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お姫様のいる日々  作者: 月狩朔夜
奏でられないプレリュード
5/13

005 未だ名付けられぬ者、出される

 息を整えている間にタオルで体をわしわしと拭かれる。


 頭……髪の毛が乱れる。肩がくすぐったい。肩まで髪の毛が伸びているようだ。

 顔……わしわしされた。

 首……くすぐったい。

 背中……大きく拭かれる。さっきのぶちぶちで穴が開いているかと思っていたが、凹みも出っ張りも無いようだ。無いのはいいが少し気持ち悪い。

 胸……むにむにされた。むしろタオル越しに揉まれた。

 腹……くすぐったい。水気が残ってる感じがする。

 k……えっと、詳しく描写すると男女どちらでも18禁になる場所……大きな凹凸は無いようです。

 手足……くすぐったい。水気が残ってる。

 と、上から別のタオルが降って来た。


『おい、それタオルじゃないか』

『だってタオルって言われたもん』

『バスタオルに決まってんだろ!』


 横と上で会話しているようだ。それに合わせて上を見れば、おれの入っている透明な円筒容器の蓋になっていたらしい丸と、その底や脇から垂れるコードやパイプ。そして、丸の横から顔を出すオッサン……もといお兄さん。


『とにかく、それ外に出すぞ』

『はーい』


 横の女の子が返事に合わせてさっき降って来たタオルでおれを巻き、小脇に抱え、はしごをすいすい上っていく。おれが軽いのか? こいつのパワーが凄いのか?

 そして、丸……もとい円盤が乗ってる木の床にたどり着いた。そして女の子はおれを抱えなおし、お姫様抱っこ(!)で傍の階段を下りる。お兄さんははしごの回収をしているようだ。


 そうして、さっきまで入っていた透明の円筒容器のそばに行くと、今度は横から手を支えられて立たされる。タオルを巻き直される。わきの下から胸、胴体を隠すように。ぶっちゃけ、風呂上りの女の子のように。いや、さっきのはどう見ても風呂じゃないんですけどね。

 それに、ほとんどのオッサン共……いや、若いのも微妙に居る、白衣の集団がおれを見てる。さっきはわからなかったけど、この人たちのほとんどがおれより背が高いこともあってか、恥ずかしいっつーか正直怖い。


 そして今度は手を引かれ歩かされる。意思確認らしき言葉は貰ったけど返事してないよ? なんて言えばいいのかわかんないけど!

 それよりも、歩くより先に服ください。……これもなんて言うんだろう。

 「ふく」って言って通じなかったらヤだなあ。

 いや、ただ単に首傾げられるだけならいいけど、フックをくれたら悲しくなるかも。

 S字フックならまだしも、華麗な右フックだったらどうリアクションすればいいんだろう。


 そんなことを考えながらゆっくりと歩いて、もとい歩かされていると、何か音が聞こえた。

 部屋の外、……扉の方からドスドス、といった感じの音がだんだん大きくなってくる。

 そして、バンッ、と足音に負けないくらい大きな音を立てて、扉が開いた。

 その音の主、赤い髪と鬼のような形相、左手に謎のもこもこを抱えた白衣のお姉さんが、元々いた白衣の集団の内、一際偉そうな奴のとこにやっぱりドスドスと歩いていき、


『やあ、カミラ君、早かったじゃぶぅ』


 華麗な右フック……!!

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