表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

お礼されよう!

ウッヒョホウヒョホホ!!

ホホ、ウホホ!

ホホホー!!

全国のゴリラの皆さんこんにちは。

僕です。

実は今憧れの先輩と二人で町のアーケードを歩いています。

そりゃゴリラ語にもなるわ!!

「ふふ、どうしたんだそんなに浮かれて。」

「え!?あ、いや、何でもないです。」

浮かれずにいられるかってんだ!!

1ミリも表に出さないの相当キツイぞこれ!!


「今日は私の奢りだ。」

学校の草取り、生徒会以外は僕だけだったらしい。

兄さんに言わせればありえないのだろうが、折角のご厚意なので、奢ってもらうことに。

「じゃあ、先輩と同じので。」

「ふふ、お揃いか。」

手に渡される、ピンク色のジェラート。

一人では絶対に食べないであろう味。

「ここ、クラスメートの間で評判でね。一度来てみたかったんだ。」

すみません先輩、

嬉しすぎてあんまり味わかんないっす!!


ジェラートの後は、時間が余ったからと本屋に寄ってみたり、事務用品を買うとかで100円均一に寄ってみたり。

荷物の重さも気にならん!

いいように使われてるカモー!?

「そんなことないよ、私も持とう。」

それでも一番重いのは僕が持つのさ!




「こんなに誰かと町を歩いたのは、初めてだ。」

「そうなんですか?」

ちょっと休憩に、と入ったハンバーガー屋でシェイクのみを飲む。今度は割り勘さ。

「あぁ。生徒会長と言っても、結局は雑用ばかり。こうした買い出しも、いつもは一人で行くんだ。」

意外だった。

先輩ほどの人なら、周りは人で溢れているもんだとばかり。

「だから、今日はとても楽しかった。」

先輩のオレンジジュースの氷が、カランと音を立てる。

「荷物持ちくらいしか出来ませんが、いつでも手伝いますよ。」

シェイクはなかなか出てこない。

「はは、本気にするよ?土日祝日も無くなるぞ?それに・・・」

「君はヤミコと付き合っているんだろう?」

ブブッと勢いよくシェイクが逆流する。

シェイクって逆流するんだなぁ。

「な、なんでそんな・・・」

「私の忠告も聞かないで、まだずっと一緒にいるからさ。もしかしてとね。」

まさか毎日大雨にされたらたまらんから一緒にいますとは言えない雰囲気。

「付き合ってません!断じて!」

「そうかい?なら良かった。」

何が良かったのかわからないが、先輩は嬉しそうにオレンジジュースを口にする。







そろそろ帰ろうかと駅に向かう途中。


ドンッ

「ってぇな!!」

「あぁ、すみません。」


耳がピアスだらけの、大学生くらいの男と先輩の肩がぶつかる。

「どこに目をつけてんだよ」

「あぁ、だからすみませんと」

「聞こえねぇよ!!・・・あー、痛、肩いてぇー」

男は先輩の顔を見るなり、肩を押さえだす。

「これ、肩外れたかもなぁー?あー、どうするかなぁ?」

「これ、金かかるなぁー、あーいてててて・・」

先輩はうんざりしたような表情を浮かべる。

僕は思わず先輩の手を引く。

「先輩、行こう。」

こういう輩は無視するに限る。

二人で走り出す。

「おい、待てコラ」

が、すぐに追い付かれる。

「余計なことしてんなよ、ガキ。」

胸ぐらを捕まれた。

そう思った瞬間、お腹に物凄い圧迫と激痛。

「うぐっ!」

その場に踞ろうにも、胸ぐらを捕まれて動けない。

そのまま2度、3度と男は僕を殴り付ける。

「(先輩!)」

先輩は唖然としたまま立ち尽くしている。

何してんだ!早く逃げろよ!!

そう思ったのも束の間。




「ぐ、う?ぐぁ・・・・」

急に男が苦しみはじめる。

それに合わせて僕も解放され、そのまま地面に踞まる。

「ガ、ハ、」

男は呼吸が苦しいのか?上を向いて首を押さえながら、口をパクパクさせている。

は、そういえば先輩は!?


・・・先輩はただ、男を睨んでいる。

まるで、視線で男を殺そうというように。

目付きが鋭くなればなるほど、男は苦しみの声をあげる。


本能的に、思った。

これはまずいのではないか?


「先輩!!げほ、僕は大丈夫です!!」

先輩に抱きついて、そのまま先輩を押し倒した。


そこでやっと男は呼吸を取り戻し。

恐怖の顔を浮かべ逃げていってしまった。


「先輩、先輩!」

「・・・ちっ」

「先輩・・・?」

先輩は、背筋の凍るような声で


「殺し損ねた。」

起き上がって、逃げた男の背中を睨み付けていた。







近くの公園のブランコ。

夕方で人影はない。

そこに二人で座っている。

「やってしまったな。」

「先輩、さっきのって」

聞いていいのかわからなかったが、正直それ以外になんて声をかければいいのか。

「あいつの周りの空気を、無くしたんだ。」

空気を?無くした?

先輩、何を言ってるんだ?

「君の近くにもいるだろ?天気を自由に出来るやつが。」

雨ケ崎ヤミコの、『従姉妹』

先輩にも、変な『力』が?

「あいつは分家だから、力がそんなに強くない。」

あ  れ  で  !!!!?

「私の家の女は、皆こうなんだ。」

「天候の巫女の系譜、として裏社会で伝わってるんだが、」

「・・・ただのバケモノさ。」

そこから、先輩は薬師丸と雨ケ崎の家について色々教えてくれたが、正直全然わからなかった。

それよりも目下気になっていたのは、




(先輩、まつげ長ぇー・・・)




ぶっちゃけ二人でブランコという青春真っ只中の状況が、少しづつ身に染みて来てしまって、嬉しいが勝ってしまった。

「怖がらせてすまなかった。君にはもう近付かないようにする。ヤミコにもそう」

「えぇー!?」

我ながらすっとんきょうな声が出た。

「僕、もっと先輩と一緒に居たいです!」

今日だけなんて、そんな殺生な。

「荷物持ちでもいいから、また誘って下さいよ!」

すると、先輩は大声で笑いだす。

そんなおかしなこと言ったか?

「君、変な奴だなぁ。ヤミコが気に入るわけだよ。」

なんでそこでヤミコさんの話が出るんだ?

「よし、決めたよ。」

先輩はなんでか晴れやかな顔で立ち上がると、こちらを見下ろす。


「私、君と結婚する!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ