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2層目①:エレベーターの外
ヒカルとめぐるが乗ったエレベーターの扉が開くと、そこには思わず顔を背けてしまうほどの光があった。
少し遅れて、エレベーターに新鮮な緑の匂いと、熱を含んだ空気が流れ込む。
先ほどまでの、閉塞感に満ちた薄暗く埃っぽい最下層が、嘘のように感じられた。
肌と嗅覚に浴びせられた自然に追いつくように、ヒカルの眼前には温室が広がっていた。 ヒカルに先んじて、めぐるが外に出ていく。
つられる様に、ヒカルもエレベーターの外に歩み出た。
エレベーター扉は、もう閉じることはない。
音もなく、ただその役目を終えた。
「さぁ、次はどうする?」
めぐるがヒカルに尋ねる。
人の手入れが途絶えて久しいのだろう。
通路は蔦に覆われ、茎は柵を飲み込み、枝葉が頭上で絡み合っている。
「とりあえず、通路に沿って進むか。」
そう言うと、ヒカルは足元を気にしながら、少々不格好に歩み始める。
その歩みを見て、めぐるは少しだけ笑った。




