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ヤンデレ雨女に好かれた僕は、晴れの日を失いそうです。

盆と正月が一緒に来たってここまで嬉しくはならないだろう。

僕は猛烈に浮かれている!!

「君、すまないが荷物を一緒に資材室まで運んでくれないか?」

そう声をかけてくれた人、そうその人こそ、

我らが麗しの、完全無欠の生徒会長!

薬師丸ナオコ先輩!なのです!!

「君は何をそんなに浮かれているんだい?」

「す、すみません、何でもない、です。」

おっといけない。

こんな気持ちの悪いとこ、先輩にバレたら嫌われてしまう。

紳士であれ。




「すまなかったね。出番はなかったのかい?」

「はい、恥ずかしながら、すぐに負けてしまって。」

格好悪いが、嘘はつけないしね。

すると、薬師丸先輩はクスクス笑う。

「良かった、実は私もなんだ。スポーツはからっきしでね。」

「あ、せ、先輩は何の競技だったんですか?」

確か、野球だ。

僕知ってんだでへへ

「野球だよ。みんな、あんな小さな玉どうやってバットに当てるのかな?」

飾らない笑顔がそこにある。

そうそう、普通こうだよね。

大体、ヤミコさんと来たら、一歩間違えたらアへ顔ダブルピースみたいな

・・・って、なんでヤミコさんが出てくるんだよ。



「・・・へぇ。」

先輩が、急に近づいてくる。

「時に、君のクラスにおかしな生徒がいると噂で聞いたんだが、」

います。いますとも。

「そうなんです!先輩、ちょっと聞いてくださいよ!!」

「雨ヶ崎ヤミコ。」

「そう!ヤミコさんって・・・先輩、ヤミコさん知ってるんですか?」

「知ってるも何も、私の従姉妹さ。」

へぇー従姉妹



従姉妹!!!!!!?????



「え!?先輩!?え!?」

「驚くのも無理はない。あれの評判は聞いてるよ。小学校よりは大人しくなったと聞いたんだけどね。」

あ れ で !!?

「うちの従姉妹が迷惑をかけていたのは、君みたいだね。でもまぁ、辛抱してくれ。」


「一時的なものだ。もうすぐ収まる。」




収まる?

何が?

「あの娘のあれは、昔からなんだ。熱しやすく覚めやすい。何度も何度も、取っ替え引っ替えさ。」

恐しいくらいに楽しそうな先輩のこえ。

「そう、なん、ですか。」

そっか、そうだよな。

じゃなきゃ、こんな僕なんて。

ははは、良かった、良かった。

もうすぐ、解放、されるんだ、なぁ・・・。


ふと、首もとにいい匂いが漂う。

え?え?

「可愛そうに。」

先輩が、僕の後ろから抱きついて

「あの娘に、惑わされたんだね?・・・ごめんね。」

そんなことないです、ぼくは、せんぱいのことが


せんぱいのことが・・・なんだっけ


「何かあったら、私に相談するといい。君が望むなら、望むだけ聞いてあげるよ・・・?」

ほんとに?のぞむだけ?

「ヤミコのことなんか、忘れて、さ。」

・・・それで、いいんだっけ?




なんだか、うまくいきができないな。

なんでだろ。

目の前もこんなに赤く


え?赤く?

ふと窓の外を見る。

ドドドドと何かが降っている音が響いている。

これは、雹?

そして何故か外が、血のように赤い。

夕日の色じゃない。なんだこの色・・・

「ギャアァァァァァァァァァァ!!」



窓の外には、手とおでこをビッタリと窓にくっつけた

既に帰ったはずの雨ヶ崎ヤミコが立っていた。




ガララララと窓を開けて、ずぶ濡れのヤミコさんが入ってくる。

「二人で何してたの?教えてよ!私も、仲間に入れてよー!」


いつもの調子いつもの口調だが、なんでだろう、滅茶苦茶怒ってる感じがする。

「怪我人は家に帰りたまえよ。」

「愛しのヒロくんを置いて帰れないよー!ね?ヒロくん?」

背筋が寒い。

いや、雰囲気じゃない、ホントに気温が下がってない!?

「大事な後輩が君に迷惑してるというから、助けてあげようとしてるんじゃないか。」

「迷惑じゃないもん!相思相愛だもん!ねー、ヒロくん?」

ふと、さっきの先輩の言葉がよぎる。

『一時的なものだ。もうすぐ収まる。』

僕はヤミコさんの方を見れなかった。

「・・・ナオコちゃん、ヒロくんに何言ったの?」

「君には関係ないことさ。」

「・・・ふぅーん。」

ビシャーン!!!!

巨大な音と光。

学校中の電気が消える。

カミナリが落ちたのだろうか?

「今日のところは帰るね!」

その声にやっとヤミコさんの方を見るが、逆光で表情は見えない。

ただ、背筋が凍るような視線を感じ、

次の瞬間にはヤミコさんの姿は消えていた。

すると、学校の電力も復活したようだ。

「はぁ、興が削がれた。」

ナオコ先輩はそういうと、部屋を出ていく。

が、一度だけ振り向いて


「もっといい青春、あると思うよ。」


「先輩!先輩の言ってることって」

「ではね。」

そして、資材室には僕だけが残された。



次の日。

学校に行きたくなかった。

とにかく、ヤミコさんに会いたくなかった。

先輩は、嘘を言うようには思えなかった。

少なくとも、先輩にそんな嘘を言うメリットがないように思える。

ヤミコさんの一時の気の迷いで満たされていた、

認められていたなんて思っていた、とんだ勘違い野郎、

それが僕だ。


ピンポーン


せめて、ヤミコさんが僕に興味を失くすまで


ピンポーン


ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、


・・・


ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

うるせぇな!!誰だ朝から!!


玄関のドアを開けると

「ヒロくんおはよ♡」


パタンと閉める。


ピンポーンピンポーンピンポーン


もう一度開ける。

「ヒロくん、学校行こ♡」

「ヤミコさん、なんでここに?」

「一緒に学校行きたくて♡」


・・・でも、ヤミコさんは熱しやすく

「行くの?行かないの?」

「行きます!!」

僕は人生一必死で準備を終わらせた。




「ヒロくん、何言われたか知らないけど、私はヒロくんのこと大好きなんだよ?」

左腕に抱きつき、刷りつきながら歩く。

最寄駅までの道のり、視線が辛い。

「大好きな人と離れるの、嫌だなって思うの!」


「だからね?」


「もしヒロくんが私の側から離れちゃったら」


ふと、ヤミコさんの方を見る。








「この町、二度と晴れなくなっちゃうかも。」





その、真っ暗な瞳に吸い込まれないよう、

必死に通学路を歩いた。

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