軟禁 封印 地下室の日々
誤字脱字はあると思います。
こちらも時間がある時に直しますので、
見つけたら生温かい感じでお知らせを御願いします。
気が付くと、見知らぬ暗い石造りの天井、そして横には骸骨。
「な!なんだ!夢じゃなかったのか!」
ガバッと上半身だけ起き上がり叫ぶ。
「ええ、そうですよ?寝起きなのに元気ですね、さすが魔族ですね」
横を見ると骸骨は両腕の手のひらを上に向け、
やれやれというポーズをして呟いた。
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起きて意識が明確になってくると、まるで経験したような記憶が蘇ってくる。懐かしくも悔しい記憶。討伐隊と名乗る人族が魔法をバンバン撃ってきて住んでいた家を襲撃。命辛々、血をダラダラ流しながら応戦して地下室へ逃れたが、地下室ごと封印された。
果てしない時間、閉じ込められて絶望の中、
___永い試行錯誤の上、脱出の方法を模索し方法を見つける。
別次元、別の世界で自分と同じ波長の魔力を持つ物を召喚し、その召喚した者と入替えで自分を召喚させる。だが、別の次元で自分と同じ波長の魔力を持ったものを召喚するなど、海の中で針を探すような気の遠くなる確率。いや、押し寄せる波から同じ形の波を探すようなものだが、探し当てた。遥かに長い時待ち焦がれた瞬間。そして俺がここに召喚されたと…。召喚なんてモノじゃないな、単なる立場を交換された。
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「それで、ご主人様どうしますか?」
どうしますかって、知識からこの地下室から出られないのは分かっているが。
落ち着け…俺。
まずは現状を再確認しないと…
そうだそれが仕事でも生活でも基本だ。
「 念の為…今の状況を説明して貰えますか___ほ…骨さん?」
「骨さんですか、いいですね、
一応アペランザって名前ですけど、
まぁ…いいですよ、骨で、ええ骨で……骨か… 」
「アペランザさんですね」
「そうそう、アペランザです!ゴホン、え~と…ですね」
「俺は田中祥吾です」
「あ、どうもご丁寧に」
骸骨のアペランザさん名前呼ばれて嬉しそうに軽く咳払いをして話始める。だが咳払い必要あるのだろうか?骨なのに。さもさもしく話すアペランザさんの話は頭の中にある知識と同じだったが、断片的な記憶より多少詳しかった。遙か昔、前のご主人は魔族で旅の末、この地に辿り着き住まいを建て生活していた。流浪の民や近くの集落の人間も集まり村になり、アペランザさんを召使いとして雇い一緒に生活をしていた。…だがある日、人族同士が戦争を初めて協力しろと要請してきた。人族同士の争いは御免だと断るが、「反乱の民」という旨の通達が来て、剣や魔法を使う人族が集団で来て殺されそうなり、地下に逃げ込んだのはいいが、そのまま封印されたという流れ。
ぬぅ…。
お伽話やファンタジーの中の魔人ってすごく強くて人族なんて敵わないっていう設定じゃないのか?
「あの、アペランザさん?魔族っていうと俺の知っている範囲では、 凄い魔法とか使えるとか最強とかいうイメージなのですが、この経緯は一体何ですかね…」
「ご主人のイメージっていうのが分かりませんが、魔族っていうのは人族より魔力が多くて、寿命が長いぐらいですよ?エルフ族より長いとも言われていますけど…私もその辺は詳しくはないですね。前のご主人もあまり詳しく話しませんでしたし。見た目は人族と変わりませんが…あ、でも角ありません?角?」
角と言われて頭を触ると髪の中にコブのようなモノが頭に2つ有るのが分かった。いつ角が生えた?というか随分と控えめな角だな、これは。
角を触りながら説明を聞くが、首を切断されたら即死。
怪我も治癒させなきゃ死ぬ。
魔力と寿命と体力?以外は人間と同じって事か。
むぅ…。
そりゃ、こちら戦う気が無いないのに、やる気満々で殺そうと一行で挑んでくる殺人鬼には勝てないな。
「で、ずっとこの地下室に閉じ込められて……永遠…なのか?」
恐る恐るアペランザさんに聞く。
「あはは、知っているくせに知識有るのですよね?」
はい、知っています。
記憶にある。
そして、身体にある魔力も衰えつつある事も。
封印で時が止まったのか何だか分からないが、食事や排泄をしなくなった状態で此の侭 封印され続けると魔力が干からびて死ぬって事も。一緒に閉じ込められたお手伝いさんだったアペランザさんも随分と昔に死んで骨になっているし。それもそう遠くない未来に干からびると。さらに、召喚の魔術を使ったから魔力が少なくなり、余計に干からびる日も近い。
その後もアペランザさんと会話するが、この封印から脱出するには封印の鍵となる物を破壊しなければならない。
鍵がどれか分からないが。召喚の魔法も使えた魔族が見つけられなかった封印の鍵を破壊するなんて、無理じゃないか……。
いきなり無理ゲーという奴ではないだろうか。
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数日はどうにかして此処から出られるのでは?
そう思い探しまわったが、無駄な行動に終わった。
10帖程の地下室が2室、地上に上がる階段を探したら本棚の後ろにあった。本棚で崩れた壁を塞いでいた。魔人がこれ以上崩れないようにと塞いだと記憶にもあった。崩れた煉瓦の先に手を入れただけで痺れるような強烈な痛みが発生する。まるで電流が流されるような痛み。どうやら、この部屋から出ようとするとそうなるようだった。魔族の記憶にも痛みに耐えて何度も挑戦した記憶が。
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あれからどれほどの時間が経過したのだろうか。
少なくとも自動巻きの腕時計が動かなくなって数年は経過しただろう。棚にあった大きな砂時計は落ちきるまで3年とアペランザさんに聞いた。その砂時計も既に50~60回は上下を変えた。面倒になりもう放置している。ここに来て100年以上は経過している事になるじゃないか。いつ俺は死ぬのだろうか。あと10年か?100年か?知識を自分の身体を照らしてみると200年ぐらいか?
ポン、ダンッ、
ポン、ダンッ
「ご主人なにやっているのですか?」
カシャカシャと鎧を鳴らし、骸骨のアペランザさんが近くに寄ってくる。
その鎧は必要なのか?
魔力を手に出し、ゴムをイメージして球体にして放ち、本棚の間の壁に投げつける。跳ね返ってきた魔力の弾を受け取り、また投げる。壁相手のスカッシュ。何十時間……いや何日、何年間 やっているのだろう。
「やる事ない、寝ることもない、食事もない、ただ魔力が枯渇するのを待っているだけだろ?どうせ死ぬならこれくらいの遊びだっていいだろ?」
「そうですか、てっきり封印が壊せるか足掻いているのか思いましたよ」
足掻いているってなんだよ。
本棚にある本は殆ど最初の数年で読み切ってしまった。翌年も何度か読んだが新しい発見もない。そもそも頭に中に知識があるのに、知っている技術本何度も読むほど苦痛になる。せめて小説とか漫画とか置いて欲しかった。この世界に漫画があるとは思えないが。1冊だけ魔人の途中まで付けた日記があったが、何も変化もない時間。数ページで面倒だと、途切れていた。
当初は魔法の世界!と多少ワクワクして少しは練習した。だが使えるようになった魔法に至ってもバンバン練習はできないし、使う気にもなれない。理由は簡単……書いてある事が実践できないから。魔術を使うには当然魔力を使うが、封印されている状況下では魔力が回復しない。使えば使うだけ死ぬのが早まるだけ。更にこの狭い部屋で書いてあるファイヤーボールなんて打つ事もできない。
当初は魔力?と上手く体感できなかったが、
今では自分の体内にある魔力も分かるようになっていた。
最大の魔力というのも分からないが、
少なくとも記憶にある「やばい」くらい凄く少なくなっているのは理解できる。
出て行った魔人が随分と魔力を消費して、
このままじゃ、干からびるのも時間の問題だ。
なので、消費が少なく遊びで使える魔弾の表面を弾力増したボールのようにして、
壁に投げて遊んでいる事しかできない。
本当なら、書いてある魔術を試したいところだが、魔力を使えば
干からびて死ぬじゃ……怖くて何もできない。
だが、どうにか脱出の方法をひたすら考えてはいるが。
___封印___この地下室に掛けられた一種の結界というか呪いだな。
この場所から指定した魔力の波長を持つ者は内部からは脱出できない。
脱出するには封印を解かなければならない。
封印の鍵となる物を破壊するか、封印を掛けた者がいなくなれば封印が解ける。
封印を掛けたものがいなくなる…ってそれは死ぬって事。
ならば記憶からするにとうの昔に封印が解けているはず。
だとすれば、外の世界に封印の鍵があるのか。
脱出するには封印の鍵を見つけ出して破壊しなければ。
前任?の魔人の日記もあったが、
始終 封印の鍵をどうにか探せないかと模索している記録もあったが。
外に出られないのでは、どう考えても不可能。
映画とか物語のように、どっかの馬鹿が封印壊してくるとかないかな。
…そうか考えて相変わらず壁に魔弾を投げている。
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あれからどれほどの時間が経過したのだろうか。
そもそも砂時計が3年というのもアペランザさんから聞いただけで、
本当かも怪しい。
ガリガリ、
ガリガリ、
「ご主人なにやっているのですか?」
カシャカシャと鎧を鳴らしてアペランザさんが近くに寄ってくる。
本当にその鎧は必要なのか?
随分と前に、魔弾スカッシュで遊んでいた壁が崩れて土が見えたので、
無駄だとは分かっているが部屋にあった板で土を掻きだしている。
もちろん、少しでも奥に手をいれると強烈に痺れるような痛みがでるので、
恐る恐る…だが。
ガリガリ、
ガリガリ、
暫くとすると、土竜の巣穴らしい空洞があった。
「土竜の巣穴があったので、呼び込めないか試している」
「食べるのですか?」
なぜ、その発想。
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あれからどれほどの時間が経過したのだろうか。
だが、今は多少寂しさと悲壮感が減っている。
キュウキュウ~♪
「おーよしよしモグたん可愛いな 」
「ご主人なにやっているのですか?」
土竜を魔力で眷属化してペット化した。
本に乗っていた技術だ。
貴重な魔力だが、このままでは癒しが必要というか気が狂う。
相手が否定しなければ、自分の魔力を分けて与えている事で
自由に言う事を聞いてくれるペットになる。
既に名前をつけてモグたんとした。
眷属化した土竜は俺の魔力を与えたのにも関わらず、
この結界から抜ける事ができるようで、
現在、俺は数匹の 土竜をナデナデしている。
モグたん、モグたん2号、モグたん3号と…。
魔力を少し与えた所、子犬程の大きさになったので、
仮に結界を破ったら地上に脱出できるように穴を掘り進めて貰っている。
「 土竜に結界を破ってもらえないですかねー」
そうアペランザさんは手を頭の後ろにして呟く。
___その手があるじゃないか
誤字脱字など多く有ろうかと思いますので、
お気軽にご指摘お願いします。
2015/04/18 三点リーダー修正
2016/04/03 校正ツールにて10点修正 主にい抜き表現