002 未だ名付けられぬ者、目覚める
暖かい。
ふと、そう感じた。
ずっと、このまま居れたらいいのに。
そう、思った。
『×××××、×××××、×××××』
何かが聞こえた、気がした。
『×××××、×××××』
気がした。
『…………』
気のせいだった。
ずっと、この中に居れたらいいのに。
……中?
そういえば、水の中に、居る。
水?
水。
……ここは、どこなんだろう。どうなってるんだろう。
考えが、まとまらない。
『×××××』
また、何か聞こえた、気がした。
……何を、言っているんだろう。
『×××××』
気がした。
何かに話しかけているのだろうか。
『×××××』
気がした。
何に話しかけているのだろうか。
『×××××』
気がした。
そろそろ、静かにしてほしい。
『×××××』
気がした。
うるさいなあ。
『×××××』
気がした。
(…………)
何かを言おうとして、できなかった。
『×××××、×××××、×××××』
何かが、激しくなった、気がした。
何か、あったのだろうか。
目を、開けてみた。
『!!、目を開けたぞ』
『!やりましたね、先生』
『やっと、できた……』
『でも、これ、失敗作のはずじゃあ』
『目覚めたのなら仕方ないだろう、もう時間が無いんだ』
……沢山の目が、おれを見てた。




