大切なのは勝つこと
誤字脱字 生温くヲチと指摘をお願いします。
「申し訳ございません…
ガルディ副官房長には逃げられました」
サウスベンダの街の臨時駐屯地にて、
チェット・ベイカー軍部曹長は部下から報告を聞いた。
壮年期を過ぎ鍛えられた風貌
その彼の動作を報告した部下が不安げに挙動を見守る。
彼は手で短く刈り上げた髪を撫でてから、
口元に手を当て”そうか、で?”と更に報告を部下に促す。
「バーデフ総務局長、ベロデグス軍部局長
フレッド・アステア官房長は拿捕済み、
現在尋問中ですが、大帝は北に逃走したのではないかと…」
報告の途中で脇に座っていたローブを着た男が割って声を上げる。
「”元”魔法局長の老害はどうした?」
「はい、それですが、報告ですとガルディ副官房長の馬車に近くに、
キャブ・キャロウェイ魔法局長の馬車もあったとの事」
「ほう、では一緒に逃げ回っているのか」
「ジミー・スコット魔導師よ、
やはり元上司は気になるのか?」
「いえいえ、ただ元上司の始末は部下の役目ですから」
ニヤリと笑い杖を指先で回す。
チェット・ベイカー軍部曹長は椅子から立ち上がり、
目の前の部下に強く言い放す。
「サウスベンダの不安分子と雑種は処刑の準備を!
それと南のオンダラまで進軍する用意!
逆らう者、抵抗するものはその場で処刑せよ
進軍は10日後 年内に要塞を浄化するぞ!」
怒号の様に部下に伝える。
部下が出て行くとチェット・ベイカー軍部曹長はどさっと椅子に座る。
横でローブの男が声をかける。
「どこまで進軍するか…聞いておりませぬが、
南のブレロン要塞跡地の自治区はオーガ族共が
力を蓄えていると聞きますぞ?」
「ああ、だがそこまで力は蓄えてはおらんだろう
まだ占領して数ヶ月程だ。
オーガ共はそこま増えておらんだろう。
そもそも要塞は10,000も兵が詰める事ができない設備。
その3倍の兵とお主ら有能な魔導士がいる。
魔導隊と工兵隊で組織し特化した我ら浄化軍なら、
たやすく落とせるだろう 」
「 そうですな。
卑しい人種どもに我らの聖なる力を見せつけてやりますぞ」
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同時刻、
ウォスラート王は制圧した首都ベンダリオンの謁見の間で、早々に従属した貴族と自身の軍の参謀と今後のついて、会議を開いていた。
「ギロス軍部参謀、現状を報告してくれ」
「は!現在南部中央はチェット・ベイカー軍部曹長が
サウスベンダの街を占領中
首都中心にクリフ・エドワーズ軍部曹長が治安維持
北部の沿岸と東へジェイミー・カラム軍部曹長が進軍
それぞれ問題なく占領進軍しております」
「宜しい、この浄化はダニを一匹も残さない事が重要だ。
少しでも大帝がほざくダニと生活を
信じる者はその場で処刑せよ」
会議の間に同席した6名の貴族も無言で
ウォスラート王の言葉を聞いた。
彼ら6名の貴族も心の中には大帝を信じる気持ちあった。
今までの恩、そして忠義。
決してコルネリアス・カンプルッツ大帝は暴君で無かった。
其ればかりか帝国は巨大な領地を治めるために、
民や我ら貴族の声をしっかり受け止めた出来た人物。
だが、このウォスラート王が進軍した際、
貴族達は既に魔法局はウォスラート王に着くことが決まっており、
首都の軍も半数が寝返っていると。
その事実事態が知らされた事で、貴族達は悩んだ。
____この革命は成就されるべく何年も前から用意されていた。
今、忠義で大帝を守って何が残るかと。
ウォスラート王は貴族達に考える間も与えなかった。
抱える領地、家族、民と自身の義を天秤に賭けた。
戦に勝って権力と地位を得た者が栄光の未来を紡ぐ事ができるのは、
貴族であれば誰でも分かる事。
彼らは首都についた自らの兵と共にウォスラート王に従属した。
そう彼ら6名の貴族はこれで良かったと、
お互い無言で顔をあわせ頷いた。
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コラルド歴 2125年 帝国暦 652年 12月10日
事実上、首都ベンダリオンを制圧したウォスラート王により、
652年に渡るカンプルッツ家の首都での帝国支配が終わった。
それから10日後チェット・ベイカー軍部曹長を率いる
第15帝国 浄化軍とウォスラート王に加わった貴族の兵
35,000の兵は南へ進軍した。
その時、彼らは増殖するオーガ族が率いる亜人と
過小評価しすぎていた。




