どの世界でも老人は話が長い
誤字脱字 生温くヲチと指摘をお願いします。
荷物満載のキャブさんの荷馬車に乗り、東門へ。
馬も荷馬車も結構頑丈で高級そうに見える。
「この荷馬車はのぅ!
大帝に箱馬車に躯体に車輪を改造して、
それでの!この座る場所も、ほらほら!
お尻が痛くならないようにバネがの!」
キャブ元魔法局長は良く喋る。
「あの?他に行く人は居なかったのですか?」
「それがのぅ…城から出たら、
魔法局の奴らは皆 ウォスラート王側には付くし、
城に戻ったら大帝は避難した後でのぅ
仕事一筋だったからのぅ。今まで」
定年した会社員みたいな状況は。
「でも、ほら、キャブさん魔法局で、
元魔法局長でしょ?ウォスラート王だって
無下にはしないのでは? 魔導師なんだし」
「あーそれは無理じゃ、
ウォスラート王とは数年前に帝国会議の時に、
喧嘩してのぅ…それに魔法局は人族ばかリだが、
ワシは反対の立場での
”他の種族の方が魔力がある場合もある”という発言で、
まぁ…どちらかというかワシは組織には向いてないんじゃな。うほほ」
ああ、この人は浮いてる存在だったのか。
そう聞きながら彼の言葉をはいはい聞いていた。
東門へは直ぐに辿り着き、そのまま馬車は避難する一行を同じく南下した。
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途中、街道を外れて東へ向かうので、キャブさんに聞いてみると、
盗賊も含めどこかでウォスラート王は幹部を狩るじゃろうと言う。
日がすっかり落ちて、ブレーダスの東に丘から崖になっている場所で、
馬車を止め、今夜は野宿するという。
相変わらずキャブさんは魔法局の歴史や、組織の難しさを語る。
話が長いので総括すると、
キャブさんは首都生まれの魔法勉学育ち
魔法使える奴はだいたい友達と。
魔法局は25歳の時に入ってそのまま出世
魔法の腕は程々だが知識は負けんぞ?というスタイルらしい。
キャンプ用のコンロみたいのを嬉しそうに荷から出し、
手から水を出して沸かしつつ肉やら野菜を入れて、
キャブさんは料理を作り始めた。
まるで旅行というかキャンプに来ているような。
嬉しそうに”ほらこの肉はコカー鳥じゃ、美味いぞうぅ!!という
キャブさんに、はぁそうですかと相槌打ちながら肉を切ったり、
箱から皿や器を出して手伝う。
程なくしてごった煮の雑炊のようなのを渡され、
コップにワインを注がれて飲む。
いや、キャブさん”乾杯ー!”ってなぜ嬉しそうなんだ。
この雑炊はなかなか美味いですね?と聞けば、
”そうじゃろ!そうじゃろ!これはな!城の調理場からのぅ!!”と、
嬉しそうに答えて話が止まらない。
良いが回ってきたのか更に饒舌に。
「で、キャブさんこの後どうしますか?」
「そうじゃの!まずは南下して自治領…
いや、他の国へ向かうか!?海を越えてマルタ国!
いやいや!ソビッティ国かの!?
ああ、ここは南のシテソ国も行きたいのぅ!
今まで76年間首都出たことがないからのぅ!」
完全に旅行気分だ。
この人…。
聞くと一切休みなく働き出世はしたが、
王都から出た事がないという。
悲しい日本のサラリーマンとかぶる。
いやサラリーマンだって出張ぐらいある。
危なく無いのですか?ほら、ウォスラート王の軍とか兵とか?
そう聞くと”残虐魔導士が入れば大丈夫じゃ!”と、他力本願ぶり。
「ブレロン要塞の件は資料で読んだぞ?
それにシュタインメッツから転移使えるとも聞いた。
なら安全じゃろ?」
大丈夫かこの老人は?と思いながら
周囲に探索をかけるが近くに兵は居ないよう。
まぁ崖でこちらの火も見えないだろうと、
その夜は修学旅行の生徒並にノリノリのキャブさんの会話を
夜遅くまで聴き続けて眠りに付いた。
魔法の事を聞きたいのだが、どうもこの人は話が脱線するし。
まぁ、寂しい老人の事だと割りきって話を聞くに徹した。




