独りで逃げろ
誤字脱字 生温くヲチと指摘をお願いします。
街道の脇に倒れている馬車のオッサン2人は、
額を割られて見るからに生きてるようには見えなかった。
手練の冒険者じゃなく只の無謀だったのか?と思いながら、
周りを探索すると500メートル程先の森の中に
人族の集団を感知する。
ひとまず馬車は安全で危険がないと判断して荷馬車に近づく。
荷は全て無くなっており、持ち物も服以外は無くなっていた。
盗賊かなんだか分からないが、この先は危ない事は変わりない。
500メートル先って事はこちらに気づいて、
近づくをの待ってるのか知れない。
荷馬車の一部を魔弾で壊して、乗れるぐらい板を取り出し、
御者台に引いてあった布のクッションを付けてまたがり、
魔力で100…200メートルと上空に上がる。
非情だが死んだおっさん2名も先にいる人族にも関わらない事にする。
上空に上がると、高さの怖さより肌寒さで震える。
まぁ落ちる事さえ気をつければ思いながら。
高さを増すと先に見える首都とそれを囲うように、
ウォスラート王の軍であろう陣営が見えてきた。
首都の西門を半円に囲み、絶えず弓矢や魔法を打っている。
首都側も応戦しているように見えるが、
距離をおいてそれぞれ近づいてはいない。
奥に大きな丸太に金属をつけた破門兵器が見えるが、
まだこれから攻める処なのだろうか。
首都の城壁内にはいくつか火の手や煙が上がっていて、
その先を見ると、東門から多くの馬車が逃げるように
出て行くのが見えた。
西門中心に戦闘が行われている模様だが、
この世界の戦争は陣地を占領する事が主流なのだろうか。
東門から逃げていく馬車達にはウォスラート王側は攻撃をしていない。
首都上空から一気に降下して、
お世話になっているシュタインメッツ邸宅へ
間借りしている部屋のバルコニーに降りて街並みを見る。
各家々に馬車がつけられて荷物を運び出してるの見えた。
皆逃げ出してるのかと、思いながら部屋の中に。
階下から忙しい音がするので、ドアを開けて廊下へ
階段を降りて様子を見ると使用人達が大きく開かれた玄関へ、
家具や調度品を忙しそうに運んでいる。
「ああ!ショーゴ様!探しましたぞ!
今まで何処に!? いや、お戻りになっていたのですな!」
執事のボウスダさんが此方を見上げて大きな声を出す。
聞くと数日前に首都護衛の兵団は半壊し、
陥落寸前でウォスラート王側からの勧告で
”帝国民族論を未だ陶酔する愚か者は
首都を去れば攻撃はせぬ”
という事で皆東門から逃げ出しているという。
現在人族以外の種族や大帝側の貴族はそれぞれ領土に、
避難を開始している状態で、未だ気骨な兵団は首都へ兵を
進めようとする西門で戦っていると。
「ですが、魔法局にいる魔導師や兵も首都に沢山いたのでは??」
「いえ、魔法局の魔導師殆どがウォスラート王側に寝返りました。
ここにもショーゴさんを探しに何度も魔法局に人が来てましたが、
生憎と不在で此方としてもそうお伝えするしか…」
執事ボウスダさんは後ろで荷物を運ぶ使用人に、
しきりに指図をしながら答えてくれる。
もう直ぐに護衛の騎士も来るので首都を出るというので、
是非一緒にと言われたが、こちらは別に行動しますと別れの挨拶をする。
「ショーゴ様程の魔導師なら危険は無いと思いますが、
避難する街道沿いは追い剥ぎなど危険もあります。
気をつけてくださいませ 」
その他、街の様子を聞いたが、騒然として移動の馬車や護衛を頼むので、
精一杯だったという話を聞いていると門前に20名程の騎士が来て、
急いでくださいという掛け声で、彼らは蜘蛛の子を散らすように、
出ていき、あっという間にガランとした無人の家に取り残された。
うーむ。
此処に来て帝国魔法局に入る前に帝国魔法局が無くなったのか。
いや、浄化運動側の魔法局になったという事か。
そもそも論だが魔法局に入りたい訳でなく、
この帝国の軍に巻き込まれるのが嫌で、
エストに言われて入る事になったのだが。
入れば入るで知識もつくかなという下心もあったが。
とりあえず、どうなったか分からないが、
騒がしい街並を見ながら、魔法局へ行ってみる事にする。
危なければ逃げればいいし。
------------------------------------------------------
辿り着いた魔法局は火災があったのか焦げた臭い。
焦げた石造りの部分だけ残して廃施設のような状態だった。
近づいて中を覗くと本当に火災があったようで、
焦げた臭いと水びたしになった床。
魔法局の職員かもしくは魔法の事で書いてある本でも
あればと思ってたのに。
「ほう、お主 反逆側に回らなかったのか? 」
声をかけられて横をみると建物の入り口の階段の端に老人が1人。
安全の為、杖を構えて魔弾を打てる状態とろうすると老人が口を開く。
「 警戒するでない
その白いローブに紋章…そして大きな杖、
お主”ショーゴ”だろう?残虐魔導士と異名を取る」
「残虐魔導士ってのは分かりませんが?
おたくはどちら様ですか? 」
「なに取って喰うつもりはない。
ワシはな、この魔法局長のキャブ・キャロウェイだ。
いや、元魔法局長だった…だな。
まさか、局員も生徒も全員ウォスラート側に寝返るとは、
思いもせぬ事でな…」
うぉ、いきなり魔法局長。
お偉いさんでは。
聞いてもいないのに元魔法局長は話しだす。
普段は大帝の側で顧問をしていて、
ウォスラート王が出兵した際に急いで魔法局へ戻ると
火が放たれ殆どの魔導師が首都を出て、
ウォスラート王側に付いていたという。
更に大帝側の貴族も幾つか謀反を起こし、
ウォスラート王側についたと。
「数年前からその予兆はあったのだ、
この魔法局も人族ばかリでな…そういう選民論も。
今となってはもう遅いがな…」
キャブ・キャロウェイ元魔法局長は、
しょんぼりと公園で佇むリストラされた会社員並な雰囲気だった。
というか話し方がクドイというか、
聞いていると”その話は長いのですか?”と
途中で聞きたくなるタイプの人だ。
散々、彼は魔法局はワシが育てたとか、
今の若者は分かっておらんとか話が続く。
気が付くと日も落ちかけた頃。
もう帰ろうと思って一応キャブさんに聞く。
「で、キャブさんはこの後どうされるのですか?」
「ウォスラート王は帝国の幹部は生かしておかないだろう。
投獄されて処刑されるかものぅ。
ワシは家族は居ないし行く場所も思いつかん。
ここで死を待つ他ないじゃろ?」
こちらをチラチラ見ながらションボリ言う。
これは面倒くさいタイプの人だ。
まぁ、あまりにも可哀想だし、
一言声をかけておくか。
どうなるか分からんしね。
「じゃ、一緒にシュタインメッツ家か、
大帝に授かった自治領か…
それか他の国でも一緒に逃げます?あはは」
「え?本当かの!?
そうか!じゃいくぞ!うむ!すぐ行くんだろ?
此処は危ないしのぅ!
あ、荷物!そう荷物があるし馬車とか!
いやいや!ワシが用意する!待っておれ!!」
声をかけると、キャブさんは元気になって立ち上がり、
老人とは思えないぐらいに駆け足で魔法局の裏手に走っていく。
あれ?なんだ。
そう思っているとあっというまに荷を満載に積んだ荷馬車に乗って、
キャブさんが出てくる。
「ほら!ショーゴ!いくぞ! 乗れ乗れ!」
キャブさんもしかして、
逃げるのに誰も誘ってくれなくて、
ここで待ってたんじゃ…




