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お姫様のいる日々  作者: 月狩朔夜
奏でられないプレリュード
11/13

011 セプテット、学ぶ

 おれが目覚めてから10日目


 精神的に疲れる日々。どうしてか身体的には疲れていない謎スペック。


 いろんな人達が現れてはおれにいろんな事を(しゃべ)らさせる。

 いや、喋る、というか繰り返す、というか、……復唱?


 とにかく、いろんな言葉を繰り返し口にして。

 こっちの言葉も少し聞き取れるようになりました。

 単語だけなら話せるようにもなりました。


 アクセントがちょっとおかしいのは日本語訛りです。ごめんなさい。


 ただ、……ちゃんと話せた時に小さい肉団子をくれるのはいいけど、逆に失敗した時に鞭を振るのはやめてくれませんか痛いです。

 そして素手で剣やら槍やら持った人達と戦わせるのもやめてください。何故だか怪我(けが)がすっごく速く治っても痛いものは痛いです。

 鞭持たれてにっこりされたら文句なんて言えないよ。


 あと、何故メイド服なんでしょうね?


 あ、名前はやっぱり『セプテット』みたいです。何かこっちでの意味があるのか?




 20日目


 歩き方や喋り方(文章)、さらには立ち方座り方、果ては椅子の引き方や扉の開け方までいろいろ教わってます。

 人形相手にやさしく洗ったりもしてます。なんでも、もうすぐ産まれる、じゃなくてお生まれになられる第二王子様のお世話をさせていただけるとかなんとか。あれ? もしかしてここってお城?


 ……言葉使いこれでいいのかなぁ。


 最近の戦闘訓練(?)は、人形を守るなんてミッションが追加された。第二王子とやらを守れと? 兵士にやらせればいいのに……。



 ちなみに、一人称代名詞(だっけ? 『おれ』とか『私』とか)は、単語としては一つだけどアクセントのつけ方で使い分けをしてるっぽい。

 以前視察(?)に来た、じゃなくて……いらっしゃった、第一王子様の真似をしたら鞭が飛んできたから間違いない。



 あれ? おれ、じゃなくて私、調教されてる?




 30日目


 お風呂にも慣れてきました。

 人形相手に使ういい匂いのする石けんとは違う、たまに角が直角になってる石けんにも慣れてきました、

 たまに自前の石けんを持ってr、お持ちになっていらっしゃる方もいますが。


 最初の日に特にお世話になったお姉さん、カミラ・アトリエルさんと女の子、クロエ・リミティエスさんともよく会います。

 なんでもこのお風呂は、メイドさんの為のものだけど、人数の少ない女性の『医療師』や『宮廷魔術師』等の方々もここを使うそうです。


 大半のメイドさんはお互いに『洗いっこ』なるものをしているようです。

 洗ってる間も浴槽に浸かっている間も会話がほとんど途切れない。女ってすげー。

 っていうかなんとか卿がどうとか、とかなんたら伯爵がどうたらとか言われてもわかんないです……。



 40日目


 ふと気付いた。

 おr、私、トイレ行ってなくね? って。

 人形相手に布おむつ(?)替える方法習ってる時にふと気づいた。それまでふつーにするーしてた。もう自分が信じられない。


 教官に聞いたら、「専門じゃねえし」(意訳)だって。「細かいことは専属医療師にでも聞け」(意訳)って。

 で、カミラさんに聞いてみました。訓練が終わった後お風呂で出会ったのでその時に。


 なんでも、「赤い石」の力だとか。食べたものは全て吸収され、睡眠もほとんどいらなくなるとか。歳もとらなくなるらしいです。

 でも、「赤い石」を普通の人間に入れると拒絶反応で死んじゃうとか。

 人造人間の場合も死ぬ(そうだ)けど、製造途中で入れた場合のみ適合するとか。


 普通の人間に比べて遥かに短い寿命だけれど、「赤い石」を入れた人造人間はほぼ不老不死になるそうです。

 で、その「赤い石」入りの人造人間は優秀な使用人になるので「王家付き」として造られるとか。


 不老不死ですか、やったー。


「王家付きは主人がお隠れなされた(しんだ)ら『赤い石』取り出されて死ぬけどな」


 百年生きれるかどうかも怪しいじゃないですか、やだー。

 でも、よく考えたら前世20年も生きてないんですよね……。だったら歳食っても若作りなことを喜んで……もいいの?




 これ聞いたとき、(これなんて錬金術?)って思ったお、私は普通だと思う。しょうがないよね。




 42日目


 今日も元気に訓練してました。

 過去形な理由は、途中で事件があったからです。

 と言っても悲報ではなく、王様に第2子がお生まれになる、というものですが。


 で、慌てて早歩きでその現場(いりょうしつ)に着いた時にはもう始まってました。

 カミラさん無双(あれ? ちょっと違う?)の末に無事のご出産なされ、王妃様もその第2子も元気です。

 え、私? カミラさんの指示で少し離れた所で見守っておりました。出産なんて見たのはこっち・前世(むこう)合わせても初めてですよ。



 ただ、


「王女、だと? どういうことだ……?」

「おい、占いでは本当に王子が生まれるはずだったんだよな」

「その筈です」

「なら、どうして……」

「まさか、『運命を変える者』……?」


 ちょっと占いが外れたようです。

 正直、占いとかどうでもいいです。

セプテットの一人称でやってる限り書かれないので書きますが、


この鞭、彼女をたたいてたのは最初の方だけで、途中からは床を鳴らしてるだけです。

だって服が傷むじゃないですか(←

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