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春に香る金木犀  作者: ななくさ
第一章 自然が好きな人
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お友達は小鳥さん




「さってと!ごはんも食べたことだし行きますかー!」



あれから玲が店主に説得をして朝ごはんを食べることができた。アレリアさんも元通りだしあとは洗濯物が乾くのを待つだけ。

俺はアレリアさんと玲が言い争っているのをうしろで見ていながら周りの気配を探る。


スッと風が通った。



『緑の子、軍人がこの街に向かっているわ。気をつけて』



風はそう言って去っていった。


神父の次は軍人か。面倒だな。



それにこの街は恐らくミーレス派。街の家はレンガ造りで至るところに剣や盾、旗印もミーレスのマークを掲げていていかにもな雰囲気だ。昨日のバザーの町は教会派で教会派は家がテントだ。至るところに十字架や像が立っていてわかりやすい。


教会派は別名メサイア派とも言われる。西の国ミーレスは軍人国家であり、中央の国メサイアは教会が自治をしている。俺の帰る南の国はギルドが自治をしていて家の形も様々。教会や軍人を立ち入れずに中立を保っているところだ。


だから俺は早く南の国に帰りたい、軍人や神父にとって今は俺を連れて行ける絶好のチャンスとも言えるだろう。


俺は面倒だ、と思いながら深いため息をついた。




宿に帰ってきて玲は物干し場へ行き、アレリアさんはちょっと買い物行くから玲に内緒ね、と言って出て行った。


内緒といっても荷物が増えるから気づくと思うんだけど。


俺はというと部屋でボーッとしていた。するとコンコンと窓を叩く音が聞こえたのでカーテンを開いて窓を開ける。



『一人かしら、緑の子』

「あぁ、小鳥。一人だよ、悪かったねイケメン居なくて」

『そんなことないわよ。それにしてもターバンもせずにいきなりカーテンを開けるなんて無用心すぎるわよ』

「あーごめんごめん。ターバン暑くてさ」



俺はターバンを巻き直してしっかりと髪の毛を隠す。


この緑の髪は珍しいらしいからイジメや偏見を持たされないために隠せと玲に言われた。



「軍人、来るんだっけ」

『そ。でも今回は安心してもいいわね』

「え、どういうこと?」



安心って、軍人が来るのに安心しちゃって大丈夫なの自然の皆さん。


でもそう思うと神父の時みたいに風が騒がしくないし道を歩いていた猫もあくびをしていた。



『ミーレスはね、実力主義ではあるんだけれどそれ以前に階級制度があるの。階級の高い親の息子がたとえ馬鹿でも実力が無くてもその親と同等の階級なのよ』

「つまり、これから来るのは階級は高いけど馬鹿な軍人ってこと?」

『そういうこと。それに向こうはあなたを女の子だと勘違いをしているからまず女の人を調べ上げて男は用無しってとこかしら?』



なるほど、バレる可能性は低い。でもま



「油断は禁物ってとこかな。ありがとう」

『いーえ、何かあったら呼んでね。すぐに駆けつけるから』


「小鳥との会話は終わった?」

「!?」



俺は振り向くとそこにはにっこりと笑って洗濯物を持っている玲が居た。


小鳥はキャー!イケメンイケメンきたきたきたぁあああとかいってる。



「い、いつから…」

「軍人が来る、てとこかな」



まぁ、重要なことはほとんど聞いていたわけか。俺はため息をつくと肩をがしりと掴まれた。



「そうやって、情報を手に入れていたの?」

「……何、幻滅した?」



まぁそうだよなーテレビとかじゃ遅れて情報がくるのに小鳥や風だとすぐに情報が入る。言ってしまえばこの情報の受け取り方は狡い。


俺は何も言わない玲を訝しげにみるとその目がキラキラと輝いていた。



「え、えっと玲?」

「友達、いたんだね!もう僕心配で仕方がなかったんだよ!ほら、ここじゃ年の近い友達って僕ぐらいじゃない?まぁ小鳥が友達なのはアレだけどあんなに普通に話してた翡翠に僕はもう娘が嫁に行った気分だよ…」



何か、ものすごく馬鹿にされたような…いや多分玲なりに俺のこと心配してくれたんだとは思うけどなんか腹立つな!


小鳥は小鳥でイケメンのキラキラした目って癒されるわ~とか言ってるしもうお前出ていけ。

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