝国のだろう。

 そのオーガ族は歩兵で荷運びだろうが?

 臆病風に吹かれたか!」


「ですから!、偵察の報告では!」


「黙れ、平民上がりの中佐如きでワシにモノを申すな!」


「まったく中佐には困ったものですね。

 我々の兵力を考えれば鬼人族(オーガ族)が如何に強かろうと、

 この要塞の街で守りを固め、兵力を見て転じて攻撃。

 戦略部の癖にそれも分かりませんか? 」


ジュリオ中佐は呼びかけ集めた軍部上級士官以上の階級者に罵倒された。

それでも屈しず根気よく説明を続けるが誰も聞く耳を持たなかった。


「そうだぞ?中佐、お前は戦略担当として情報を伝え、

 知事達に報告をすればいいのだ」


「それに野蛮な土人が魔法を?それに撤退を??

 そんな話は聞くに耐えない」


----------------------------------------------------------------

危機感を覚え早急に会議を開いたが、そこには同階級以上とはいえ貴族知縁の軍人とは名ばかりの腐った軍部の反撃を受ける。あっさりと招集した会議は始末書を提出せよと締めであっという間に終る。


「一体…どうしたんですか?中佐?」


パオリーノ少尉が会議が終わったと室内に入ると、

独り残され、報告書を握るしめるジュリオ中佐に声をかけた。


「ああ、すまない少尉にも迷惑を」


「いえ、いいんですよ、

 それより何故 早期撤退だなんて考えたのですか?」


少し悩んだジュリオ中佐は、パオリーノ少尉が信用のおける人物だと考えてから、

剃り上げた頭を撫でながら答えた。


「ああ、俺の祖先が残した家訓だったんでな?」


「家訓??」


躊躇うようにジュリオ中佐は言う。


「笑うかも知れないが、

 ”封印した魔族が魔王となって我らを滅ぼしにくる時が来る

 この紋章を見たら直ぐに逃げろ”と家訓でな、

 今でも実家の暖炉の上にはその家訓とこの印がな

 ほら…この紋章だ」


ジュリオは首からネックレスを出し、

その先のペンダントを見せるように言う。


「え!?魔王!?それって家訓って?

 ジュリオ中佐の家って由緒ある…それなら大変な事じゃ!

 いやいや、それよりこの後どうするんですか?

 逃げたら処罰されますよ!!」


「ああ、申し訳ないが、俺は逃げる。

 会議前に高い金額出して実家にも会議前に早馬の便で先程伝達を出した。

 実家も家訓に従いマルタ辺りに避難するだろうな。

 お前も命が惜しければ逃げるのが一番だ」


立ち上がり、会議室を出ていこうとする中佐に彼はすがるように聞く。


「そんな!いつ?いつですか?」


「悪いが、もう出る」


「中佐!俺も!俺も行きます!」


少し悩んだジュリオは”信用をおける人間だけだぞ”伝えて自分は南門から直ぐにグヌリに向かうので来る気があれば追って来いと伝えた。治安兵に嗅ぎ疲れるのは困ると大急ぎで馬と装備を揃えて数分後にはジュリオは南門から出た。一刻後にはジュリオは街が見えなくなる距離まで来た。


ジュリオが考えた。

逃亡兵は即処刑が世の常。

だが、逃亡を追ってくる治安兵も戦を目の前に街からは出ないだろう。

今はしか逃げるチャンスがないのだと。

そう考えて夜空を見上げると綺麗な月が見えた。


ソビッティ国戦略部、ジュリオ・アンドレオッティ中佐とパオリーノ・タデイ少尉が率いる30名は2日後にはシテソ王国へ逃げた。



-----------------------------------------------------------------------

鬼巨族(ジャイアントオーガ族)のエルンスト聖戦長は報告を受ける。


「先鋒からの連絡では兵士が数十名が街を出て西に向った模様です」


「何かの作戦か?だが数十人か。

 シテソ王国に援軍要請か?」


「分かりません。どうしますか追って殲滅させますか?」


「まぁ、いい、援軍が来る前に占領すれば良い事。

 今から隣国へ援軍を出しても間に合わないだろう。

 このまま魔導砲が届く距離まで先鋒と偵察を抜かりなく行い、

 本隊が到着次第、魔導砲で一斉射撃だ、いいな?」


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それから2日後の夕刻、まだ日が見える時間にエルンスト聖戦長が率いる軍は、ボスアニの街が射程距離に届く位置に辿り着き、陣を設置した。その後、彼らは運んだ資材を組み立て大きな筒状の”何か”を10基以上組み立て終わる。


ボスアニの街の兵はそれを見て、

”土人が怯えて遠方に陣を張った”

”白旗上げる塔を立ててるのか?”と皆で笑っていた。


日が落ち、辺りが暗くなった時、

オーガ族の軍の”筒状の兵器”から一斉に光が街へ向かった。


光を浴びた塀や建物は赤く光り溶け出して火を噴き出し、浴びた人族は泥のように解け、叫びながら死んでいく。そのオーガ族の軍は街から逃げる人族も含めて朝まで光の射撃を続けたという。



その一夜でソビッティ国のボスアニの街は滅びた。

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