006 未だ名付けられぬ者、服を着る
キャラ名が……!
『貴様ッ! 5回も失敗してやっとできたと思ったら調整終わる前に出すとかどういう心算だッ!』
『いいえ、6回でごめんなさい』
怖いよ。
殴られた頬に手を当ててる座ったままのオッサンを、見下ろしてるお姉さん。視線で人を殺せるなら2・3人位一瞬で殺せそうな眼力です。
……っ、こっち見た……
『クロエ、それの服だ。適当に着せて来い』
『はいはーい』
何も無かったかのように、女の子にもこもこを投げ渡すお姉さん。
っていうかお姉さんの目力をスルーした女の子も地味にすごい。鈍感なだけの気もするが。
そして、両手の空いたお姉さんは、オッサンの服をまるでやくざの様に持ち上げた。……いや、実際に見たことはないよ?テレビなんかで見るイメージだよ?
そうこうしながらも女の子に連れられてすぐ近くの扉に入ると、更衣室でした。
たくさんのロッカーにでかい洗面所、開けっ放しの扉と段差のある奥には簡易な椅子と桶、石造りの浴槽。
……とても、風呂です。
洗面所の台の端にもこもこをおいて、おれから手を放してっ、……こけそうになった。
どういうことだおれ
わからないよおれ
そういえば聞いたことがあるよおれ
ほんとうかおれ
ああ、人間はバランスを保てないとまっすぐ立てないんだ、この体のバランスに慣れていないから倒れそうになったんだろうおれ
なるほどわかったよおれ
むなしいよおれ……
ぷるぷると生まれたての小鹿の様にバランスをとっていると、タオルをはがされました。
寒くはないけど恥ずかしい。鏡があったら生まれたままの自分(比喩でなく)が見れたのに。
そして、女の子がさっきのもこもこを広げて着せてきた。……これ服だったんだ。
紐で留める上下の下着?
白くてもっさりした服。妙にでかくて腰を紐で留める
やっと服着れたのはいいんだけどさ
これ着てると病人みたいな感じがする
『カミラー、終わったよー』
『うおーぅ』
更衣室から出るとすっきりした顔のお姉さんと、ぼこぼこになったオッサンがいました。