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お姫様のいる日々  作者: 月狩朔夜
奏でられないプレリュード
2/13

002 未だ名付けられぬ者、目覚める

 暖かい。


 ふと、そう感じた。


 ずっと、このまま居れたらいいのに。


 そう、思った。


『×××××、×××××、×××××』


 何かが聞こえた、気がした。


『×××××、×××××』


 気がした。


『…………』


 気のせいだった。



 ずっと、この中に居れたらいいのに。


 ……中?


 そういえば、水の中に、居る。


 水?


 水。


 ……ここは、どこなんだろう。どうなってるんだろう。



 考えが、まとまらない。



『×××××』


 また、何か聞こえた、気がした。


 ……何を、言っているんだろう。


『×××××』


 気がした。


 何かに話しかけているのだろうか。


『×××××』


 気がした。


 何に話しかけているのだろうか。


『×××××』


 気がした。


 そろそろ、静かにしてほしい。


『×××××』


 気がした。


 うるさいなあ。


『×××××』


 気がした。


(…………)


 何かを言おうとして、できなかった。


『×××××、×××××、×××××』


 何かが、激しくなった、気がした。


 何か、あったのだろうか。


 目を、開けてみた。


『!!、目を開けたぞ』

『!やりましたね、先生』

『やっと、できた……』

『でも、これ、失敗作のはずじゃあ』

『目覚めたのなら仕方ないだろう、もう時間が無いんだ』



 ……沢山の目が、おれを見てた。

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